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議員たちの危機感が生んだ「派閥の論理なし」の総裁選がおもしろい

田原総一朗です。

新聞もテレビも、連日、自民党総裁選を大きく報じている。岸田文雄氏、河野太郎氏、高市早苗氏、野田聖子氏、4人が立候補した。今回の総裁選は、従来とはまったく違っている。

これまでの総裁選は、大派閥の領袖の思惑で、総裁が決まってきた。安部前首相、菅首相、いずれもこのパターンである。ところが今回は、派閥の領袖の思惑がまったく通用しない。多くの派閥は、候補者の一本化を見送った。

この変化はなぜ起きたのか。今回、自民党議員たちの、「菅首相のもとでは選挙に勝てない」という危機感が、菅首相辞任につながった。そして今、「選挙に勝てる」「国民に人気がある人」を総裁にしたいと考えている。総裁選から衆院選までの1~2カ月の間、「党の顔」が選挙に直結するからだ。派閥の論理どころではないのだ。

24日深夜の「朝まで生テレビ!」では、総裁選などをテーマにとことん議論した。政治ジャーナリストの田崎史郎さんが、今回の総裁選をこう評した。「総裁選の一連の動きを見ていると、シナリオを書いている人がいるわけではない。衆院選が目の前にある。議員たちは『自分たちがどうしようか』を考えざるを得ない。さまざまな動きが出てきて、ぶつかりあって今がある」

たしかに議員たちは、何をすべきか考え、国民の声によく耳を傾けていると思う。それが、活発な政策論争につながっている。そもそも現在の日本は、新型コロナ対策をはじめ、財政、経済問題と問題は山積みなのだ。

京都大学大学院教授の藤井聡さんは、こう語った。「国民が関心を持っているのは、権力闘争より『政策論争』。プライマリーバランスの問題や、年金、外交問題……。権力闘争のニュースばかり見てきて、辟易していた国民が、自分たちに『何ができるんだろう?』と、考えることが増えている。とてもいいことではないか」

僕も藤井さんにまったく同感だ。感染防止のため、地方遊説ではなく、オンライン討論会にしたことも、かえってよかったのではないか。街頭演説のよさもあるが、オンラインのほうが、じっくりと各候補者の政策、意見を、聴くことができる。

私が長年見てきた自民党は、党内にさまざまな意見があり、「党内野党」があった。派閥闘争もあったが、それは政策、意見が違うからこそだ。だからバランスが取れ、長年政権を担ってきた。

ところが、小選挙区制になり、1選挙区で当選者1名となると、党の執行部に気に入ってもらわなければ、選挙に勝てなくなった。党内で自由な論争をする空気が、どんどん失われていったと思う。特に安倍長期政権の頃は、「みんな安倍首相のイエスマンだ」と、僕は何度も批判してきた。しかし、今の自民党は非常におもしろい。さあ、新総裁は誰になるのか。

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