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  • ヒロ
  • 2021年09月28日 10:28

SDG's がもたらす物価高

世の中の仕組みのギアを変える時に痛みを伴うことが多いのはご承知のとおりです。我々は新たな産業革命に向かって進んでいるのですが、ソフトランディングは容易ではないかもしれません。

今は第何次産業革命か、と聞かれてぱっと答えが出そうで出ないと思います。第4次という人もいるし第5次にかかっているという人もいます。何を根拠にしているかといえば産業のアウトプットに視点を合わせてそのブレークスルーをもって産業革命だと考えるのでしょう。一方、私が考える産業革命とはズバリ、利用するエネルギーの変化そのものが背景だと考えています。第1次は英国でスタートしましたがそれは石炭燃料でした。第2次は19世紀後半の石油と電気でした。第3次は20世紀後半からでエネルギーの部分の説明があまりないと思いますが、原子力と考えています。

つまりそのロジックからすれば今は本質的にはまだ第3次のはずなのです。ただ、多くの説明は第4次だとしていますが、それらの主張に対して私はコンピューター社会の延長戦でしかなく、革命ではないと考えています。

本当の第4次産業革命は非化石エネルギー時代の本格到来が背景になくてはならず、現在世界各国が推し進めているエネルギー政策の見直しとそれを充足する技術の確立が伴うべきであり、時代的には2030年代から50年代になるものと考えています。多分ですが、第四次産業革命の本命とは量子コンピューターとかAI、自動運転自動車といったすでに実務レベルに入ったものではなく、ズバリ宇宙だとみています。宇宙にもいろいろありますが、まずは大気圏外での一般的活動、および月などの地球外での活動が主軸になるとみています。

さて、産業革命の話はともかく、我々は現在、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を図る一番難しい時期にいます。政治背景もあり、SDG’sをバイブルとし、その中の環境対策で石化エネルギー悪玉論が席巻しています。それはそれで結構なのですが、代替えとなる太陽光、風力、地熱といった発電はまだまだ茨の道であります。太陽光は地域差や季節差があり蓄電技術が確立していないことがあります。風力は例えば偏西風が常時吹く北海や北欧はメリットがありますが、日本では秋田など日本海側の一部に限られます。洋上も技術的にまだ安定感がないのが実情です。ベストは大気圏外から安定的に太陽光発電を地上に送るシステムで日本でも研究が進んでいると理解しています。

今後、10年ぐらいの時間を経てそれらの改善、改良が進み、より使いやすく、エネルギー効率も高まってくるのでしょう。一方で今起きていることは化石燃料のバッシングであり、その為に生産者は確実に減少するというリスクを抱えています。

例えば石炭火力をこれから新設するにはファイナンスを含め極めて難しいでしょう。アメリカでシェールオイルのリグ数は2019年末には800本以上あったのですが、コロナ直前には680本ぐらいに減少、コロナで原油価格がマイナスになると180本ぐらいまで落ち込みます。現在回復して400に届いたのですが、直近で減少してきています。私はSDG’sによるファイナンスが困難になったのが背景だろうと思っています。

日経に「ガス急騰、欧州に迫る試練 物価高・景気鈍化で二重苦も」とあります。欧州で天然ガス相場が暴騰しているのです。20年夏に比べ現在はほぼ10倍の価格です。では日本ではどうか、といえば直近の液化天然ガスの相場は20年夏に比べ2倍です。欧州に比べれば落ち着いているため、日本社会の中であまり話題になっていません。ですが、この価格はもっと上がり続けます。中国でも電力不足が話題になっていますが、これもエネルギー価格が上がったことが背景です。

アメリカエネルギー省(EIA)の最新の原油価格見通しは2050年までずっと緩やかに上昇を見込んでいます。ちなみに2050年の予想は110㌦程度(WTIベース)となっています。我々がSDG’sで代替エネルギーの道筋を確保したとしてもそれまでに現在の新興国であるインド、インドネシア、ブラジルを含めた人口を多く抱える国々ではたぶん、石化エネルギーが主軸のままだろうとみられます。その場合、それらの国の経済成長と共に消費量が爆発し、私はEIAの予想をはるかに上回るエネルギー価格になる公算があるとみています。

当然、先進国でもエネルギー価格が現在の水準よりはるかに高いところになるリスクはあります。ご記憶のある方も多いと思いますが、70年代の石油ショックは私から見れば第2次産業革命から第3次に移行する際の痛みであったと思うのです。

我々はあの狂乱物価の時代をもしかしたら再び、迎えるのかもしれません。現時点でそれを否定する材料はほとんど何もないこと、そして地球環境問題を我々人間の手で変えたいとしたことを十分理解する必要があるでしょう。エネルギー価格が狂乱状態になれば非化石エネルギーの開発に拍車がかかる可能性もあります。人類が延々と行ってきた物価との戦いが繰り返されるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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