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創価学会の人たちが驚くほど熱心に「聖教新聞」の購読を勧めてくるワケ

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創価学会の会員は機関紙「聖教新聞」を購読している。さらに自身だけではなく、周囲に購読を勧めて、無償で配達をすることもある。なぜそこまで熱心なのか。宗教学者の島田裕巳さんは「2代会長戸田城聖、3代会長池田大作、どちらも非常に話術が巧みで、大勢の会員を引きつけ、贔屓に仕立て上げたからだろう」という――。

※本稿は、島田裕巳『「ひいき」の構造』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

無数の一万円札

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

新宗教が巨大な建築物を建てる目的

新宗教の入信動機としては、「貧病争」ということが言われる。貧しさ、病気、そして家庭内の争いごと、とくに嫁姑の争いごとから解放されることを求めて信者になるというわけである。

それも重要なことだが、一方で教団自体が大きな目標を掲げていることも欠かせない。そうした目標があることで、組織の活動は盛り上がりを見せていく。新宗教ではどこでも、巨大建築物を建てるということが、大きな目標になった。

たとえば、創価学会の場合、1990年代のはじめまでは日蓮宗の一派である日蓮正宗と深く結びついていた。創価学会が俗信徒の集団であるのに対して、日蓮正宗は出家した僧侶の集団である。その時代、創価学会に入会することはそのまま日蓮正宗に入信することを意味した。

日蓮正宗の総本山となるのが静岡県富士宮市にある大石寺である。創価学会は、日蓮正宗と密接に結びついていた時代には、大石寺の信徒団体となっていて、多くの建物を寄進した。なかでも、大石寺に伝わる板曼陀羅(まんだら)と称された本尊を祀るための正本堂の建設は最大規模の事業だった。

4日間で1500億円相当の「供養」が集まった

正本堂を建てるために寄附が募られたが、それは、「供養」と呼ばれた。供養の期間は1965年10月に4日間設けられた。目標は55億円だったのだが、それをはるかに上回る355億円が集まった。それから60年近くが経っており、消費者物価は4.2倍になっている(2020年)。そうであれば、当時の355億円は、現在では1500億円近くになる。相当な巨額である。

大石寺にはほかにも信徒団体があるので、創価学会だけで1500億円近くを集めたわけではないものの、創価学会の信者数は抜群に多く、ほとんどは創価学会の会員たちによるものだった。

その後、創価学会と日蓮正宗とは対立し、日蓮正宗は創価学会を破門にしてしまう。それによって、1972年に完成した正本堂は1998年に解体されてしまった。解体費用はおよそ45億円かかったとされるが、阪神・淡路大震災を契機に耐震性が問題になったこと、年間の維持費が10億円もかかること、そして、破門した創価学会の力が大きかったことが解体の理由となった。

創価学会の二代会長は酒を飲みながら講演をしていた

創価学会の会員が多額の寄附をしたのは、それだけ正本堂が建立されることを望んだからである。創価学会の二代会長である戸田城聖は、1958年に亡くなっており、正本堂が完成した姿を見てはいないが、そこに安置される本尊を幸福を生む機械にたとえた。本尊を拝みさえすれば、幸福が実現されるというのである。大石寺に参拝することは「登山」と呼ばれたが、多くの会員が登山会に参加した。毎年その数は180万人近くにのぼったとされる。

しかし、戸田の述べたことに創価学会の会員たちが納得したのは、戸田が会員たちと直接交わることに熱心だったからである。戸田の立場は教祖と言えるものではない。創価学会の信仰の核にある法華経の信仰を説く指導者であり、おすがりのようなことは一切やっていない。戸田が力を入れたのは信者に講演を行うことだった。

戸田の講演は、その死後、弟子たちによってレコードとして残されている。興味深いのは、戸田は講演を行う際に酒を飲んでいたことである。演台には水の代わりに酒がおかれていたという。

「自分の本はデタラメだ」という率直な物言いがウケた

当然、酒を飲んだ戸田は酔っているわけで、なかには、相当に酒が入っている状態で行われたものもある。そうしたものを弟子たちが残しているのも不思議だが、聴衆は酔った戸田の話に対して盛んに笑い声をあげ、拍手喝采している。今の感覚ではあり得ない状況である。

拍手をする人たち

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanL

たとえば、戸田が『小説人間革命』という本を刊行したときの講演がある。それは、1957年6月の初旬から中旬にかけて行われたものと思われる。その際に戸田は、次のように、びっくりするような発言をしている。

「それで、それは嘘書いてあるんだぞ。本当のこと書いてないんだよ。だけども、僕の精神は書いてある。どういう風に書いたかっていうとね、ある印刷屋の職工(巌さん)がおってさ、その職工がね、そいつが、ともかく信仰した経路を書いてみたんだよ。

そして僕が牢へ入った時の事をね、そこからは本当なんだよ。牢へ入ったところからは本当なんだよ。その前はデタラメなんだよ。」

戸田は、実業の方面には才能があったが、文筆家ではない。したがって、『小説人間革命』は、本人が書いたものではないと考えられるが、今のところ代筆した人間は判明していない。しかし、代筆であるにしても、自分の本にデタラメが書いてあると言い放つ人間は普通ならいない。

それでも、戸田のこのあけすけな発言に、聴衆となった創価学会の会員たちは拍手喝采している。この率直さに、戸田が膨大な数の会員を引きつけ、贔屓に仕立て上げた要因があった。

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