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総裁選「人気だけで選ぶと必ず間違える」元防衛相中谷元衆議院議員

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ⒸJapan In-depth編集部

【まとめ】

・中谷氏は、学術会議問題やコロナ対策で、菅総政権に一定の評価。

・これからの安全保障には、防衛費増強と自衛隊の増強が急務。

・新総裁、人気やパフォーマンス、見かけだけで選ぶと間違える。

9月10日に河野太郎行政改革担当相が自民党総裁選出馬を表明した。これで岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相に加え、3人の候補が出そろった。なお、石破茂元幹事長と野田聖子幹事長代行が態度を明らかにしていない。岸田氏を応援している元防衛相中谷元衆議院議員に話を聞いた。

安倍: 菅さんの電撃辞任。8月末まではやる気満々だったが、急遽こうなった。どう見るか?

中谷氏: これは、様々なことを総合的に判断した結果でしょう。 自らが総選挙に出ないということで、 自民党の支持率が現実に急上昇しました。ですから、自民党がどうすれば国民からの支持率や評価が上がるのかという中で、今回の総裁選に自ら出ないことによって、党の支持率を上げようと考えたわけだし、一言で言えば、自ら身を引くことによって自民党を立て直そうとしたと。これはできない判断です。そういうことを誰にも相談せずにただ1人、沈思黙考して自らの進退を決めた。幹事長にも三役にも相談せずに決めたと。私も役員会の場にいましたが、本当に突然言われた時は、もう一同仰天しました。誰も考えつかないような手段を考えられたと思います。

安倍: それは、ご本人からもしくは周辺からの情報ですか?

中谷氏: いや、誰にも語ってないと思います。私が見ていてそう思ったということです。現実的に結果から類推すると、このようなことを現実にやられたということは、 自ら身を引くことによってどういうことになるのかということを考えられたのではないでしょうか。

安倍: 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、ということですか。

中谷氏: ええ、政治家は己の出処進退は1人で行うとよく小泉総理が言っていましたが、自らが行うものであって、人から言われることではないということです。最後まで菅さんらしく、1人で考えて、1人で決断したという風に思います。

安倍: 党のために決断したと。

中谷氏: そうですね。はい。

安倍: コロナ対策ですが、この1年間、特に医療の問題はどう評価しているか?

中谷氏: まず、誰もやろうとしなかったことですし、おそらく誰もできなかったことですが、学術会議の存在、体質にメスを入れ、会議が決めた人事の承認をしませんでした。学術会議の問題は、安全保障や防衛をやっている者にとっては、日本の学者は安全保障や防衛のことを研究してはならないという驚くようなルールをいまだに引きずっており、つい最近も、それを徹底するためにそれを確認するような手段をとって、研究をしたい人に対してすごく圧力をかけています。

それによって、国際的な防衛水準から、日本の技術的な学術的なレベルは極端に落ちて、いまだに国立大学でも安全保障を学ぶ学部もありません。世界的にこのような腰の抜けた国はなく、様々な問題を提起しています。私が防衛大臣の時に、民間の人たちに研究してくださいと呼びかけたのですが、片っ端から学術会議の関係者が、参加しないように圧力をかけたのです。

一体何なのかという意識を持っていましたが、菅さんがそのことに対して非常に強い問題意識を持って、学問というのは自由であって、その研究をすることと、国の防衛、安全保障にとっては、学会の優れた研究、努力が不可欠であるということで、これをやられたことを私は評価しています。

安倍: コロナ対策はどうだったか?

中谷氏: コロナ対策は誰がやっても厳しかったのですが、コロナの蔓延を防ぐということと、経済を失速させないという両方を目指して、GO TOキャンペーンとか、経済対策をやったので、この1年の成果としてはほぼ両立できたのではないかと思います。

非常に時間がかかったのですが、感染者も数が減ってきているし、軽症化に向かっています。経済も、飲食店とか旅行とか、そういった方々は大打撃を受けて非常に苦しいので、それに対して援助の政策をしていますが、それ以外の産業は、ほぼ順調に業績を残していますので、そう言った意味では両立が図れてきているのではないかと思います。

安倍: そこそこやったと。

中谷氏: ええ、ロックダウンしてゴーストタウンになるような、国民生活に極端な影響を及ぼすことはなく、みんなそこそこ外出をして、蔓延防止を図りながらお店の経営もしたり、買い物もしたり、そういうことをやりながら、収束に向かう努力はされたと思います。

安倍: 「菅さんに菅官房長官なし」という言葉もありましたが情報発信能力が最後の最後で残念な形になりましたね。

中谷氏: 真心は持っている人ですからね。

安倍: 国民に伝わらなかった。

中谷氏: マスコミの映し方ではないでしょうか。最初はパンケーキとか、令和おじさんとかで持ち上げて人気を高めましたが、最後は何やっても悪い面しか報道しなかったですね。安倍政権も小泉政権も長期政権だったのは、ご自身の努力ばかりではなく、周囲の力によるものでした。しかし、菅さんはそのようなチームができなかったですね。菅総理は説明が下手というところを突っ込まれたのですが、自分の言葉で伝えていけばいいし、国会も逃げる必要はなくて、どんどん答えればいいのにと思います。質問に対して正直に答えることが必要です。

安倍: 今回の総裁選だが、まだ立候補者は出揃っていない。現職総理が出ないということになったが、何を期待するか?

中谷氏: 菅さんの後の総理大臣を選ぶ選挙なので、まさに国際社会の中で日本がどのような役割を果たすのか、これから日本の外交、安全保障、経済、財政、そして社会保障など、剣ヶ峰に立たされた大きな決断をしなければいけません。それが決断できてリードできる総裁というのは誰がいいのか、単に人気とか、パフォーマンスとか、選挙のために有利な顔とか、そういった次元で選ぶのではなくて、本当に実力のある総裁を選ばなければいけません。

そのためにはやはり、候補者が出揃って、色々な分野において、奥の深い討論をして、問題点を追求して正していくと。そういう中に一つの自民党のこれからの政策の方向性とか柱が出てきて争点も浮かび上がってくると思います。選ばれた総裁というのは、自らあげた政策は当然ですが、総裁選によって、集約された結論、意見それを実行していくための正に大事な総裁選だと思います。

安倍: 最近、自衛隊機のアフガニスタンの撤収がありました。日本人、もしくは日本政府のために働いていたアフガニスタン人などの救出がかなわないまま、戻ってきてしまった。なぜ、あのようなことになったのか?

中谷氏: 私も8月14日ごろから現地のNGOとか関係者から取り残された人が大変だと聞いていました。すでにタリバンによって迫害を受けて、通訳も殺害されたという情報もあり、これは早く退避をということで、外務省に連絡をして、大使館、邦人はもちろんのこと、そこで働いている人も一緒に帰す要請をお盆の前にしました。その時からもう、退避計画は立てていたみたいですが、途中で状況が変わってきた時に、その作業を止めたりしました。

結局、22日ごろに、官邸において自衛隊機を使おうと判断をして、その後、スタートをしたということです。まずは民間機、次に外国の飛行機、それでもだめなら自衛隊機という風に考えていたようです。真っ先に自衛隊機を送るとなると、障害になるのが自衛隊法の安全な地域でなければ派遣はできないという項目です。現実に、行けるかどうかという情報収集が必要なわけです。

しかし、現地の大使館の人が早く避難しなければ便がないぞということで、全員避難して、人が残っていませんでした。武官もいなくなってしまって、そういう現地の情報や軍の情報などが本当に日本に入ってきたのかという問題があります。第三国の情報もそうですけど、やっぱり情報収集能力が重要です。

大使の仕事は、単に大使館員の安全だけではないはずです。早く離脱するのではなくて、残された人の救出とか、情報収集とか、自衛隊機の救援とか、何人かは残しておかないといけないのです。

現に韓国とかアメリカとかイギリスは大使が最後の最後まで残って、最後の救援機で離脱しているのです。危機管理における状況の中で、自ら安全なところにいるのではなくて、ある程度、職責をかけて、最善の対策を取るためにやらなければならないことをすべきです。もちろん、自衛官は命をかけて活動しますが、その条件作りのために外務省大使館の果たすべき役割というのは大きかったと思います。

安倍: 情報収集がきちんとできていなかった。

中谷氏: 各国は軍を置いたり、警備会社に頼んだりし、大使館エリアにいて活動しています。日本も警備会社に頼んで、安全を確保していますが、まず、米軍からの通報で、本日中に離脱しなければいけませんと、本日夜、米軍の飛行機が出るからそれに乗ってくださいということで、大慌てで大使館の人たちが、空港に向かったのですが、その前にも警備会社から、もう我々はあなたを守れないから早く避難してくださいと言われたので、真っ先に飛行場へと行きました。

ところが、米軍機はもう人がいっぱいで、乗れずに一昼夜そこにいて、次の日、たまたまいたイギリスの軍用機に頼んで、脱出できたそうです。それで、大使館の人は全員抜け出したのですが、まだ、邦人らが残っているのです。空港にいて、現地の残された人と連絡をとったり、本国と連絡をとったり、米軍と交渉したり、そういう人がいませんでした。また、自衛隊機も来るかどうかという判断も、安全な場合という条件がありますが、現に他の国の軍用機がそこにいたわけですよ。

だから、調整次第では来ることができたわけで、そうこうしているうちに5日間ぐらい経ってしまいました。自衛隊にゴーサインがかからなかったのは、やはり情報収集能力と適切な情報に基づく政府の分析・判断が必要です。現地に自衛官とか、情報官とかおいておかないとだめです。ただ単にルーティーンワークを行う外務省の官僚だけではできないと思うのです。

日本には、内閣情報調査室がありますが、そこが外国から軍の情報などを取って判断し、共有できるような情報の部署、情報調査局ですか、それは必要だと思います。

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