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みんなが幸せになれる国づくりは一人ひとりが自分の足で立つところから- 「賢人論。」第145回(後編)堀内勉氏

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幸福は、自分の足で立つところから

みんなの介護 新型コロナウイルス感染拡大によってライフスタイルの変化が生じ、新しい社会が形づくられようとしています。コロナ禍における惨事の経験を次の時代に活かすために、どのようなことが大切だと思われますか?

堀内 今の日本を見ていると、残念ながらコロナ禍の経験をプラスに変えていくようなポジティブな動きはないように思います。何十年か先の未来、今のコロナ禍を振り返って、「あのときの経験を通して日本社会はこのように新しい方向に踏み出した」ということは何もなく、「あのときには悲惨なことがあったね」で終わってしまうような悪い予感がしています。

この「過去から学ばない」という姿勢は、日本社会の特性であって、その背景には、現実をそのまま受け入れるという国民性があるのではないかと思います。

また、先日、HONZの創業者の成毛眞さんが、「Clubhouse(クラブハウス)」で田原総一郎さんと議論していました。成毛さんが未来を想定して著した『2040年の未来予測』がベストセラーになりましたが、それについて語り合う内容でした。

この本の最後に、「若者はもう日本のことなんか考えるな」「そんなことを考える前に、自分がちゃんと食べていけるようにしなさい」というようなことが書いてあります。それに田原さんが噛みついて、「成毛さんは、もう日本のことなんか考えなくて良いと言っているんですか?」と噛みつくわけです。

成毛さんは猛烈に反論していました。「グローバルな時代に、狭い枠の中で『日本VS日本以外の国』のような対立の構造をつくって『日本が、日本が』なんて言っても、それじゃあいつか来た道でしょ」というわけです。

変に日本というのを意識すればするほどドツボにはまっていくので、そういうものを一度外して、まず自分がちゃんと生きなさいというわけです。「自分がちゃんと生きてもいないくせに、そんな大上段に構えたことを言っていないで、まずは一人ひとりが自分の足で立って食えるようになりなさい」という感じのことを言っていました。

確かに、「お国のために」というのは、戦争のときの発想ですよね。私も成毛さんの考えに近くて、日本という狭い社会だけで物を考える発想というのは、これからは厳しいなと思っています。特に、若い人は日本という枠を一回外して考えるのが良いと思います。

海外に行ける人は、日本という国を出てみるのも良いでしょう。日本に留まるのであれば、歴史をよく学ぶことではないでしょうか。その中から、今の日本で自分に何ができるのかのアイデアが浮かんでくるのではないかと思います。

特に、今の日本は、基本的な生きる力をみんなが失っていて、ひ弱な国になっていると感じます。ですから、まずは「ちゃんと生きましょう」「自分の足で立ちましょう」ということです。

もちろん、自分の足だけで立てない人は世の中にたくさんいます。ですから、弱い人を見捨てるというわけではなくて、それぞれがまず自分の足で立つ努力をして、次に支え合うことを考えましょうということです。自分の足で立つことをしようともせずに、いきなり「支え合いましょう」と言ったら共倒れになってしまいます。

みんなの介護 自分の足で立つためにも手がかりになるのが、数々の知恵が詰まった本ということでしょうか。

堀内 一人でうじうじ悩んでいると世界が狭くなって内側に埋没してしまいます。しかし、本を読むと二千年前の人もうじうじ悩んでいたんだな、というのがよくわかります。昔の人は、どのようにその問題を解決したのかを学んだり、このように考える人もいたんだと知ることで、閉じていた自分の世界が開いていくのだと思います。

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