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「超党派で休眠口座の活用を進めよう」――ノーベル平和賞・ユヌス博士と考える「休眠口座の活用法」

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毎年850億円も発生している銀行の「休眠口座」。長い間、取引もなく眠った状態にある口座の資金を活用して、社会的に意義のある活動ができないか。そんな問題意識から発足した休眠口座国民会議が2013年1月31日、「休眠口座が日本の未来を創る」と題するシンポジウムを開催した。

マイクロファイナンス(貧困層を対象とした小口金融)をバングラデシュから世界に広めた功績でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士を招き、基調講演をしてもらったうえで、国会議員や弁護士、NPO関係者がパネルディスカッションをおこなった。

ユヌス博士は講演で、休眠口座を活用している海外の事例を紹介しつつ、「ソーシャルビジネス(社会的企業)のために休眠口座を利用してみてはどうか」と提言。パネルディスカッションでは、休眠口座の使い道や実現に向けての課題について議論したあと、自民・公明・民主の国会議員が、超党派で準備を進めていくことを確認しあった。【構成:亀松太郎、三好尚紀】

ムハマド・ユヌス氏(提供:日本財団)
ムハマド・ユヌス氏(提供:日本財団) 写真一覧

ユヌス博士の基調講演「休眠口座をソーシャルビジネスに活用しよう」

ユヌス博士:休眠口座の活用として、まずあげられるのは韓国の事例です。韓国では、30億ドル以上の眠っている貯金があると聞きました。そこで、これを活用してマイクロクレジット(貧困者向けの小口融資)ができないかと考えました。韓国の大統領と話をしたところ、この考えをサポートすると言ってもらい、そこからアクションに繋がっていきました。

もう一つの事例は、イギリスです。「ビッグ・ソサエティ」という社会的企業のためのファンドが作られようとしたときに、休眠口座が活用できるのではないかという話になりました。これだけのお金が眠っているのだから、ぜひ活用させてもらおうということになったのです。

休眠口座の活用法は、いろいろな方向性があります。一つは、マイクロクレジットのために活用するという方向。バングラデシュのある村から始まった試みは、いまでは世界中を巻き込んだ状態にまで発展し、いろいろな国でマイクロクレジットのプログラムが進んでいます。

もう一つの方向性として、休眠口座をソーシャルビジネスの支援に活用するという方法があります。ソーシャルビジネスの一例が、バングラデシュに作った「グラミン・エナジー」という再生可能エネルギーの促進・開発を進める会社です。

バングラデシュでは電力が不足しているため、ソーラーエネルギーを使って電気を供給することを目指しました。最初は苦労しましたが、会社の創立から16年経った今では、100万世帯以上がソーラーエネルギーで潤っています。

ユニクロは「ソーシャルビジネス」で女性用ナプキンを配った

ソーシャルビジネスの会社は、利益の追求ではなく社会問題の解決を目的としていますが、NGOやNPOとは異なり企業なので、持続可能な事業でなければいけません。最近では、国外の大手企業も関心を持つようになり、一緒にジョイントベンチャーを作ってソーシャルビジネスを立ち上げています。

たとえば、フランスの大手企業「ダノン」です。バングラデシュでは、子供たちの48%が栄養不良です。そこでダノンに、栄養不足という問題を克服できる商品を作ってほしいとお願いしました。その結果、子供たちに不足しているビタミンや鉄分、亜鉛などを含んだ特別なヨーグルトを作ってもらいました。

ダノンは十分な技術で試行錯誤を繰り返して、非常においしい、栄養素の高いヨーグルトを作ってくれました。また、どうやってコストを下げられるかを考え、価格を安く設定しました。今ではバングラデシュで人気の商品となり、貧しい人たちの間でも良く売れています。

日本企業とのジョイントベンチャーもあります。たとえば、ユニクロです。地方の村に住む、衛生用品を使ったことがない女性のためのナプキンを開発してもらいました。再生可能で安価な女性用ナプキンです。非常に好評でビジネスは拡大しています。こうしたソーシャルビジネスのアイデアは多くの国で広がっています。

日本で休眠口座を有効利用するときには、ソーシャルビジネス基金を作ったらいかがでしょうか。休眠口座の資金を活用してソーシャルビジネスに投資するというものです。日本の創造力・技術力で世界の社会問題を解決できると思います。それは、すばらしい貢献になるでしょう。

人間は創造性を持っています。無限の創造力を持っているのですが、ほとんどそれを使えていません。なぜなら、利益追求型の企業のやり方が方向性を間違えさせてしまうからです。しかしソーシャルビジネスでは、企業の力や個人の力で世界の問題を解決することができます。人間の創造力をうまく生かすことができれば、社会の問題を克服することができるのです。

休眠口座は、そのようなソーシャルビジネスを推進するために、強力なツールになりえます。

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