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QUAD首脳、「威圧にひるまない」インド太平洋推進で合意も中国名指しせず

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〇サイバーセキュリティ

・日米豪印サイバー上級グループを立ち上げ(サイバー標準の採用及び実装、安全なソフトウェアの開発、労働力及び才能の育成、その他安全で信頼できるデジタルインフラ整備の推進のため、定期的に会合)

〇宇宙

・地球及び海洋を保護するための衛星データを共有(気変動リスク及び海洋・海洋資源の持続可能な利用に関する地球観測衛星データ及び分析を交換するため、議論を開始)
・持続可能な開発のための能力構築を可能に(相互利益となる宇宙利用及び技術を支援し、強化し、促進するために協働)
・規範及びガイドラインについて協議(宇宙環境の長期的な持続可能性を確保するための規範、ガイドライン、原則及びルールについて協議)

QUAD4カ国首脳会議にあたって、中国は予想通り反発してきました。中国外交部の趙立堅報道官は「一部の国を標的にする小さく排他的な集団が、時代の流れや地域間の望みを反しており、支持を得られず失敗する運命にある」と批判したものです。また、首脳会議前の23日には、台湾が22日に包括的および先進的な環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟申請を行った事情もあり、中国軍機24機が台湾の防空圏に進入していました。

画像:QUAD初の対面での会談、菅首相の横にはブリンケン国務長官の姿も

(出所:首相官邸

その他、米中主要メディアは以下の通りのヘッドラインを飾っていました。

〇ワシントン・ポスト紙
「バイデンがQUAD首脳会議をホワイトハウスで主催、BGMに中国(As Biden hosts first Quad summit at the White House, China is the background music)」
→対中包囲網を目指したQUAD首脳会議だが、米高官は「非公式」で「非軍事的」と説明バイデン氏も、国連での演説で中国を名指しせず「新冷戦を望まない」と発言した。

〇ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙
「バイデン、中国への懸念を共有すべくホワイトハウスで首脳会議を開催(Biden Hosts World Leaders at White House to Share China Concerns)」
→4カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue)は安倍政権1期目の2000年半ばに概念が確立するなか、専門家は足元の動きに対し4ヵ国間の結束を固める必要性を示したものと分析。ブッシュ政権(子)とオバマ政権で元国務次官を務めたポーラ・ドブリアンスキー氏は「冷戦抑止だけでなく、紛争勃発の抑止」と指摘した。4ヵ国にとっては、QUADは中国が反発しようとも同国けん制に必要な体制だが、バイデン大統領は国連演説の通り中国の名指しを回避し、中国と外交上での対話を模索し続ける

〇環球時報、論説(英語版
「共同首脳声明、QUADのトリックと台湾への空想を表面化(Leaders’ statement shows Quad’s tricks, Taiwan island’s fantasies)」
QUADの共同首脳声明では、「台湾」は言及されず。ワシントンの期待と裏腹に、台湾を最優先議題として扱うには思惑の違いが根深く、台湾に対し4カ国が同床異夢であることが示された。また”インド太平洋”は米国にとって、中国が標的であるにも関わらず、共同声明で”中国”の文字もは見当たらなかったが、これはワシントンの外交手腕の乏しさを表すトリックとなった。
→なお、9月23日付けの論説ではQUADを「邪悪なギャング(sinister gang)」、「地域を分割し、反中勢力を煽る体制」と非難。

サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙
「QUAD首脳、ワシントンでワクチン、テクノロジー、気候変動で協力を確約(Quad leaders in Washington pledge cooperation on coronavirus vaccines, tech, climate change)」
→バイデン大統領と日豪印首脳、サイバー空間や新興技術を「信頼できる安全な」ものとすることを確約。また、学生交流プログラムなども優先事項に含む。

――共同声明では”中国”や”台湾”の文言を盛り込みませんでしたが、恐らく、バイデン氏自身が4月の施政演説で「中国との衝突は望まないが、競争は歓迎する」と発言した流れに沿ったものでしょう。一方で、QUAD首脳会議前にAUKUSが発足するなど、対中包囲網は着々と進行中。中国と台湾の表記をめぐっては、インド太平洋調整官のカート・キャンべル氏が「戦略的曖昧さ」の維持に言及する通り、いたずらに中国との対立を激化させないよう配慮したのでしょう。

環球時報が「外交トリック」と呼ぶ米国の配慮は、10月30~31日予定のG20首脳会議に向け再度、習近平主席との首脳会談を目指す秋波だったのかもしれません。目的は、対中追加関税措置の国境炭素税への移行・・・というのは、あくまで筆者の妄想ですけどね。国境炭素税については、バイデン氏の弟分であるクーンズ上院議員(デラウェア州)とスコット・ピーターズ下院議員(カリフォルニア州)が連名で「FAIR移行競争法」を提出済み。3.5兆ドルの歳出案に盛り込まれていないため、財政調整措置で通過させるならばブルーウェーブを維持する中間選挙前、つまり2022年の年度変わりを狙う気がしています。

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