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焦り、葛藤した娘の不登校。母親が感じた「待つことの意味」

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当時使っていた娘さんの連絡帳。夏休み明けから続く欠席について担任とのやりとりが書かれていた。

 不登校の子に対して「周囲は焦らずに待って」というアドバイスは、よく目にするものです。ところが親にとって「待つ」というのは至難の業。「いつまで待てばと」と不安がついて回ります。夏休み明けから突然、娘の不登校が始まったという花さんも「待つ」に苦しんだ母親の一人です。3年半、葛藤を重ねた末、行きついた結論は、不登校にかぎらず親にとって大事な気づきがそこにありました。

* * *

――お子さんが不登校になったときのことを教えてください。

 娘が不登校になったのは、小学6年生の夏休み明けでした。朝起きてきて、学校へ行く時間が近くなると「お腹が痛い」と言うようになって。夏休み明けからパタリと学校へ行かなくなりました。

 学校へ行かなくなると娘の体調は、みるみるうちに悪くなっていきました。ご飯がまったく食べられなくなって痩せていき、お風呂にも入らず、歯も磨かない。ふつうの生活ができなくなって、無気力状態になってしまったんです。

 性格の面でも以前はどちらかというと明るく、よく笑う子だったのですが怒りっぽくなり、家でもあまりしゃべらなくなりました。仲のよかった弟にも手を出すようになり、ちょっとしたことでケンカをするようになりました。日を追うごとに昼夜逆転状態になって、一日中ひきこもって自分の部屋から出てこないことも多かったと思います。

 はじめのうちは「どこか悪いのではないか」と身体の心配していたのですが、病院で血液検査をしても胃カメラをしても、異常は見つかりませんでした。「身体ではないのなら、もしかして精神的なものなのではないか」と思い、しばらくして自宅近くのメンタルクリニックを受診すると、娘はそこで適応障害と診断を受けました。

 不調の原因がわかり安心した反面、私にとって娘の診断はショックでした。当時は精神的な病気の知識もありませんでしたし、「精神病は誰でもなり得るもの」という社会の認識もうすかったので、すごく不安になったのを覚えています。

同級生と比べて焦る気持ちも

――娘さんの不登校をどのように受けとめていましたか?

 夏休み以降、転げ落ちるように体調が悪くなったので、学校へ行かないことに対しては「この状態じゃ、行けないよね」と思っていました。学校へ行く以前の話というか、毎日生きていくことさえ娘にとってはたいへんだったと思うんです。

 なので、適応障害の診断が出たタイミングで「学校へ行かなくていいよ」と娘には伝えました。これ以上体調が悪くなるのなら行かなくていい、と私自身が思ったんです。

 しかし私自身、葛藤がまったくなかったわけではありません。私の学生時代は「学校へ行かない」という選択肢がなかったので、学校へ行かない感覚が正直わからなかったんです。なので、体調不良を理解しつつも心の底では「このまま行かなかったら、勉強はどうするんだろう」「この先、友だちができないんじゃないか」「この子はどうやって生きていくのだろう」とつねに娘の将来が不安でした。近所やまわりの同級生の子と娘を比べて、焦る気持ちもありました。

 遠足だったり体育祭だったり、私は学校の行事に楽しい思い出があったので「みんなが経験できる学校での楽しいことを、娘は経験できないんだな」と悲しくなったこともあります。不登校になった直後は、もどかしさから「今日も学校へ行かないの?」と娘に直接言ってしまったこともあります。学校へ行かなくていいと感じたのは本当ですが、娘の不登校を最初から受けいれていたかと言われればそうではなかったなと思います。

――その後、娘さんはどのようにすごされたのですか?

 学校へ行かなくなってしばらくすると、娘の状態はかなり落ち着いて、小6の秋くらいにはご飯も食べられるまでに回復しました。

 ちょうどそのころ、学校から「卒業式はどうしますか?」と聞かれたのですが、娘は「出たくない」と言うので、卒業式には出ませんでした。結局夏休み明けから一度も学校へは行くことなく、小学校を卒業しました。

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