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皇位継承問題について

自民党総裁選の議論の中で、女系天皇への賛否など「皇位継承問題」に触れられることも多いようです。私自身も問題意識はあるものの、なかなか難しい問題だと思っています。

現状では「皇統に属する男系の男子」が継承する制度ですから、父系の血筋を辿ると126代、唯一の血統で受け継がれてきた「万世一系」という他に例がない大変に重い伝統となります。軽々に変更できる話ではありません。

一方で、現実的に皇族数が減少する中で、その確保が喫緊の課題になります。大変に重い伝統であるからこそ制度的な安定性を担保することも同じく重要です。具体案無しに男系を維持すべしというのも無責任ですし、女系天皇に賛成か反対かという単純な話でもありません。

そこで、男系を維持する方策としてあげられるのが「旧宮家の皇籍復帰」や皇室典範を改正して旧宮家の男子を「養子」として迎えることを可能とする案です。

先の7月の有識者会議の提案も、以下の三点に集約されています。

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とすること

②皇族の養子縁組を可能とすることで、皇統に属する男系の男子が皇族となることを可能とすること

③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

今後の検討は①及び②を中心とする こととし、③は、①及び②では十分な皇族数が確保できない場合に検討する事柄と考えるべきではないか。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/dai10/gijisidai.html

旧宮家は11あるとされていますが、対象となりうる未婚の男性は限られており、皇籍復帰も希望されていないという現実があります。皇籍離脱の経緯はともかく、既に一般国民である方を皇族に戻すことは「門地による差別」(憲法14条)に抵触するという指摘もあります。さらに、この有識者会議に集約された案でも出生率から勘案すると、男系継承の安定性は維持できないとされています。

根本的には、天皇制を祭祀の側面から捉える考え方と、憲法上に定められた象徴としての役割を担った人間として捉える考え方で、大きく価値意識が異なります。男女平等の議論を持ち込む方もいれば、どんなに遠くても血縁を重視する考え方や、逆に遠すぎる血縁の正統性を問題視する方もいます。

とはいえ、皇位継承の課題を克服しなければ、この伝統も終わってしまう可能性が高いので、先送りするにしても限界があります。長い歴史の中で、さまざまな知恵でその時々の課題を乗り越えてきた皇位継承問題ですので、歴史を遡って答えを探す議論も必要です。総裁選で議論すべきような課題ではなく、専門家の議論を踏まえて、広く国民の理解を得るプロセスが重要だと考えています。

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