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アフガニスタンの財政、米国が懸念しなければいけない理由

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Afghanistan’s Economic Crisis Could Affected U.S. Amid Coronavirus Pandemic.

イスラム過激派組織タリバンがアフガニスタンを陥落してから約半月、情勢は刻々と変化しています。

カブール国際空港では26日、アフガン市民や米兵含め110人以上の犠牲者を出したテロ事件が発生。「イスラム国(IS)勢力の「イスラム国ホラサン州(ISIS-KまたはIS-K)」が犯行声明を出し、米軍が報復措置を講じるなど、緊迫した状態が続きます。

そのような状況下、米国や日本を含め98カ国が米軍が撤退する8月31日以降も、アフガニスタン人による「安全で秩序ある方法」での出国をめぐりタリバンから確約を得たと発表しました。タリバン陣営は以前から、駐留米軍撤退後の出国を認める方針を示していたものの、テロ発生を受け国際社会から信用を得る上で合意が必要との判断を下したものとみられます。

そのタリバンにとって、アフガン陥落の次に必要なことは「政府」としての承認であり、そのためには国際社会からの信用獲得が不可欠はなず。その理由はズバリ、財政です。

既に世界銀行は資金援助を中断したほかドイツなど各国もこれに倣い、国際通貨基金(IMF)はアフガンによる特別引き出し権(SDR)の利用停止と同国への支援停止を発表、米国も同国の外貨準備を凍結し、ドル送金をストップさせました。

チャート:アフガニスタンの米長期証券保有額は6月時点で32億ドル、外貨準備高は2020年時点で97億ドル

(作成:My Big Apple NY)

2020年度のアフガニスタンの予算は55億ドルのところ、タリバンの収入は約16億ドルと試算されてますが、タリバン単独で賄えるものではありません。しかも、予算の4分3は国際支援に依存していたとあって、タリバンがアフガニスタンを掌握したとしても、国家として存続させるにはカネという大きな障害が立ちはだかります。

現時点で、アフガンを制圧したタリバンを「政府」として承認する上で最も近い距離にある大国は、中国。その中国と言えば、王毅外相が7月28日、シャーマン米国務副長官と会談した2日後、タリバン幹部と会談したように、中国政府は比較的、タリバンと実利を基づく協力関係を構築しているようにみえます。

その中国は、タリバンを正式な政府として承認する姿勢を覗かせています。その条件は、習近平主席や中国外交部(外務省)の華春瑩報道官趙立堅報道官が度々発言するように、「開かれた包摂的な政権枠組み」を確立することでしょう。そこにはもちろん、タリバンが“東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)”を含む様々なテロリズム勢力に断固として対応する姿勢が含まれているに違いありません。

つまり、まず中国から政府としての承認を得るためには「開かれた包摂的な枠組み(open and inclusive political framework)を示す必要があり、その一端が今回の「安全かつ秩序ある方法(a safe and orderly manner)」での出国の確約なのでしょう。前述の98ヵ国に中国が入っていないとはいえ、「安全かつ秩序ある方法」を達成するにはテロ対策も想定されるため、中国が重視するのは当然の成り行きと思われます。

同時にタリバンは今回の対応により、カナダなど「タリバンを正式な政府と認めない」と断言した国・地域以外とは交渉余地を作ったと捉えられ、彼らからすれば国際機関からの支援再開に望みをつなげる決断だったのではないでしょうか。

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