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菅首相より厄介なことに…官僚も経済界も「河野太郎首相だけは勘弁してくれ」と口を揃えるワケ

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具体的な根拠の積み上げがない「いわくつき」の数字

「河野太郎氏のああいう言動は日常茶飯事だ」。9月1日、週刊文春は河野氏と資源エネルギー庁幹部とのやりとりを「パワハラ」として、音声データを公開した。問題のシーンは3年に一度見直され、10月に閣議決定を控える「エネルギー基本計画」を巡るやりとりだ。

自民党総裁選/インターネット番組で討論会インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」主催の自民党総裁選候補者による討論会を前に、談笑する河野太郎規制改革担当相(左)と岸田文雄前政調会長=2021年9月18日、東京都中央区銀座[代表撮影] - 写真=時事通信フォト

エネ庁から出席していたのは山下隆一次長、小澤典明統括調整官だ。経産省・エネ庁が8月に出した素案では、2030年に総発電量のうち、再生可能エネルギーの比率を「36~38%程度」にするとしたものだ。

この数値は4月に米バイデン大統領主催の気候変動に関する首脳会議(サミット)に出席した菅首相が「野心的な目標として30年度に46%削減を目指す」と各国首脳に向けて述べたのを逆算して作ったものだ。欧米諸国に足並みをそろえるために19年度実績(約18%)の2倍にあたる高いもので、具体的な根拠の積み上げがない「いわくつき」の数字だ。

原発の再稼働がままならず、肝心の再エネも太陽光パネルを設置する場所も枯渇。風力発電も大きく引き上げられるめどが立たない中で、「無理筋な目標」として産業界は一様に不安を抱いて10月の閣議決定への成り行きを注視している。

「再生可能エネルギーの比率」で、なぜそこまで興奮したのか

この「無理筋な目標」に対し、河野氏は「『36~38%以上』と明記しろ」と執拗(しつよう)に迫ったという。

エネ庁の小澤氏は「『以上』という文言を入れれば、産業界に『最低でも38%は達成するだろう』と誤ったメッセージを与え、企業の設備投資などにも大きな影響を及ぼしてしまう」と理解を求めたが、河野氏は「積み上げて36~38になるんだったら、以上は36~38を含むじゃないか! 日本語わかるやつ出せよ、じゃあ!」と激しい言葉を浴びせ続けた。

そして、エネ庁幹部の言葉を遮るように、「はい、次」「はい、ダメ」と連発され、その“ダメ出し”の回数は13回にも及んだ、生々しい状況が音声データで公開されている。

自民党の「異端児」と呼ばれる河野氏の看板施策の一つに「原発ゼロ」がある。河野氏は東京電力福島第一原発の事故後に超党派の議員連盟「原発ゼロの会」を立ち上げた張本人でもある。

しかし、総裁選をめぐる各候補者との討論会やテレビのインタビューではこの「原発ゼロ」を封印。「耐用年数の切れた原発は順次フェードアウトする。中長期的には原発は減っていく」と発言をトーンダウンするなど、いつもの切れ味はない。「総裁選での地方の党員投票や自民党内の原発維持・推進派を刺激したくないとの判断がある」(自民党中堅幹部)からだ。

再生可能エネルギーの比率をめぐって「パワハラ」ともいえる発言が出たのは、自らの政治信条の一つである「原発ゼロ」に向けて、その道筋を明確にしたいという思いがにじんだからだろう。

伊方原発※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paprikaworks

「防衛大臣から離れてもらってほっとしている」との声も

このやり取りは9月2日の官房長官の記者会見でも取り上げられた。加藤勝信官房長官は記者からの質問に対し、「政府内の非公開のオンライン会議の議論が外部に漏洩した。関係省庁で事実確認し、必要に応じて適切に対応する」として、幕引きを図ったが、官僚たちの河野氏に対する「怨念」は収まらない。

「人の話を聞かない」「独断専行」「根回しをしない」。防衛大臣だった河野氏のことをこう並べ立てて指摘するのは同省の幹部だ。

防衛相だった河野氏は、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について安全性に問題があるとして、いきなり配備を断念した。自民党内ではその「独断」ぶりに批判が噴出した。

また、防衛省の施設で使う電力も将来的には「再生可能エネルギー比率100%を目指す」と会見でいきなり発言、防衛省の事務方は度肝を抜かれた。

天候などで電力供給がストップしかねない再生エネに自衛隊が依存するようになれば、それこそ、有事の時に危機的な状況に陥りかねない。「防衛大臣から離れてもらってほっとしている」(防衛省幹部)との声も漏れる。

富士山と日本のソーラーパネル※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paprikaworks

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