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HIKAKIN、中田敦彦も参戦!YouTuberの物販ビジネスはタレントショップの新たな形

人気YouTuberによる参戦が相次ぐ物販ビジネス。コロナ禍でライブなどの対面イベントが開催できない中、彼らはなぜ物販を行うのか。メディアとファンビジネスの関係性について考えます。

なんでも調べる放送作家の大竹です。

先日、オリエンタルラジオの中田敦彦さんが新たなプロジェクトとして、ファッションブランド『CARL VON LINNÉ / カール フォン リンネ』を立ち上げました。


最近話題のSDGsを意識したサステナブルがコンセプトのブランドです。

なぜ衣類にサステナブルが必要なのかというと、大手アパレルメーカーは衣類を大量生産することで原価を抑えて消費者に安く提供する一方、売れ残った服は大量廃棄せざるを得ないという一面があります。

すべてのアパレルメーカーが大量廃棄を行っているわけではありませんが、環境への負荷を考えると無視できない問題です。

さらに昨今、大きく報道されたのが労働者の人権問題。中国の新疆ウイグル自治区で栽培される綿を原料として、衣類が生産されているというニュースです。この綿を生産するために中国政府が新疆ウイグル自治区で働く人々に強制労働を課したのではないか。事実だとすれば、そのような環境で生産された原料による衣類を安価で販売する企業はいかがなものか…という声が世界で大きくなりました。

こうしたアパレルの闇と呼ばれる問題に対して、カウンターのように登場したのがサンフランシスコ発のブランド「EVERLANE」。”徹底した透明性”を理念に掲げ、製造工場、各商品の材料費、人件費、コストなど製造にかかる原価をオープンにしました。

スーパーマーケットで「このトマトは千葉県の○○さんが作りました」と、生産者が見える形で販売する野菜のように、アパレルでも誰が作った服なのか分かるようにしようというわけです。

中田さんが手掛ける『CARL VON LINNÉ』も、こうした動きをいち早く取り入れたアパレルブランドで、中間業者を通さずに顧客へ直接商品の販売を行う「D2C(Direct to Consumer)」のビジネスモデルとなっています。

D2Cを取り入れているYouTuberは中田さんだけではありません。ヒカルさんも以前から自らプロデュースしたファッションブランド「ReZARD」を手掛けており、自身が出演したYouTubeの中で次のように話しています。

「僕自身が欲しい服を作ろうと思って。ファンのためとか考えてなかったですね。気合いは入ってなかったんですが、想像以上に売れちゃったんですね。すごいことになるぞと思っていたら、ドンドン大きくなっていった感じですね」

勢いに乗るYouTuberらしい発言ですが、HIKAKIN、はじめしゃちょーなど、多くのYouTuberがグッズ販売を行うことはもはや当たり前。YouTubeというメディアを通せば、広告代理店や小売店を挟まずに商品を売買できるというわけです。

今はコンプラNG!?タレントショップは時代の先駆け

Getty Images

ミュージシャンもアイドルも物販の基本はD2C。日本の芸能史を遡れば、1980年代〜90年代にかけて、芸能人が自らのグッズを販売する店を持つタレントショップブームがありました。原宿の竹下通りにショップが集中していたイメージです。

タモリさん、所ジョージさん、加藤茶さん、片岡鶴太郎さん、とんねるずさんなどなど、タレントが自身の名前を冠した店を出し、ファン向けにグッズを販売していました。

タレントショップとメディアを組み合わせた販売方法をとっていたのがビートたけしさん。伝説の番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で、原宿の竹下通りと京都嵐山、千葉県浦安市に「元気が出るハウス」をオープン。ビートたけしさんの顔がかかれた招き猫など、様々なグッズ販売を行い大人気となりました。

今では考えられませんが、テレビ番組の中でタレントショップの宣伝をして、視聴者をお客として呼び込んでいました。令和のYouTuberが取り入れているビジネスモデルは、すでに80年代から存在していたということで、さすがはビートたけしさんといったところでしょうか。

2015年4月に行われた出版記念サイン会で、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の総合演出だったテリー伊藤さんは「元気が出るハウス」について次のように話しています。

BLOGOS編集部

「『元気が出るテレビ』をやっているときに、『元気が出るハウス』っていうタレントショップをオープンさせたんです。これで稼いじゃったんですよ。ディレクターとしては20万円の報酬だったのに、グッズを売ったら何千万円っていうお金になっちゃった。もう演出なんかやってる場合じゃねーなって(笑)」

グッズは儲かる!だからこそ、時代が変わっても物販は変わらず行われるわけです。

ちなみに今のテレビやラジオで、番組MCを務めるタレントが番組と関係ない自身のグッズを激しく宣伝することは難しいでしょう。大前提として、公共の電波を使って放送される番組は視聴者にとって面白いもの、価値あるものでなくてはならず、制作陣がストップをかけると思われます。

2020年9月1日に配信されたSankeiBizの記事には次のような記載があります。

「特定の商品やサービスを取り上げることは、有益な情報提供となる一方で、番組なのかCMなのか誤解を招く恐れがある。そのため放送法は、広告放送であれば、視聴者が明確に識別できる措置をとるよう放送局に義務づけている。日本民間放送連盟(民放連)の基準でも、広告放送は明示するよう求められ、番組の合間に挟むCMの形をとることで、識別できるようにする必要があるとしている。」

CMはCMであると明示するのが前提。番組に広告をバレないように忍び込ませるのはNGとなります。ステマはダメですね。

制作陣の立場から言っても、タレント本人の商品をゴリ押しする番組は、よほど面白おかしくショーアップしないと見ていられないだろうと思います。

一方、YouTubeは放送ではなく配信。宣伝のやりすぎをどう受け取るかは視聴者の問題とはいえ、ルール違反ではありません。自分の裁量で自由にできるというわけです。

物販に憧れて放送作家がTシャツ作ってみた


そこで放送作家の私も物販を始めました。コロナ禍で番組制作費が激減し、生活が苦しくなったため、副収入を得ようと思ったのです。どんなグッズを作ろうかと考えに考えた結果、メディアで働く人間として「COMPLIANCE IS DEAD」とプリントされたTシャツを製作することにしました。

まずはインターネットでTシャツ業者を見つけ印刷を依頼。PowerPointでデザインを送ったところ、「データはPhotoshopかIllustratorでください」と、ITリテラシーの壁にぶち当たります。

原稿を書くことが仕事の放送作家はWordの使い方には長けているものの、Photoshopは未開の地。Tシャツ製作のためだけにPhotoshopのライセンスを契約し、四苦八苦の末データの入稿に成功しました。

それから2週間ほどで十数枚のTシャツが完成。「売れなくても自分で着ればいいか!」と言い聞かせ、袖を通したところ、これまで味わったことのない感動が押し寄せました。

自分で考えて製作した服がこれほど可愛いなんて!我が子のように愛おしく感じてしまい、自分のブランドという意識が芽生えた瞬間でした。

そのままCOMPLIANCE IS DEADと刻まれたTシャツを着てラジオ局へ。心臓の鼓動が聞こえるほどの緊張感。身につけてはいけないもので来てしまったという背徳感がありました。

誰もその文字に気づかずにスルーされていく中、あるスタッフがプリントされた文字に気がつき、笑いながら「すごいの着てますね」と一言。

待っていました!と、かましてやります。

「これ自分で作って売ってるんですよ〜」

想像もしていなかった言葉に、スタッフは「???」と目を丸くして驚いていました。知名度ゼロの放送作家がTシャツを自作して販売しているなんて、聞いたことがありません。先ほどのスタッフは「……がんばってください」と当たり障りのないことを言いながら去っていきました。

Tシャツを自作して分かったことは、商品の製作は簡単にできますが、それを売ることがいかに大変かということ。企業における営業マンの役割がいかに大切なのかを知りました。作る能力と売る能力は全くの別物ですね。

Tシャツの原価にも驚かされます。個人での注文のため単価が違うとはいえ、大手アパレルメーカーが低価格高品質のものを販売しているのはすごいことで、企業努力ってこういうことかと実感。

物販は儲かるといいますが、誰でもできるわけではないことを学ぶいい機会となりました。

果たしてこのTシャツの在庫はどうなるのか…。

おおたけまさよし
なんでも調べる放送作家
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