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エネルギーの安定供給

自民党総裁選でも議論されるエネルギーの安定供給について。これは国の舵取り上、大変重要な課題だと思います。エネルギー基本計画の議論では、党内からも、さまざまな意見が出されます。

再生可能ネルギーの利用拡大と火力発電などに起因する温室効果ガスの削減という点では異論がないように思います。争点は再エネ普及に向けて何をするか、そして、それまでの間の安定電源として原発をどうするかという点に尽きるかと思います。

現在、原発は安全が確認されたものから再稼働をおこない、2030年までには電力の20%程度は原発で対応するという方針です。

一方、寿命延長をしたとしても設備の老朽化は深刻な問題です。そこで、次の段階の議論が必要になります。建て替えや増設という議論です。原発建設は地元の理解を得ることが最大の関門であることから、新たな場所に建設することは難しいのが実情です。

特に、福島原発事故以降、原発の安全性に疑問を持たれる方が多いことも事実で、新たな立地地域を見つけることはもちろん、既存の施設の建て替えでさえ容易ではありません。廃棄物処理についても同様で、最終処分場の選定もこれからです。

さまざまな意見があると思いますが、現時点では、SMR(小型モジュール炉)を中心として、スマートグリッド(需給が最適化された次世代送電網)を各地域で構築する案が理想だと思います。新しい技術なので課題もありますが、我が国の気候条件を考えると、過度の再エネ依存は安定供給という観点からはリスクとなりますのでSMRは魅力的です。

しかし、SMRも原子炉なので、前述の理由で立地は困難が予想されます。もたもたしているうちに、原子力関連の技術者も減少し、基礎技術が失われてしまう可能性も否定できません。何事も人(=技術)がいなければ実現できません。そして技術人材は育成に時間が掛かりますし、技術の質を担保するなら、開発から製造、据付、運転、メンテナンスに至る、より幅広い技術者が継続的に原子力技術に関わる必要があります。

恐らく、既存原発の再稼働後、炉が寿命を迎える段階で、自然と「脱原発」となる可能性が高いと考えます。感情的な原発反対運動に押し切られるか、冷静に将来を見据えて(100%ではないにしても)安全性が担保された原子力の積極活用の理解が得られるかで、我が国の未来は大きく変わります。

それまでに、核融合炉などの新たな電源を商用化できるかというと、それも難しいと思われます。漠然と「イノベーションで・・・」というのも無意味です。現実的に、やれることは多様な再エネの活用と蓄電技術や省エネ技術などによる総合的な技術で安定化を目指すことになろうかと思います。もちろんカーボンニュートラルの実現は簡単ではありません。

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