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「10年以上無職のダメ人間だと妻に言えず」生活費欲しさに結婚詐欺を繰り返した夫

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オムツとシャンプーの購入に月20万円!?


続いて、検察官からの質問です。

検察官「まず、あなたの書いた謝罪文には『できる限りの償い』と書いてありますけど、金額は言い切る事できないですか?」
被告人「10〜20年はかかってしまいますが、子どもにかかるお金以外は全てそちらに」
検察官「具体的な金額が書いてないのはなぜですか?」
被告人「職がまだ決まっていないのと、Aさんは弁護士が付いていますので決まってから相談しましょうと」

弁済を拒否されているというよりは間に入っている弁護士と話し合いの最中のようですね。

検察官「さっき月の生活費が40〜50万円って答えていましたよね。奥さんは30万円と答えていましたが、なぜこれほど開きがあるのでしょう?」
被告人「妻は私がネットショッピングしていたのを把握していないからだと思います」
検察官「10〜20万円も何を買っていたんですか?」
被告人「オムツやシャンプーなどの消耗品を…」

オムツやシャンプー代はそれほどかかるのでしょうか? お子さんは3人いるそうですが、超高級オムツを大量に買っていたのか、被告人も奥さんも長髪じゃないから数分置きにシャワー浴びていたのかと考えてしまいます。

検察官「じゃあ月の生活費は多くて50万円としましょう。奥さんが10万円出していたとすると、あなたの出費は月40万円。半年で240万円!あなたの口座には2015年11月から半年で合計461万8000円が振り込まれているんです!大きく差がありますけど、残りは何に使ったのですか?」
被告人「そうですね……当時の記憶がハッキリしないですが、滞納していたものがありまして家賃とか年金とか…」
検察官「溜まったものは清算できていますよね。じゃあ、そこからの約5年でAさんから計3000万円振り込まれていますけど何に使ったのですか?」
被告人「大きな出費の記憶はありませんし…何かしらの支払いに充てたのだと思います」

起訴されたのはAさんからの50万円、Bさんからの440万円の計490万円の詐欺ですが、3000万円以上の被害がありそうですね。そして使い途は豪遊ではなくオムツとシャンプーを20万円購入するような暮らしの生活費。

検察官「ウソついて得たお金で子どもの物を買っていたんですか?」
被告人「申し訳ないですけど…」
検察官「申し訳ないと思っていた?」
被告人「定職に就けず追い込まれていました」
検察官「被害者2人と交際している時間に職探しすれば良かったんじゃないですか?」
被告人「その通りです」
検察官「商社勤務とか独身とか、バレたらどうしようと考えていたんですか?返せませんよね?」
被告人「いつ返すという話はできなかったと思います。でも必ず仕事が見つかると思っていました」

自分への言い訳だと思いますけど、騙しているというよりは借りているという認識だったようですね。

検察官「Aさんの件は2020年8月に発覚して、弁護士を通して謝罪しましたよね?」
被告人「Aさんには多額のお金と時間を無駄にさせてしまいました。謝罪した時は綺麗な人間になるきっかけだと思いました」
検察官「そういう気持ちで謝罪したのですよね?で、2件目のBさんは2021年ですよ。なんでやったのですか?」
被告人「仕事に就けず支払いに追われて、カードローンで払っていたのですがどうにもならなくて……」
検察官「Aさんの件が発覚して謝罪したのが去年の8月17日ですけど、この時点でも奥さんに話していないんですか?」
被告人「はい…」
検察官「お金に困ればまたやるんじゃないですか?」
被告人「4ヶ月間勾留され、家族にも肩身の狭い思いをさせて……。謝罪するしかない、自堕落な生活をしてきた事が骨身に染みて分かりまして、2度としないと言えると思います」
検察官「被害者から民事の方で被害弁償を請求されたら払うのですか?」
被告人「もちろんです。一括は無理ですが…」

1件目の事件がバレた後に今年の事件を起こしていたことが検察官から暴露されました。被害者はAさんとBさんだけではなく奥さんもなんだよなと思わされます。改めてキツい立場で情状証人として証言台に立っていたんですね。

月給40万円の路線バス運転手に応募して返済したい

最後は裁判官からの質問。

裁判官「最後に働いていたのはいつなのですか?」
被告人「え〜と……会計事務所にいたと思うんですけど…よく覚えてなくて…」
裁判官「職歴見ると、最後は造園業って書いてあって、その前がコンビニ。その前が会計事務所…」
被告人「はい、それです。それが10年前です」
裁判官「結婚当初は働いていたのですか?」
被告人「はい、何かしらしていたと思います…」

相変わらず自分の職歴は曖昧な記憶。

裁判官「1件目と2件目の事件、間が空いていますけどこの間は生活費どうしていたんですか?」
被告人「妻が今より収入あったと思います。あと家賃が安いアパートでしたので」
裁判官「被害者2人からはお金を借りたのですか?」
被告人「(取り調べで)家族がいたこと、働いてなかったこと…それらは虚偽でしたので詐欺だと言われましたが、返さなければと」
裁判官「今いくらの債務があるか把握しているんですか?」
被告人「2000〜3000万円かと思っていたんですけど、弁護士事務所に行ったらもう少し多いみたいで…」
裁判官「今後どうやって返済するのですか?」
被告人「路線バスの運転手が月40万円と聞いています。それに応募してですね、妻の収入を生活費にして私の収入は全て返済に充てようかなと」

就労意欲があるのはいいし、是非とも働いて被害者に被害弁償して欲しいとは思うけど、10年働いてないというブランクがちょっと気になるんですよね。裁判官もその辺が引っ掛かったのでしょうか。

裁判官「ん〜……これ、自己破産しても免責されないと思うんですよ…」
被告人「それは分かっています。生涯掛けて返済していきます」

マジで返せよというメッセージでしょうかね。現在52歳、全て払い終わるのは何歳の時になるのやら…。被告人質問が終わったところで、第2回公判は閉廷です。

3200万円を分割で支払う公正証書を作成

そして、約3週間後の10月5日に第3回公判が行われました。この日は弁護人も検察官も追加で被告人に訊きたい事があるらしく、補充の被告人質問です。

弁護人「前回の公判から今日までの間にAさんと協議しましたよね?」
被告人「はい」
弁護人「どんな内容ですか?」
被告人「これまで借りてきた3200万円について全て認めまして、昨日、分割で支払うという公正証書を作成しました」

弁済に関しては拒否していたAさんと、公判後に弁護士を通して話ができたみたいです。とりあえず被告人もAさんも一歩前進ですね。

続いて検察官から。

検察官「初公判の前、Aさんに被害弁償50万円を提示したけど断られていますよね。で、協議したと言う事ですが、今もまだ払ってはいないですよね?」
被告人「妹が用意してくれるという話だったのですが私が勾留されまして、すぐに必要とは思っていなかったみたいで…」
検察官「じゃなくて、手元にお金がないのに被害弁償50万円と提示していたんですか?」
被告人「いや、それを妹にお願いしようとですね…。今月中にですね…」

と、しどろもどろの返答。断られた時には50万円あったのか、ないけど払いますと提示していたのか。

それを受けて裁判官も確認です。

裁判官「50万円というのは、今月用意出来るんですか?」
被告人「はい。今、妹と連絡がつかない状態ですけど、あの、もし…」
裁判官「経緯はいいんです。あなたが支払うまで裁判を続ける訳にはいかないのでね。今月という話だから区切って大丈夫ですか?」
被告人「はい。妹に連絡がつかなければ母親にお願いするように公正証書もなっていますので」

起訴された分は判決前に返金すると改めて約束して、被告人質問が月またぎでやっと終了。

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