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カラオケに“しわ寄せ”も…全面解除でも“時短要請”は継続、根拠とされる特措法24条9項の運用は果たして適切なのか?

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 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が解除される。私たちの日常生活に加えられていた制限についても段階的な緩和がスタートするが、特に関心を集めているのが飲食店への措置だ。

【映像】完全解除後も"時短要請"なぜチグハグに? 続く規制措置...緊急事態&まん防との違いは?

 政府、自治体は特措法の24条9項に基づき、自治体からの営業時短要請を継続する方針で、菅総理大臣は会見で「当面はアクリル板の設置や換気などの対策を取り、認証を受けた飲食店においては都道府県の判断で酒類を提供し、営業時間は21時までとすることも可能とする」と説明。また、東京都では向こう3週間程度、神奈川県、千葉県、埼玉県と足並みを揃え、認証された飲食店に限り、午後8時までと時間を限定して酒の提供を認める方向だ。

 これを受け、飲食業界を取材をするフリーライターの肥沼和之さんも、今年1月以降、ほとんど休業していたという自身のバー「月に吠える」の営業再開を決めた。

 「協力金のおかげで何とか継続はできていたが、やはり開けられないので辛い。今は非認証店なので、まずは認証を受け、週に何日かずつ営業できたらと思っている。酒場というのはビジネスという観点以上に、お客さんや働いている人との交流による“癒し”とか、“拠り所”という要素が強い場所だと思っている。実際、スタッフやお客さんからは、“心にポッカリ穴が空いたようだ”といった声も聞いている。もっと言えば、飲みにいけない時期が続けいたことで、“夜は家で過ごすのが当たり前”という習慣になってしまい、営業が再開できたとしても苦しい時期が続くと思う」。

 一方、「そもそも、いくら感染対策をしても感染リスクは伴うし、営業時間を短くすることが感染対策になるかといえば、そういうわけではないだろうと思う。席数を減らしていないとか、パーテーションも形だけ置いている店もある。あるいは21時以降も営業するお店が出てくるだろうし、そこにお客さんが殺到するということもあり得る。その意味では“要請”ではなく、“命令”のような強制力があったほうが良いのではないか、という気持ちもある」と懸念も口にした。

■倉持弁護士「カラオケにとってはまん防でも実質的に休業要請だ」

 菅総理の会見では、ジャーナリストの江川紹子氏から「個人の自由を制限するとすれば、きちっとした根拠のある法律が必要で、そういう法案をちゃんと作って国会に提出した方が良かったんじゃないか」との質問も出た。これに対し菅総理は「今の法律の中でも要請はできると思っている」と回答している。

 グローバルダイニング社によるコロナ特措法違憲訴訟の代理人も務める倉持麟太郎弁護士は「それぞれがきちんと感染対策をしながら営業していけばいいと思う。今回の全面解除の判断で良かったと思う」とした上で、「東京都のモニタリング会議が出している感染経路データを見ると、飲食店は数%程度だ。感染症対策をしていても飲食店から広がる、みたいな話は、一体何を根拠に話しているのだろうか。特措法では要請とセットで立入検査なども規定しているが、それも全然やっていない。そもそも法律で何ができたんだっけ?ということに立ち返らないまま、感染症への不安だけが広がっていると思う」と指摘する。

 「緊急事態とまん防に関しては政府の対策本部、つまり総理大臣から、都道府県知事に対して命令、過料まで出せるという、私権制限、不利益を伴う非常に強い措置が取れるようにする授権のプロセスがある。そして緊急事態とまん防の違いだが、まん防の場合、時短営業の要請はできても、休業の要請はできない。しかし酒類提供禁止やカラオケ店の営業を制限していることで、実質的にカラオケだけでやっているような飲食店は実質的に休業要請を受けていることになってしまっている。これは違法だと思う。

 さらに今回の第24条9項に関しては、そもそも時短営業の要請すらできないという前提だった。特措法ができた時の逐条解説を見ると“手洗い・うがいなど、感染対策の広報活動においてボランティア団体の協力を要請すること”などと書かれているし、営業時間の変更を要請できるとは思えない。このように、“できない”と決まっていたことをやっているのは問題だし、要請に関しては不服だったとしても裁判所では争えない。だから今回だけは国会を開いて法律を改正し、フランスのように3日で判決が出て手続きも一緒にセットでやる緊急審理手続きのような仕組みを作り、“不服がある人はここで争ってほしい”というようにした方がいいのではないか。とにかく日本の戦後型統治の問題だと思う」。

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