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米軍の無人機による攻撃と民間人の犠牲ー2013年12月衆議院外務委員会での質問をもとに

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○阪口委員 大臣がいろいろな意味で明快にはお答えしにくい立場であるということは、私もよく理解をいたしております。

 ただ、今大臣が答弁された内容の中に私は誤りがあると思います。

 この十月にパキスタンのシャリフ首相は訪米をして、オバマ大統領との会談の中で、紛争の当事国ではないパキスタンにおける無人機の爆撃は主権侵害であり、これは停止すべきだという表明を出しているんですね。にもかかわらず、米国は攻撃を続けている。これは大変に国際的にも大きな問題だと思います。

 米国がこの攻撃を続けている法的根拠、これはどこにあるんでしょうか。

○岸副大臣 米国政府によります無人機による攻撃、これも含めまして、あらゆる米国の軍事行動につきましては、関係法規に従って行われるということが説明されておるわけでございます。

 他方、米国のオペレーションの詳細につきましては、我が方が当事者ではございませんので、その詳細について知り得る立場ではないわけでございます。

 そういう意味で、なかなか確定的なコメントを申し上げる立場にはないということを申し上げさせていただきたいと思います。

○阪口委員 先ほど小川委員の問題提起にもありましたが、我々は人間の安全保障を実現する、そのためのリーダーシップをとっていくということを国際社会に対して約束している立場であります。そして、このような人道的な被害をもたらし、また今、国際社会における大きな問題になっているテーマについて、やはり他人事であるという態度は許されないと思います。

 特に被害を受けた方々、これは補償も全くされないんですよね。アメリカが情報をしっかり公開して、誤爆による、また巻き添えによる被害であるということを明確にして、そして補償する、これは起きてはならないことですが、少なくとも補償する、そういった態度を示さない限り、大変な憎しみ、テロの連鎖、これが起こり得ると思います。

 やはり、日本政府としては、この連鎖をとめるための努力をしていく必要があると思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、先ほど委員の方からシャリフ首相の発言について紹介がありました。

 十月二十三日の米・パキスタン首脳会談共同記者会見におけるシャリフ首相の発言、私も承知をしております。

 ただ、その発言は承知しておりますが、先ほど言いましたように、これまでの経緯ですとか、背景に何があるとか、これは我々十分把握しておりませんので、我が国の立場から、ちょっと具体的にコメントは差し控えさせていただきたい、こういったことを先ほど申し上げた次第でございます。

 そして、こうした無人機の問題につきましては、先ほど法的根拠の御質問もございましたが、まず、今現在、保有ですとか使用を禁止する条約ですとか国際法は存在しないとは認識しておりますが、一般論としまして、武力紛争における戦闘の方法及び手段、これは国際人道法によって規制をされていると認識をしております。

 無人航空機が武力紛争において使用される場合も、同様に国際人道法の適用を受ける、これは当然のことだと認識をしております。

○阪口委員 今、国際人道法について御指摘がありましたが、米国の自由人権協会、これは米国における最も影響力のある人権協会ですが、この団体は、国際人道法は、個人が敵対行為に参加することを阻止する場合を除いては、標的殺害、つまり無人機によって、レーダーで誘導された爆撃によって個人を爆撃する、これは暗殺に近い手法だと思いますが、こういった標的殺害を禁じている。そして、米国が世界のいかなる場所でも疑わしい敵に対する無人機または他の手段による軍事力行使の正当性を主張するなら、他の国が米国内で同様の行為を行うことも正当化される、このように述べております。

 これは、解釈すれば、自分たちの国で他国がこのような行為を正当化するというようなことがあり得ない、あってはいけない以上、アメリカもするなということを米国内の人権団体が表明しているということだと思います。

 この点についてどのようにお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘の国際人道法についてですが、まず、砲爆撃は軍事目標に限られるべきであるという区別原則、軍事目標主義、こういった考え方は考慮する必要があると考えております。

 いずれにしましても、個別の問題については、先ほど申し上げたとおり、ちょっとコメントは控えたいと存じますが、こうした大きな議論が今国際社会で起こっていることについては、しっかりと留意し、そして注目をし、そして我が国としても今後の対応について考えていかなければならない、このように思っています。

○阪口委員 この問題に対する日本政府の今後の方針、これはやはり国際社会の期待に沿うものでなければいけない。そして、その上でのリーダーシップをとっていくということが、私は、日本としての国際社会における存在感の一つの見せ方ではないかと思います。

 女性が教育を受ける権利を主張して、それゆえにタリバンの攻撃を受けたマララ・ユスフザイさん。彼女は、ノーベル平和賞の候補者にもなりましたが、テロリストによって攻撃を受けた立場でありながら、ホワイトハウスにおいて、オバマ大統領に対して、無人機攻撃がテロリズムをあおっている、先ほど申し上げたように、テロの連鎖を生み出しているということを強く訴えました。

 日本政府としては、この問題に真剣に取り組んで、国際社会を引っ張っていく、国際世論をリードしていく、そのような方向性をぜひ打ち出していただきたいと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘のマララさんですが、これは十月の十一日ですか、オバマ大統領一家と懇談をされ、そのやりとりの中で無人機攻撃に対する懸念を表明し、そして、罪のない被害者が無人機攻撃で殺されており、パキスタン国民の反発につながっています、こういった指摘をしたということは承知をしております。

 こうしたマララさんの発言も含めて、この問題について、今国際社会で議論が行われていると承知をしております。

 ぜひ、そうした中で、我が国としてどうあるべきなのか、真剣に考えていかなければならないと思っています。

○阪口委員 真剣に議論を行っていく上で、基本になる国際法、これを押さえておく必要があると思います。

 先ほど法的根拠ということをお伺いしたんですが、これはちょっと確認をさせていただきたいんですが、一九四九年のジュネーブ諸条約及び追加議定書によると、このようなことが述べられております。

 第一に、戦時に敵意を持った相手を攻撃することは認められているということであります。しかし、無人機攻撃は、敵意や武器の有無の識別が十分ではない可能性が高いこと、これが大きな問題であります。

 そして、仮に標的がテロリストであっても、このジュネーブ条約によると、敵対行為を行っている最中でなければ、過去の行いを理由に攻撃はできないということであります。

 また、テロリストへの攻撃は捕獲が難しい場合に認められていますが、その場合でも警告が必要で、それらの手順を踏まない攻撃は裁判によらない処刑であり得るということであります。

 無人機による攻撃は、当時は想定はされていなかったとは思いますが、このような、ジュネーブ条約に明らかに反すると思われる点を多々含んでいるということもございますので、これは繰り返しになりますが、日本政府として、この点において、人道的な見地から国際社会をリードしていく役割を果たしていただきたいと思いますし、そのことによって、平和に貢献をする、人道上の問題に対して果敢に挑戦をする日本という存在感をぜひ出していただきたいと思います。

 特に、この際に、日本が問題提起をする場は国連であると思うんですね。ぜひ、国連総会に対して、無人機攻撃による民間人の犠牲を懸念し、国際人権・人道法に違反することがない国際ルールの確立、そして、主要国による透明性のある調査、すなわち、無人機攻撃を行う国があったとすれば、まずはその国自身が責任を持って調査をするということを認めるべきであると思います。そして、犠牲者が生じてしまった場合、責任を持って補償をする、これも私は必要な態度だと思います。

 このような、国際ルールを確立するための働きかけをぜひ日本として行うべきだと思いますが、重ねて大臣の考えをお伺いしたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、ジュネーブ条約との関係においての指摘につきましては、参考にさせていただきたいと存じます。

 そして、その上で、こうした問題に対する国際的な議論、しっかり注視をしていきたいと存じます。その上で、我が国の具体的な対応等についても検討していきたいと考えます。

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