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米タイム誌が評価した隈研吾氏の新国立競技場が「負の遺産」に

BLOGOS編集部

米タイム誌(電子版)は、2021年の「世界で最も影響力のある100人」を発表した。その中で日本人は大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手と女子テニスの大坂なおみ選手、そして建築家の隈研吾氏が選出された。

大谷選手と大坂選手は、その活躍から選ばれたのは十分理解できるのだが、隈氏は一体、何が評価されたのか!? 週刊誌の記者は言う。

「東京五輪で新国立競技場を手がけた功績です。競技場の設計に関わり、周囲の環境に溶け込むようなデザインは建築の世界最高峰だと評価されたのです。世界的な運動になっているSDGs(持続可能な開発目標)の中で、これぞサステナブルだという印象を与えたことに尽きますね」

いずれにしても、日本人の功績が認められたのは喜ぶべきことではあるが、隈氏の選出に、どれだけの日本人が納得しただろうか? 確かに、新国立競技場が斬新だったことは理解できるし、設計や建築などには世界最高峰の技術が伴っていたのかもしれない。

「新国立競技場は、国産木材をふんだんに使用し、世界的にも珍しい『木のぬくもりが感じられるスタジアム』と評価されるなど、時代に即した環境に優しいサステナブルな競技場だったことは間違いありません。が、肝心な競技場としては使い勝手の悪い、とんでもない巨大施設を建設してしまったのです」(前出の週刊誌記者)

タイム誌は「隈氏の影響力」を評価したが、都民はもちろん国民にとっても最悪な事態を招くものになりそうなのである。

五輪会場、今後の利活用どうする

東京アクアティクスセンター/Getty Images

国内はコロナ感染問題に加え、自民党の総裁選、眞子様と小室圭さんの結婚問題、さらには秋の総選挙と慌ただしいが、その裏で早くも置き去りにされつつあるのが、嵐のように過ぎ去った「東京五輪」の後始末と言うわけだ。

では、「東京五輪」の開催によって生じた膨大な〝赤字〟はどうなるのだろうか?

赤字の処理は総裁選、そして総選挙が終わって「新政権」がスタートするまで大きな動きはないだろう。来年4月以降に大会の決算が出るまでは文字通り「先送り」されると思われるが、その前に都民、強いては国民とって大きな「重荷」になろうとしているのが、隈氏によって建設された新国立競技場を始めとする、「有明アリーナ」「東京アクアティクスセンター」「海の森水上競技場」「大井ホッケー競技場」「カヌー・スラロームセンター」「夢の島公園アーチェリー場」などの、言わば「都の恒久施設」である。

そもそも新国立競技場は、隈氏の前にイラク出身でイギリス国籍の建築家、ザハ・ハディド氏(16年3月死去)で決まっていた。ところが2520億円という巨額の建設費に批判が集まり白紙撤回となり、その全てが見直されて建設されたのが現在の競技場だった。約3年の工事の末に完成したが、その建設費用は競技場や周辺整備の工事費などを含め1569億円。確かに整備計画で設けた上限の1590億円内には収まったのだが…。

「工事期間や労働環境問題などがあり、当初予定していたラグビーW杯の新国立競技場開催は断念せざるを得ませんでした。工事費は上限額を下回ったとは言え、結果的には過去のオリンピック・パラリンピックのメインスタジアムと比較すると高い建設費となったことは確かです」(スポーツライター)

しかも、建設費以上に大きな問題になっているのが、五輪後の利活用だった。

「新国立競技場は国が管理するもので、都の恒久施設とは違いますが、すでにその利活用については思考停止状態に陥っています」と言うのは前出のスポーツライター。一体、どう言うことか?

「当初、政府は改修した上で球技場としての活用を考えていました。つまりサッカーやラグビーの専用施設です。さらに運営権に関しては民間企業に売却することも進めていました。ただ、新国立競技場の隣には秩父宮ラグビー場もありますからね。噂では巨人がホームグラウンドにするのではないかとも言われていましたが、おそらく現時点では何も決まっていないと思います。とにかく全てにおいて計画の甘さが感じられます。今後も呪われた五輪は続くでしょうね」

欠点だらけの新国立競技場

AP

そもそも、「隈氏の競技場の設計にも問題が多過ぎる」と言うのはスポーツ紙の運動記者だ。

「客席の下層席は角度がなだらかでピッチが見えず『サッカー観戦には不向き』なことと、会場内のトイレの数も少なく『混乱が生じやすい』。詰まるところ『デザイン優先で使いづらい』と言うのが共通した意見で、スタジアム設計経験のない隈氏では無理があったのではないかと」

予算の問題があったにしても「屋根がない」こともマイナスに働いている。そればかりではない。音響や空調の設備も不十分で、コンサートなどのイベントにも使いにくいという声もある。

「新国立競技場は維持管理費だけでも年間24億円かかると言われています。使い勝手の悪い施設である以上に、採算の見込みが立たない施設管理に手を挙げる民間業者などいませんよ。実際に現在、管理運営を担っている日本スポーツ振興センターも頭を抱えています。今後、民間業者から手が挙がらなければ大規模な改修を含め、再検討するしかなくなるでしょう」(前出のスポーツライター)

11億円の赤字見込み 五輪会場が「負の遺産」に

その一方で、前述した都が新設した恒久施設も深刻である。

「都が6施設に投じた建設費はおよそ1400億円ですが、現時点で採算が取れそうなのは、各種スポーツ大会に加えコンサートやイベントなどの使用が可能な有明アリーナだけで、残りの5施設については採算の見込みが立っていません。

小池百合子都知事は『素晴らしい成果をあげた東京五輪のレガシーを生かし、ハードとソフトの両面で豊かな街づくりに努めていきたい』なんて記者団に語っていましたが…。567億円を投じて建設した東京アクアティクスセンターなどは、再整備をした上で2023年の春に再オープンすると言っています。

世界最高水準のプールやトレーニングルームを設け水泳選手育成の拠点にし、年間100大会を誘致して年間100万人の来場者を目指すと豪語していますが、それでも6億4000万円の赤字が予想されています。すでに運営は民間に委託されてはいますが、今後、運営管理が行き詰まる可能性は十分に考えられます」(スポーツ紙のIOC担当記者)

有明アリーナを除く、残りの4施設を合わせると年間の赤字は11億円にもなる。そこで都は、ネーミングライツ(命名権)などで赤字幅を減らしたい意向のようだが「すでに都民の税金で永久的に補填するしかない状況です」(同スポーツ紙記者)

「コンパクトな五輪」を謳って誘致された東京五輪。コロナ禍で開催の是非だけがクローズアップされ国民を二分するほどの論争になったが、今後は「負の遺産化」した競技施設問題で論争が勃発しそうだ。

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