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だから日本のスポーツは遅れている

日本のスポーツがどこかおかしい。

 生徒の自殺の原因となったとされる大阪・桜宮高校バスケットボール部の体罰問題に続いて、今度は女子柔道のナショナルチームでも暴力的な指導が問題となっているが、実はこれらの問題が表面化する以前から日本のスポーツをめぐる環境には問題が多い。

 多くのスポーツシーンで依然として「気合い」「根性」などといった精神論が幅を利かせ、指導者や先輩が威圧的な態度で選手を萎縮させて管理する手法が横行している。その方法である程度までは上達するかもしれないが、選手はスポーツの本質とも言うべき「PLAY(楽しむ)」ことを忘れ、何のために練習しているのかすら分からなくなる。

 日本のスポーツ界が旧態依然たる前時代的な態勢から抜け出ることができない理由について、ゲストでスポーツ評論家の玉木正之氏は日本の指導者の言語技術の乏しさを指摘する。日本の指導者には、例えば言葉を使って選手のやる気を引き出したり、「なぜその練習が必要なのか」を説明することができてない人が多いと言うのだ。

 今回問題が発覚した柔道界にはまさにこの指摘が当てはまると玉木氏は言う。日本のお家芸として一度は世界に冠たる地位を築いたものの、その傲りから競技の国際化に乗り遅れ、ルールの改正でも国際舞台で強い発言権を発揮できなかった。国際的な舞台で自らの考えの正当性を主張し、交渉する能力がまるで備わっていなかったことが原因だと玉木氏は言う。結果的に今や日本の柔道は競技人口でもフランスを下回るようになってしまった。

 また、玉木氏は特定の競技や特定のチームに肩入れする今日の日本のメディアのあり方についても、「スポーツ界全体の発展を阻害している」と厳しく批判する。高校野球や箱根駅伝のように特定の競技にメディアが肩入れすることで、その競技に過度の注目が集まることの弊害は大きい。例えば、日本では将来を嘱望される長距離選手のほとんどが箱根を目指すが、それが日本の男子に世界クラスのマラソンランナーが育たない原因となっているとの見方は根強い。まだ身体ができあがっていない高校生の段階で、夏の甲子園で連戦連投を強いられる高校球児にも同じことが指摘されている。

 日本のスポーツはなぜ後進性から抜け出ることができないのか。国際化に成功したスポーツとそれができないスポーツとでは、どこが違うのか。日本のスポーツ界が抱える問題点と、スポーツ本来のあるべき姿について、ジャーナリストの神保哲生と哲学者の萱野稔人氏が、ゲストの玉木正之氏と議論した。

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