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スポーツマンとオタクがほぼ一緒な数多の理由 - カレー沢薫

どうやらオリンピックが終わってパラリンピックが始まったらしい、ところで平成はいつ終わったのだろうか。

それらが盛り上がる一方で、感染者数も「ワクチンに負けるな! ガンバレコロナ!」とかなり盛り上がってきている様子で「こんな時にピックしてる場合か」という批判の声も未だ大きい。

また、コミケを筆頭に我々にとって文化的イベントの数々が自粛を余儀なくされる中「だが、スポーツ、てめえはアリだ」と開催されたことに、嫌いな科目体育、好きな科目国語、図工、保健体育勢が猛反発していたりもする。

確かに「何故ピック連中どもだけが」という疑問はぬぐえないが一方で「さすがにまだコミケは無理だろうな」というのもわかっている。

まずコミケに「無観客試合」は無理である。
確かに、誰も買い手のいない命を削って作った新刊を前に、サークル主たちがソーシャルディスタンスを厳守して座っている姿は「何かの試合」と言えるが、勝者も敗者もいない、そして何より「誰も幸せになる奴がいない」という時点でイベントとしてダメだと思う。

また何故かコミケには運動と睡眠が足りてない人間が集いがちなので、クラスターが発生してしまったら重症化は免れず「意外なことに死人が出たことがない」というコミケの実績に傷をつけることにもなりかねない。

残念だがまだやらない方が賢明といえる。

しかし、洋画で所謂ジョックとナードが対照的に描かれるように、オタクとスポーツマンは対極にあるように見えて、意外と親和性が高い、というか根底は同じと言っても良い。

1つのジャンルに打ち込み、泣いたり笑ったりしているという点はスポーツマンもオタクも何ら変わりないのだ。
ただそのジャンルが「サッカー」か「プリキュア」か、というだけである。
そして、泣いたり笑ったりしている姿が爽やかか、すごく気持ち悪いかの差しかないのだ。

それにオタクの所作が常に気持ち悪いというわけではない。推しが尊すぎて「ホセと戦った後のジョー」や「人生に一片の悔いもないラオウ様」のように爽やかを越えて「痛快」になってしまっているオタクも珍しくはないのだ。
また「スポーツ」というのは、オリンピックのように、国や言語の違う人間同士でも試合を通じてコミュニケーションし、感動を共有したり、対戦相手をリスペクトしたり、逆に殺意を抱くこともできるのだ。

これも我々の趣味と全く同じであり、日本の漫画やゲームは海外にも多数輸出されており、海外の人が日本のキャラクターのファンアートを描いているのを見かけることも多い。

当然そこに描いてある文字を読むことはできない、しかし「キャプションやキャラが何を言っているのかはわからない、しかしお前がこのキャラにクソデカ感情を抱いていることだけはわかる」のである。

容易く言葉の壁を越えてくる、という点ではスポーツと我々オタク趣味は完全に一致、と言っても過言ではない。

ちなみに、日本の18禁漫画やエロゲーなどの、二次元萌えアダルト文化は、他に言い表す言葉がないため、海外では「HENTAI」という言葉で通っているようだ。

同じく「hikikomori」も近年日本から生まれた言葉で、海外では成人すれば否応なく子どもは家を出るものであり、実家にひきこもり、あまつさえ親がそれに何十年も食事を与え続けるという現象自体がクレイジーなのだという。

もはや先進国とも言えなくなってきている日本だが、こうやってまだ世界をビビらせる新コンテンツをドロップできるポテンシャルがあるのだから捨てたモノではない。

ちなみに助平という意味で使われる「エッチ」という言葉も元々は「HENTAI」の頭文字を取ったという説が有力である。

しかし、オタクは推しが全く露出せず、例え鎧を着こんでいようと「……フゥン? えっちじゃん?」とちいかわのような顔で言い出すので「エッチ」という言葉にも100億の意味が潜んでいると思われるので、たまに日本語を勉強している外国の方が厚切りベーコン氏のようにキレてしまうのも仕方がないことである。

そして、海外の人がファンアートを描いているように海外にも「二次創作文化」というものがある。
そして「二次創作をする者特有の悩み」というものもあるのだ。

私は別媒体で「二次創作の悩みに答える」という、偉そうなコーナーをやっているのだが、そこに寄せられる悩みは創作テクニックというより「原作内では死なない推しを創作内で殺してしまって悲しいです」というような、お気持ちや癖の悩みが多い。

おそらく上記の質問は、日本人でも「文字として読めるけど、意味は1文字もわからん」という人も多いと思う。

しかし、このお悩みコーナーは多言語翻訳もされており、海外の二次創作をする人が読んで「わかる(外国語)」と共感していたりするそうだ。

言葉は通じなくても、推しを通じて、喜びや苦しみを共有することはできる、これはスポーツを通じて心を通わせるスポーツマンとほぼ同じだ。

つまり、オタクは実質スポーツマンなのだ。
今度趣味を聞かれたら「スポーツ」と答えようと思う。

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