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「"第6波"に対してまた無策を続けるのか」エビデンス収集を軽視する"霞が関と永田町の共犯関係”

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田村大臣が思わず吐露「よく分からずに減っている」

「緊急事態宣言」がようやく解除された。沖縄県は5月23日から4カ月、東京都は7月12日から2カ月半という長期にわたって宣言が続いたが、両都県を含む19都道府県で、9月30日をもって一斉に解除された。

菅義偉首相の記者会見を映す大型ビジョン。政府は、新型コロナウイルス対策で半年近くに及んだ緊急事態宣言を30日の期限をもって全面解除すると発表した菅義偉首相の記者会見を映す大型ビジョン。政府は、新型コロナウイルス対策で半年近くに及んだ緊急事態宣言を30日の期限をもって全面解除すると発表した=2021年9月28日、東京都新宿区 - 写真=時事通信フォト

1日の新規感染確認者数は驚くほどのペースで減っている。東京都では8月中旬に6000人に迫ったが、9月29日まで38日連続で前週の同じ曜日を下回り、9月27日月曜日には154人と半年ぶりに200人を下回った。完全に「第5波は去った」と言っていいだろう。

いったいなぜ、こんなに急激に新規感染者が減ったのだろう。田村憲久厚生労働相は、9月27日に開かれた厚労省の専門家組織の会合に出席し、次のように語った。

「感染状況は急激に下がっている。よく分からずに減っているということは、また増えてくる可能性も十分にある」。

田村氏は正直だ。大臣が思わず吐露したように「よく分からずに減っている」というのが実態だろう。「政府の施策が感染を封じ込めた」とは残念ながら言えず、まさに手探り状態。政府は新規感染者が減った「エビデンス(証拠)」をつかんでいないのである。

「5つの要因」もエビデンスの裏打ちはない

9月28日に行われた菅義偉氏の首相としての最後の記者会見に同席した政府コロナ分科会の尾身茂会長も、激減の原因についてはあやふやだった。一応「5つの要因」が考えられると述べていたが、これもエビデンスに裏打ちされたものではない。

尾身氏が示した、考えられる要因の5つとは、①深刻な医療ひっ迫が報じられたことで国民の危機感が高まり感染対策が進んだこと、②夜間の滞留人口が減少したこと、③ワクチン接種の効果、④高齢者の感染が増えなかったこと、⑤気温や降水など気象要因――である。

確かに国民の間で危機感がこれまで以上に高まったのは事実だ。だが8月中旬の「お盆」の時期に比べれば人流は減ったとは言え、2020年4月の1回目の緊急事態宣言時とはまったく様相が違った。百貨店も営業し、大型イベントも開催されて、政府が求めた通りに人流が抑制されていたわけではない。尾身会長が指摘した5つ以外にも、私たちがまだ知らないウイルスの特性など、理由があるのかもしれない。

エビデンスが無いから、対応策も場当たり的になる

いずれにせよ、政府が求めてきた「飲酒なしの少人数会食」や「営業時間の短縮」「アクリル板の設置」「テレワーク活用による出勤者の7割削減」がどれぐらい「激減」に寄与したのか、どの施策が減少の決め手になったのかまったく分からない状態なのだ。感染拡大がどうして止まったか、その「エビデンス」が無ければ、次にやってくる「第6派」を防ぐことも、ヤマを低く抑えることもできないだろう。

日本の新型コロナ対策がこれまで「後手後手」に回って来た背景には、「エビデンス」の収集を疎かに してきたことがある。つまり、因果関係を解析しないままに対応策を決めるため、「場当たり的」にならざるを得ないのだ。

6月20日に7つの都道府県に出ていた緊急事態宣言を解除した時も、すでにその段階で新規感染者確認者数は増加傾向に転じていた。しかも4月に国内で初確認されていたインド由来の変異型ウイルス「デルタ株」に急速に置き換わっていた。結局、そのタイミングで緊急事態宣言を解除したことが裏目に出た。東京では1カ月もたたない7月12日に緊急事態宣言を再発令する結果になった。

捨てられたマスク※写真はイメージです - 写真=iStock.com/alvarobueno

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