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願いを叶える人生の秘訣は「喜ばれる人」になること - 「賢人論。」第147回(前編)永松茂久氏

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永松茂久氏の著書『人は話し方が9割』は、2019年9月に発売されてから70万部を突破し、さまざまなランキングで最も売れた本として名を連ねている。さらに2021年6月には、『喜ばれる人になりなさい』を出版。タイトルは、実際に永松氏の母が語っていた言葉だという。大きな夢を次々と実現させた永松氏の生き方に、5年前に他界した母の教育がどのように影響を与えたのかを教えていただいた。

取材・文/みんなの介護

目の前の人が喜ぶことを考え続けたことで、人生の道が拓けた

みんなの介護 永松さんはいつ頃から、経営者の道に入られたのでしょうか?

永松 10歳のときに「たこ焼き屋になる」という夢を持って、25歳で起業するまで、たこ焼きのことだけを考えて生きてきました。本気で「日本一のたこ焼き屋になるんだ」と決めていましたからね。東京で大学生をしながらも、大阪でたこ焼きの勉強をするなど、商売のことばかり考えていました。

みんなの介護 なぜたこ焼き屋になりたいと思われたのですか?

永松 小学校のとき、両親が大分県中津市の新博多町の商店街でギフト屋を始めました。多角経営だったので、家庭でも仕事のことばかりでしたね。しかし、その商店街は私の良い遊び場でした。

あるとき、1軒のたこ焼き屋が商店街の中にできました。私はそこに入り浸るようになって、店主にいろいろと話を聞いてもらううちに、お店を手伝うようになりました。そして、たこ焼きを買いに来てくれた人たちが、目の前でたこ焼きを食べてくれたり、「美味しかったよ」と言ってまた来てくれたりすることが、とても嬉しかったのです。

「大きくなったら、たこ焼き屋になる」と、その頃から決めていました。そしてまずは人脈が必要だと思い、九州から上京しました。

「いろいろな人に成功の法則を教えてもらおう」と思って生きてきた中で、たまたまある出版社の社長と出会いました。その頃は定職に就いていなかったのですが、「うちに来いよ。暇なら手伝え」と言われてアルバイトから始めて出版社に就職しました。

取材先の中にお好みソースでお馴染みの食品メーカー「オタフクソース」があり、担当にさせてもらいました。そして訪問時にたこ焼き屋の夢を語ったり、いろいろなことを教えてもらったりしているうちに、「銀だこ」の社長を紹介していただくことができたのです。

そこで、「そんなにたこ焼きに情熱があるんだったら、うちに来れば良いじゃないか」と言われました。その頃は、「銀だこ」がちょうど群馬から東京に進出して、拡大している時期でした。そうしたきっかけで「銀だこ」に就職して修行を重ね、九州に帰ってたこ焼きの行商から商売を始めたという経緯があるのです。

みんなの介護 その過程において、やはりお客さんの喜ぶ姿を見るのが喜びでしたか?

永松 それだけだったと思います。「自分がつくったもので人が喜んでくれる」というシンプルなことですが、それが私のモチベーションのすべてでした。

今思うと「たこ焼き屋になる」というのは手段のひとつで、「何でも良いので喜ばれる人になりたい」というのが真意でしたね。

みんなの介護 まさにお母様の教え通りですね。

永松 そうですね。たこ焼き屋を始めたあと、ダイニングの経営も経験しました。そこでバースディパーティを開催したら、たくさんの人たちに共感していただいて、日本全国から人が集まってきてくれるようになったのです。そして、そこのお客さんの要望でウエディングパーティを開催したら、たまたま新婦のおじさんが出版社の編集長だったんです。それをきっかけに、出版業を並行して始めることになりました。

25歳で起業してから、目の前の人たちを喜ばせるために何ができるかと考え、頼まれごとも「わかりました」と言って受け続けてきました。さらに期待以上で返すことを心がけていたら、だんだんと導かれて今があるように思います。

すべての仕事は喜ばれないと成り立たない

みんなの介護 これまでの人生の支えになったものは、何だと思いますか?

永松 目の前のことをどんどんやるという意識と、人との出会いでいただいた経験やつながりが本当に大きかったです。加えて、母も良い教えをくれていたと思います。

当たり前ですが、仕事は喜ばれないと成り立ちません。会社勤めであっても、自営業であっても、仕事は相手の問題を解決するために取り組むものだと思っています。

人間は、「不満の解消」と「喜びの追求」という2つの欲求を持っていると思っています。

例えば、「お腹が減った」ということを解決するために、食事屋があるわけです。一方で、お腹が減っている人の中には「良い空間で食事をしたい」と思う人もいます。それならば、もっと良い空間を提案していくことが、お客さんの「不満の解消」になります。母が言っていた「喜ばれる人になりなさい」という言葉について、実際の仕事を通して徐々に理解できるようになりました。今では確信に変わっています。

みんなの介護 今後、手がけたいことはありますか?

永松 そうですね。体が一つしかないので、「喜ばれることだったら何でもやります」というほど事業をたくさんすることは、あまり考えていません。以前から決めているのは、自分たちが「これだったら楽しめるよね」と思える方向に進んでいくということです。

いくら頼まれたことでも、自分たちが「これはやりたくないな」と思うことはお断りして、いくつかの道の中で一番やりたいことを選んでやっていくつもりです。

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