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  • 2013年02月09日 14:38

中国覇権主義(アメリカより強くなって日本を服従させよう)

 レーダー照射問題を受けて、いろいろ揉めておりますが(中国に「レーダー照射」に対する日本の対応)、中国の愛国主義者御用達『環球時報』が大変興味深い社説(冯昭奎:经济超日本10倍,中日才太平)を掲載していたので、これについて少し。

1 記事の紹介

 初めてに、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 近日、日本が中国に対して警報を弾き鳴らし、中日関係を更に緊張させる。中日関係の歴史を振り返ってみよう。唐代と明代の2度の中日間の軍事衝突はすべて日本の失敗で終わっている。西暦元年から1820年まで、中国のGDPは、日本の10倍だったと計算できる。

 中日の2000年余りの平和な付き合いは「中が強く、日が弱い」歴史の時期と説明できる。この歴史が教えてくれるのは、中国にとって、日本より先進的であるだけでは足りず、日本を屈服させるほど、中国が大きくなって、はじめて中日関係は安定し、「友好」たり得ることだ。

 1868年の明治維新を転換点にして、日本は欧米化、工業化を進め、国力を高め、侵略の道をたどった。1895年に日本は日清戦争で、腐敗した大清帝国を破り、中日関係は「日が強く、中が弱い」時期に入った。その後、1905年に中国の土地の上でロシアと戦い、1937年に全面的な中国侵略戦争を始めた。

 1945年、日本は破れ、1949年に新中国が誕生した。中日関係はこれまでにない「どちらも強い」関係を迎えた。しかし戦後の中日両国の発展のスピードは大きな違いがある。1950年に中国のGDPは日本の1.5倍あったが、1973年までには、逆転されており、日本は中国の1.7倍となっている。

 しかも、一人当たりのGDPは中国の13.6倍に相当した。1979年に中国は改革開放経済を実行し、日本の高度経済成長に相当時期を迎えた。これ以降、「日が遅く、中が速い」状態となり、2010年には、中国は日本を上回って世界第2位の経済大国となった。しかし当時一人当たりのGDPは、日本の1/10だった。

 今後日本は比較的長い期間、経済大国の地位を維持する。中国科学院が2007年に公表した「総合近代化レベル」では中国は78位で、日本はアメリカに次いで2位だった。また、ジニ係数も日本の方が低く、格差は少ない。

 中国はGDPでは、日本を上回ったが、中国の経済発展はバランスが悪く、中国は依然として発展途上国だが、日本は先進国だ。同時に、中国の経済と軍事の力は強いか、アメリカとはまだまだ差がある。

 日本を服従させるためには、アメリカより大きくならなくてはならない。日本人はメディアを通じて中国の様々な問題を報道しているが、これは、中国にGDPに負けた喪失感を補うため、中国が依然として発展途上国であることに対する優越感、中国の軍事力に対する恐れなどからなされるものだ。

 中日の実力は、中日関係に影響を与えるが、今後は再度「中が強く、日が弱い」状態になると予測さえる。しかし、少なくとも2020までは、「両者が強い」関係と考える。このような時、現れうる中日関係は2種類だ。

 第1、両者が理性的で穏健な政策をとり、両国の利益をもたらすwin-winな良好な局面を実現する。第2、双方が非理性で強硬な政策をとり、感情的な政策で両国が「共倒れ」となることで、甚だしきに至っては軍備衝突の可能性もある。

2 個人的感想

 この社説を書かれた方は、「対日新思考」で一躍有名になった馮昭奎氏です。以前にも彼の書いた社説を批判したことがありますが(「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏が南京大虐殺を否定した理由?)、今回の記事も言いたいことはわかりますが、とても賛同できるものではありません。

 まず、いつものことですが、自分に都合の良いことだけを抜き出して、記事にしており、唐代と明代の軍事衝突には触れても、元代の中国が負けた軍事衝突には触れておりません。

 そして、日中関係は、「中が強く、日が弱い」状態が如何にも長期間続いたようなことを書いておりますが、これは歴史学的にみても全くおかしな話です。実際明代には国が荒れ国力が衰えていたが故に、豊臣秀吉などがいろいろ考えたのであり、日本が突如として明治維新で強くなったわけではありません。

 それに相手より強くなって、相手に文句を言わせないという戦略は中国の一貫した考え方で、だからこそ小国が中国に対し、いろいろ言うことを中国は快く思わないという現実があります(フィリピンやベトナムを「小国」「蚊」扱いする中国)。

 全く同じ理屈で、日本に文句を言わせない位強くなって、日本を中国の意のままに従えさせてやろうという発想で、「主権」とか「国家平等」といった政治学の基本的発想からして、かなりおかしいことを言っております。

 確かにこうした状態では「平和」が来るかもしれませんが、これは中国が散々批判している、アメリカ覇権主義と何らかわらないわけで、理屈から言えば、とても可笑しいわけですが、こうしたことを可笑しいと思わない中国がかなり危ないと考えております。

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