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無人機とオバマ政権の戦略:その2

今日の横浜北部は快晴でした。だいぶ日差しには力強さが感じられますね。

さて、昨日の続きを。

アメリカがパキスタンで行っているとされる無人機による主要テロリストの「首切り戦略」ですが、これが実は単なる「戦術」になってきてしまっていて「戦略的」な効果は全く上げられておらず、むしろ逆効果だという分析です。

まさに「戦略の階層」の実際例として、非常に興味深いものかと。

===

オマバの秘密の「無人機戦争」のコスト
By P.J.クローリー(元米国務副長官)

●まず最初にに言っておくべきは、ブレナン氏は上院でCIA長官に承認されるということ。そして次に言っておくべきは、ほぼ一二年がたとうとしている戦争においても、いまだにアメリカ国内ではこの戦争にたいしてどう戦うべきかについて大きな意見の相違があるということだ。

●ブレナン氏は過去四年間のオバマ政権のアルカイダとの戦争、とくに多数の国で無人機を使用したことについて、強烈な弁護を展開している、

●彼は「オバマ政権にはアルカイダにたいする自衛のため、とくにアメリカにたいする切迫した脅威があって身柄の確保が不可能な場合に、このような強制力を使う法的正統性はある」と考えていることを明確に示した。

●上院の委員会は、このアルカイダとの戦争における無人機の使用については明らかに支持している様子であり、アメリカ国民もこの見解にほとんど同意している。

●ところがアメリカ以外の国における見解は違う。無人機を本当に使用してよいものなのかどうかについては疑いの目が向けられており、とくにパキスタンのような、オバマ政権の第一期で無人機の攻撃が大きく増加した国は、猛烈に批判的だ。

●ブレナン氏は一体どの国で無人機が使われているかについては議論を避けているが、パキスタンの駐米大使であるシェリー・レーマン女史ははっきりと明言している。

●ブレナン氏の公聴会の二日前に行われた記者との会話の中で、彼女は「イスラマバード政府は、アメリカが続けている無人機の使用はパキスタンの主権の侵害であり、同時に戦略的にも非生産的だと見ている」と明確にしている。

●「われわれは無人機の攻撃によって人々を過激化させるよりも、この沼から水を抜くことを選ぶべきです」とは彼女の弁。「これはテロリストを排除するよりも、むしろそうなる人々の数を潜在的に増やしてしまうのです。もし上か中間のランクに位置するターゲットを殺しても、おそらく彼らが属していたコミュニティー全体が将来のテロリストの候補に変わってしまうからです」

●彼女のコメントは去年ピュー研究所が行ったパキスタン国民への意識調査によっても裏付けられており、実に74パーセントの人々がアメリカを「敵」だと答えている。そして明らかにその原因の一つが無人機なのだ。

●ブレナン氏も、「オバマ政権は現在行われている対テロ作戦によって大衆から反感を受ける危険性があることを考慮すべきである」と言っている。

●ところがオバマ政権は、長期的な外交アプローチの一環としてパキスタンの問題に取り組むことを明言する代わりに、少なくとも短期的にはその問題がまったく存在しないかのように振る舞うことを選んだのだ。

●無数に報じられているにもかかわらず、米政府はパキスタンで無人機で作戦が実行されていることを認めていない。このようなアプローチをいつまでつづけられるかは誰にもわからない。

●パキスタン政府によれば、過去においては米国と密接に協力して無人機を使ったかどうかはわからないが、現在はそのようなことは一切ないという

●レーマン大使は、パキスタンが表では無人機の使用を批判しつつも、裏では米軍と協力していたことは全くない、としている。

●これはオバマ政権にとっても本当の難問を示している。当然だが、無人機による攻撃がアルカイダからの戦略的脅威を実質的に排除する上で大きな役割を果たしたのはまちがいない

●しかし高ランクの敵にたいする戦略的な行動として始められたものが、単なる戦術的なものに変形してきてしまったのだ。

●無人機は、次第にアメリカ本土に対する攻撃を企んでいるアルカイダの工作員ではなく、アフガニスタンで米軍を攻撃するランクの低いタリバンの人員を狙うようになってきている。

●おそらくワシントンは、2014年に米軍がアフガニスタンからの撤退を完了するまでアルカイダの「聖域」である部族地域にたいして圧力をかけ続けたいのであろう。

●しかしそのコストはどれだけかかるのだろうか?

●オバマ政権の最初の時点では、パキスタンにおける過激派を抑える長期的な解決法として、非軍人政府を強化することが狙われていた。ところが現在は無人機の使用のおかげで、アメリカが何十億ドルもかけて支援してきたことが無駄になっている。

●アメリカとパキスタンの関係は安定化しているが、互いの信頼感の欠如は深いままだ。

●パキスタン議会は、無人機の存在が決定的なものであり、ワシントン政府が無視を決め込んでいて、これがパキスタンとの長期的な関係を危機に陥れている、と明確にしている。

●レーマン大使は「無人機の攻撃があると、パキスタンでは少なくとも40以上のTVのチャンネルで報じられますよ。この攻撃はアメリカの力そのものや、アメリカがその力を海外で使うやり方について、非常にネガティブなイメージをパキスタンの人々に与えているのです」と述べている。

●無人機はアメリカの戦略にとってカギとなる要素かもしれないが、レーマン大使が明確にしているように、それは「われわれの作戦書にはないものですし、無人機攻撃を使う時間は終わっているのです」と述べている。

●ところがブレナン氏の公聴会での証言から言えば、アメリカが彼女のアドバイスを聞いて従うというつもりは当分なさそうだ。

===

無人機というのは、アメリカにとってはチープに、しかも自国の兵隊の血を流すことなく敵の中心を叩けるということで、とっても便利なものなのですが、逆に非常に大きい恨みを残しているという意味ではイメージ的にかなりマズいですね。

無人機攻撃は戦略学などでいうところの「首切り戦略」に該当するのかもしれませんが、どちらかといえば最近の米軍のやり方だと「殲滅戦」の考え方にも近いような。

これは将来の歴史にどのように書かれるのか、とっても気になるところです。

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