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「まるで"文化大革命"の再来だ」自分の思想を教科書に載せはじめた中国・習近平の末路

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“習思想”の履修義務化に富裕層への締め付け…

習近平国家主席をトップとする中国共産党政権が、社会と経済への統制を一段と強めている。その顕著な例が、“習近平思想”の履修義務化だ。そのほかにも、芸能人やIT先端企業など民間企業の創業経営者への締め付けは日増しに強まっているとの印象を持つ。いずれも“文化大革命”の時代を思い起こさせるような行動だ。

中国の中央民族工作会議が27日から28日まで北京で開催された。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席が会議に出席して重要演説を行った。写真は演説する習近平氏〔新華社=中国通信〕=2021年8月27日中国の中央民族工作会議が27日から28日まで北京で開催された。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席が会議に出席して重要演説を行った。写真は演説する習近平氏〔新華社=中国通信〕=2021年8月27日 - 写真=中国通信/時事通信フォト

文化大革命は、共産党指導部中枢における権力闘争だった。具体的には、“大躍進”政策の失敗によって共産党トップの座を追われた毛沢東が、再び権力を取り戻し、強化するために若者を紅衛兵として扇動し、文化大革命を起こした。その結果、中国では1人の強力な指導者の思想が社会全体に根深く浸透し、それ以外の価値観が徹底して排除された。

経済の成長には人々の自由な発想や多様性が不可欠だ。多くの人が希望や夢を実現しようと思いを巡らせ、行動することが付加価値の源泉である。足許の習政権は人々のアニマルスピリットを押さえ込み、社会全体が習氏の考えに従う状況を目指しているように見える。それは中国経済を毀損(きそん)する恐れがある。

支配を強めるため「厳罰と監視」の歴史を繰り返してきた

中国の歴史を振り返ると、時の支配者の考えが社会の末端まで浸透するために、反発する者に厳罰を科し、監視を強化し、自由な発想や行動という根源的なエネルギーがそぎ落とされる展開が繰り返された。1966年から10年間続いた文化大革命はその顕著な例だ。

1958年から中国では毛沢東の指揮の下で大躍進政策が始まり、農作物や工業製品の生産量を短期間で大幅に引き上げようとした。しかし、専門知識が不足する中で無理やりに農地開墾や製鉄所建設が進められた結果、農地は荒れ果て、多くの資源が浪費された。その一方で、毛沢東は反対派への弾圧を強め、社会は混乱し、経済は停滞した。1959年に毛沢東は大躍進の失敗を理由に国家主席を退いた。

その後、毛沢東は権力の挽回と自らをトップとする支配体制を目指して文化大革命を起こした。毛沢東の考えをまとめた『毛主席語録』を持った紅衛兵が知識人を迫害し、文化財を破壊した。文化大革命は落ち込んでいた農業生産力をさらに減殺した。

「支配者の考え以外は正しくない」という価値観の浸透

文化大革命の影響の詳細は不明だが、中国の経済と社会には非常に大きな損失が発生した。最大の問題点は、毛沢東一個人の考えが正しい、それ以外は正しくない、という価値観が社会全体に浸透したことだ。別の言い方をすれば、文化大革命は十数億人の中国の国民が根源的に持つ新しい考えや行動様式を目指す意思を徹底してそぎ落とした。

文化大革命後、鄧小平は経済成長を実現しなければ共産党の支配体制を維持できなくなると危機感を強めた。1978年からは“改革開放”が進み、経済特区の設置によって海外企業が誘致され、鉄鋼など重厚長大分野で国有・国営企業への技術移転が進んだ。

中国・北京の風景※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Preeti M

その一方で国有・国営企業の事業範囲外の分野(例えば情報通信産業)では民間企業が誕生した。それが、今日のアリババなどIT先端企業の急速な成長を支えた。過去40年間の中国経済の高成長は改革開放に支えられた。特に、リーマンショック後の中国経済の成長は民間IT先端企業の急成長に負うところが大きい。

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