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仕事は情報発信によって引き寄せる時代です - 「賢人論。」第148回(中編)村上臣氏

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これまでの転職活動と言えば、求職者側が求人情報を調べて応募する、というのがセオリー。しかし、SNSの利用が進み、情報発信が盛んな時代においては、IT企業を中心にスカウト型の転職が増えている。2021年4月に『転職2.0日本人のキャリアの新・ルール』を上梓した、LinkedIn(リンクトイン)日本代表の村上臣氏に、新時代のキャリア構築の秘訣を伺った。

取材・文/みんなの介護

キャリアのオーナーシップが会社から自分へ戻ってきた

みんなの介護 「転職2.0」の概念について、改めて教えていただけますか?

村上 これまでの働き方から、大きく変わるポイントが5つあります。1つが、転職の目的が変わることです。1回の転職ですべてを叶えようとするのではなく、自分の市場価値を最大化するために、転職を手段として捉える考え方です。

これまでの社会では、キャリアは会社がつくるのが主流でした。終身雇用の場合、何も知らずに入社して仕事を教わり、3年ごとにローテーションをしたり、転勤したりして、会社の人事部がキャリアを提案してくれていたのです。

会社は今、そこまで面倒が見られなくなってきたので、自分でキャリアを考えなくではいけなくなっています。キャリアのオーナーシップが、会社ではなく自分に戻ってきたということです。

自分をどうやって高めるか。自分の市場価値をどうやって最大化するか。そのことを考え、達成する手段として転職を捉える。それが「転職2.0」のコアになります。

2つ目以降は、「そのためにどのように行動しないといけないか」ということを伝えています。これまでは情報収集をして転職先を決めていましたが、ただ受け身で情報収集をしているだけでは、転職市場の中にその人がいることがわかりません。ですので、何らかの発信をしていかないといけないと思います。そこで、SNSといったツールが活用できます。

インターネットを使わなくても、周りの人に対して「自分は5年以内にこんな仕事をしたい」と言うだけでも情報発信になります。

自分の思いを少しずつ外に出していくことで、「この人はこのようなことがしたいんだな」ということが認識されれば、何かの機会に声をかけてもらいやすくなるでしょう。

そのためにも、「タグ付け」を推奨しています。タグ付けは、自分のできることや大事にしていることを、プロフィールとセットで短いキーワードにして表示しておくことです。これにより、タグ付けしたスキルや経験を持つ人が探されている場合、その人が見つけられやすくなります。

転職業界ではスカウト型が主流になってきています。特にIT業界では、友だちからの紹介や、社員に人材を紹介してもらうリファラル採用、リンクトインのようなビジネス特化型SNSを使ってスカウトメールを送る方法が主流になってきています。日ごろからタグ付けをし、外部に発信することで、声をかけてもらえる可能性が高まります。

所属している会社や自分が今いる会社の外に出て情報を発信することも、重要です。と言うのも、「知り合いの知り合い」ぐらいの距離感の人からもたらされる情報が一番キャリアにとってプラスになるものだからです。

新しい情報はよく知っている世界の外からもたらされる

みんなの介護 すでに知っている人からではないのですね。

村上 良く知っている友だちの間柄では、コミュニケーションは取りやすくても、同じような考え方しかしない傾向があります。新しい機会は、そこからはあまり生まれません。仲良く働きたいのであればそれでも良いのですが、自分のキャリアを高めるためには、物足りないと言えるでしょう。

「よく知っているけど普段そんなに仲良くない人」の方が新しい情報を持っています。このようなポジションにいる人と話をしたり、声をかけてもらえたりすると、「そんな面白い仕事があったのか!」とか、「自分の今持っている能力はここでも使えるかもしれない」という発見があります。このようなネットワーキングやシナジー(協力し合うことによる相乗効果)の重要性を『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』で力説しています。

みんなの介護 「自分のことを外に発信するのが苦手」という方にはどのようにアドバイスをしますか?

村上 そのような方は、TwitterやFacebookなどでいきなり発信するのは、ハードルが高いと思うのです。それよりは、まず身の周りの人や知り合いの知り合いぐらいの人と話す機会をつくると良いと思います。

一緒に働いているメンバーはだいたい同じですし、その中で新しい話はなかなか生まれにくいと思います。週に1回ぐらいはプライベートでも良いので、何か違うネットワークに参加して話すと良いでしょう。

特別なアピールは必要ありません。普通に話しているだけでもOKです。自分が携わっている仕事の話をすれば、それだけでも十分な発信です。

大企業に勤めている人でも、意外に社外のネットワークがない人はいらっしゃいます。コロナ前は、その方たちに、「週に1回ぐらいは社外の人とランチをしてください」と言っていました。

また、同じ部署に1人ぐらいは社外にしっかりネットワークを持っている人がいるでしょう。それぞれが、面白そうな人を呼んできてみんなで一緒にご飯を食べたり、話す機会を持ったりする。あるいは、ネットを使って新しいネットワークを求めていくのも良いでしょう。

みんなの介護 ちなみに、村上さんにとって「友だち」の定義は何ですか?

村上 プライベートでも遊ぶ人というのが友だちです。そして私の考えるネットワーキングは、プライベートでは遊ばないけど、仕事をするパートナーとして、ある一定の期間、一緒にお互いの時間を投じて成果を出すためのチームです。必ずしもそのメンバーは友だちである必要はありません。

逆にプライベートで遊んでいる人よりも、少し離れた人との仕事の方がうまくいくことが多いです。なぜかと言えば、私情を入れずに仕事ができるからです。お互いやりたいことを持ち寄って、それが合致したときにプロジェクトが生まれて一緒に働くことになります。真剣に何かの目的を達成するために一緒に働く経験を1度でもすると、強いネットワークになるのです。

そうすると、数年後に別のプロジェクトを立ち上げたとしても、お互いに働き方もわかっているので、スムーズに力を合わせて働くことができるでしょう。

このようなネットワークがたくさんできてくると、キャリアに深みが出てきます。

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