- 2021年09月16日 22:26
支持されるリーダーはメンバーが生き生き働ける職場づくりに徹する - 「賢人論。」第147回(中編)永松茂久氏
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著書『人は話し方が9割』を含め、出版した書籍が累計220万部を越える永松茂久氏。自身の夢であったたこ焼き屋を起業し、経営する飲食店を記録的な大繁盛店に成長させた実業家でもある。そして、現在はその道のりを経て得たことを元に執筆を行ったり、リーダー層の教育に携わったりしている。そんな永松氏に、支持されるリーダーや成功の秘訣について伺った。
取材・文/みんなの介護
リーダーには2つのタイプがある
みんなの介護 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」での特別賞受賞など、さまざまな記録を打ち立てた永松さんの原動力は、どのようなものだったのでしょうか?
永松 やはりスタッフたちとの絆が大きいと思います。出版というと、どうしても私1人にフォーカスされがちですが、チーム力でタイトルが取れたと思います。
出版社とも仲良くさせてもらっていて、出版社でもチームを組んでサポートしてくださっているので、その距離感の近さやプロジェクトメンバーの支えは大きかったです。「みんなで一丸になってタイトルを取るんだ」という思いが、私自身の原動力だったと思います。
みんなの介護 コミュニケーションを大切にしていることが夢の実現につながったのですね。チーム力を上げていくためにどんな工夫をされていますか?
永松 「聞くことに徹する」ということです。リーダーは2種類あって、夢を語って引っ張っていくタイプと、聞くことに徹してみんなの英知を集め、採決して現場で実践していくタイプがいると思うのです。
私は、リーダーの育成にかかわることもよくあります。リーダーは、話すのは得意でも聞くのが苦手で1人で暴走してしまう方が多いです。そのようなリーダーは、気がつけば、みんながついてこなくなっていると悩まれるお話をよくお聞きします。しかし、よく考えると、みんな感情を持った1人の人間です。
何でもかんでも独断で進めていくリーダーと、意見が通るかどうかは別にして、意見をしっかり拾いながら進めていってくれるリーダーであれば、どっちのリーダーについていきたいかは明白だと思います。
なので、とにかく私は聞くことに徹しています。また、自分自身が周囲の話を聞くこともそうですが、みんなが意見を出しやすい環境づくりに、ずっと頭を使ってきたような気がします。
偉そうなことを言っていますが、私も昔は前者のタイプのリーダーの方で、とにかく夢を語って「ついてこい」という感じでした。しかし、私の調子が良いときはそれでも回るのですが、私のエネルギーが下がってしまうと、チーム自体もトーンダウンしてしまいます。
そこで悩んでいたとき、経営の先輩から、「よく人の話を聞いてみな」と言われて、スタッフの話を聞くことを実践し始めたら、スタッフたちも発言するようになりました。
「どうありたいか」を示して原則をルール化する
みんなの介護 意見を出しやすい環境づくりは、どうしたら実現すると思われますか?
永松 まずは、意見を出しやすくするための原則をミーティングや会議の中でルール化することですね。例えば、「否定禁止」ということと、「笑顔で」「頷いて」「一緒に笑う」というアクションを、最初から基本的な約束ごとにします。
このアクションを転用しようとしても、最初のうちはスムーズにはいかないかもしれません。反対意見が出たり、「そんなことをしたら、だらけるのではないか」という意見が出たりします。また、根本的に「そんなの嫌だ」という人たちが出てくることもあります。
ここがリーダーの仕事だと思うのですが、「私たちはこれを実践するんだ」ということを、まず決めます。「自分たちがどうありたいか」を示すこと自体は、リーダーの役割だと思っています。これを最初にルール化してしまうということですね。
みんなの介護 そのような、永松さんの試行錯誤を得て確信したことを、『人は話し方が9割』に書かれていたのですね。
永松 そうですね。それ以外のことは書いていないです。出版をするうえで、自分がしていないことを書くのは、責任が取れないところがありますからね。
自分たち自身が実践して、いろいろなコンサルティングや支援活動をしてきた中で、「これは一つの法則性があるな」と思うことだけをダイジェスト化して書かせていただいています。
みんなの介護 失敗したことを次に生かすために、どんな考え方をしてこられましたか?
永松 うまくいくまでやることですね。私は、「あり方」というのは絶対変えない方が良いと思っていますが、「やり方」は何回変えても良いと思っているのです。
誰であっても、最初の一発目から射的の真ん中に弓矢を当てられるわけがないと思います。うまくいくまで続けて、それをまたチームの中で浸透させていく。そのトライアンドエラーの挑戦は、100%肯定するようにしています。



