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バロンズ:米9月雇用統計、米株市場の冷や水となるか


Barron’s : Will September Jobs Report Add Chill In The Air?

バロンズ誌、今週はサプライチェーンの制約に直面するなかで年末商戦問題を取り上げる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、7月にはベトナムで経済活動が停止し工場が閉鎖された。その影響で、スポーツ衣料大手ナイキは2022年度(22年5月末まで)の売上見通しを前年比で1ケタ台半ばと、従来の2桁台前半から下方修正し、同社の株価は9月23日の決算発表後の時間外取引で3%超も下落したものだ。

しかし、スポーツ衣料大手ニューバランスがアナリストに明かしたように、ベトナムでの工場稼働率は経済活動の再開により10月半ばには60~70%と、足元の30%から改善する見通し。玩具や衣料品などあらゆる商品の生産に遅延が生じ、年末商戦までに追い付かないリスクが懸念されえいるが、ロサンゼルス港のエクゼクティブ・ディレクター、ジーン・セロカ氏は、クリスマス商戦に向け今年は6月と通常の8月後半や9月初めより前倒しして関連グッズを輸入したと説明する。

ウォルマートやターゲット、コストコを始めとした大手小売業者や、玩具大手マテルやハスブロなどは、既に対応済みで「クリスマスは12月25日にやってくる」というのがセロカ氏の見通しだ。

空輸や海運など配送問題も含め、いかにサプライチェーン問題がクリアできるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は雇用統計と成長鈍化に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

業績と雇用の見通し、市場ムードのさらなる冷や水に―The Outlook for Earnings, Jobs Adds to the Chill in the Air.

今ほど、ワシントンD.C.で時価の流れが感じられる時はないだろう。バイデン大統領が成立を目指す歳出案の規模をめぐり、他でもない民主党内のプログレッシブと中道派が真っ向から対立。債務上限問題を巻き込み、両者は一歩も引かない様相だ。

S&P500は、9月に4.65%安で引け。7~9月期は0.58%高と辛うじてプラス圏を確保し、年初来では15.92%高となる。米債は米株の下落を相殺することなく、ブルームバーグ・バークレイズ・アグリゲートのリターンは9月に0.05%高とわずかな上昇にとどまり、7~9月期では0.87%安、年初来では1.55%安と、ポートフォリオ・マネージャー泣かせの相場となった。

こうした状況で、市場参加者が決算、そして見通しやカンファレンス・コールに注目するのは自然だろう。しかし業績見通しへの楽観は、みずほセキュリティーズのスティーブン・リチウト首席エコノミストが指摘するように米実質GDPの下方修正と共に見直されうる。アナリストは、月次の指標が予想以下だったことを受けて見通しを下方修正しつつある。さらに、インフレ加速は実質賃金や利益率を押し下げるに違いない。いずれにしても、リチウト氏は「2022年の上半期が今年の4~6月期を上回るとは想定し難い」と結ぶ。

実際、MFRのジョシュア・シャピロ首席エコノミストいわく、春以降の実質個人消費支出はほぼ横ばいだ。8月の個人消費支出は4月とほぼ変わらない。8月の個人消費支出は実質ベースで前月比0.4%増だったが、これは7月に同0.5%落ち込んだ反動に過ぎない

チャート:実質個人消費支出の金額ベースは3月以降、概ね横ばい

(作成:My Big Apple NY)

個人消費の鈍化を踏まえつつ在庫投資の反動増が見込まれるため、シャピロ氏は米7~9月期実質GDP成長率につき前期年率3%程度へ鈍化を予想する。アトランタ地区連銀のGDPナウでも、米実質GDP成長率予測値は2.3%増で、個人消費は1.4%程度だ。

米経済の道筋は、今週末に予定する米9月雇用統計で再び注目されるだろう。9月21~22日開催のFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は「良い」雇用統計の結果ならば、テーパリングを開始すると示唆した。実現すれば、大方の予想通り11月2~3日開催のFOMCで決定されるのだろう。

米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、エコノミスト予想中央値で前月比50万人増となる。米8月雇用統計・NFPを振り返ると、当時の市場予想を50万人下回る結果だった。9月の雇用統計結果は、失業保険給付上乗せの終了を反映するため、一段と注目されよう。

――米新規失業保険申請件数は、デルタ株感染拡大が一服し失業保険の給付上乗せが終了しているにも関わらず、米9月雇用統計は9月12日を挟む週から増加に転じています。9月25日週は36.2万件と、8月7日週以来の水準へ戻していました。

チャート:米新規失業保険申請件数、足元は減少にブレーキ

(作成:My Big Apple NY)

米景気鈍化しつつあっても、Fed must go onよろしくテーパリングは既定路線と化す状況。こちらでも申し上げましたが、頼みの綱はインフラ計画や育児支援や公的医療保険拡大を盛り込んだ歳出案のところ、民主党内でいかに妥協点を見出すかが景気回復のカギとなることは間違いありません。

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