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安倍政権の3本の矢のうち2本はなくなった?

 総理は、「安倍政権は、政策の一丁目一番地を経済の再生と位置付けています」と言います。「規制改革は安倍内閣の丁目一番地」とも

  丁目番地聞いて、今の若い人たちどんな反応を示のでしょう? ちゃんと意味が分かるのでしょうか?

 私、何年か前に民主党に対して、「生活維新」なんていう言い方は古臭いから変えたらどうかとコメントしたことがあります。まあ、その意見が聞き入れられたかどうかは分かりませんが、結果として「国民の生活が第一」なんて、へんてこりんな言い方に変わったのです。

 だから、「丁目番地」なんて言い方は古臭いぞと私が言ったところで、それよりも分かり易い言い方に変わるかどうかは定かではありません。しかし、それにしても「丁目番地」だなんて‥

 実は、昔NHKのラジオドラマで「丁目番地」なんてのがあったのです。

 ちょっと失礼おたずねしたい
 ここらは何丁目何番地
 あちらの角のポストから
 こちらの橋のたもとまで
 みんなの町です一丁目一番地
 昨日も今日もまた明日も
 にこにこ笑って明け暮れる
 ここは一丁目一番地

 こんな歌詞だったのですが‥そんなことを憶えている人って、確実に60歳以上の世代なのです。

 それはそうとして‥安倍さんは3本の矢を放って経済を再生するって言っている訳なのですが‥でもですね、その3本の矢のうち2本が既にどこかに飛んで行って、見えなくなくなっているのです。

 3本の矢、ご存知ですよね。

 1本目、大胆な金融政策

 2本目、機動的な財政出動

 3本目、民間の投資を引き出す成長戦略

 このうちの2本目の機動的な財政出動ですが‥どうも態度に一貫性がないようにしか思えないのです。

 先ず、昨年の末頃、安倍政権はどんなことを言っていたかと言えば‥政策経費を71兆円以下に抑える歳出枠を撤廃するぞ!なんて。

 大変鼻息が荒かったのです。そして、その鼻息の荒さは2012年度の補正予算に如実に表れたのですが‥2013年度の当初予算になると、知らない間に政策経費は70.4兆円と、歳出枠に収まっていのです。

 確かに補正予算の規模が大きすぎ、そして、その補正予算は実はまだ成立もしていないためにその補正予算が成立しても、実質1か月かそこらで事業を開始する必要があるのですが‥そんなこと無理なのです。

 いずれにしても補正予算のインパクトが大きすぎ‥その結果、バラマキだという批判が絶えない。また、そうして大型の補正予算を組には大量の国債を発行せざるを得ないので、財政破綻を懸念する声が大きくなる、と。

 しかし、安倍さんというのは、そうやって批判の声が大きくなると、どうもそうした声が気になる性格らしくて‥今度は一転、国債の発行額は税収を超過しないように工夫しろと命令する始末。

 そして、そのような指針が示されるので財政再建にも気を配る発言が続くのです。

 甘利経済相の発言です。「中長期的に持続可能な財政を実現していく」

 中長期的というのは、何と便利な言葉でしょう!

 「中長期的に私は真面目な学生になることを誓います。だから、2学期になったら勉強します。」

 「中長期的に私は、健康管理を第一にしたいと誓います。だから、今月いっぱいは、酒とたばこを認めて欲しい

 どれだけ政権が替わろうとも、政権が替わったら新しい1年目が始まるのです。そして、当面景気回復を優先して、財政再建は2~3年経ってから考えるということになるので、結果として、毎年、財政の大盤振る舞いが続くのです。

 違います?

 麻生副総理昨日、NHKの番組で気になることを言いました。「日本の場合は間違いなく『中福祉・中負担』が国民的合意だ。中福祉なら10%以上に上がってくる確率は極めて高い」

 この発言、どのように解釈すべきかと言えば、「社会保障費を削減しない限り、将来の消費税の再増税は避けられなくなるとの認識を示したものだ」(時事通信社)と。

 麻生さんは国民に対して、年金や医療費の補助を削られたくなかったら、増税を認めろと言っているのですが、では、土建屋さんや大企業に対しては、公共事業や補助金を削られたくなかったら法人税の引き上げを認めろ、とは言わないのでしょうか?

 いずれにしても、あのイケイケどんどんの麻生さんまでが財政規律を口にする。

 では、2本目の機動的な財政出動はどうなるのか?

 もし、71兆円の歳出枠を守るという方針を2013年度以降、堅持するというのであれば、今度は、2012年度の大型補正予算の反動が2013年度に来るということになり、景気悪くなる可能性が大なのです。だって、その分、財政需要が激減する訳ですから。

 違います? だったら、今は、2013年度以降、71兆円の歳出枠を堅持すると言ってはいてもひょっとしたらまた年明けごろに、補正予算は「別腹だ」という論理で、大型の補正を組むことも想定しているということでしょうか?

  3本目の矢は、民間投資を引き出す成長戦略。

 私は、この言葉の意味するところがよく分からないのです。もちろん、民間投資を引き出すという言葉の意味は分かります。つまり、「民間投資を引き出す」というのが蛇足のような気が‥

 いずれにしても、普通、企業が設備投資などに動き出すためには、売り上げが伸びることが大前提になるのですが、では、どうしたら売り上げが伸びるのか?

 売り上げが伸びるためには、消費者がもっと消費活動を盛んにする必要があるのですが、でも、少子高齢化が進展するなか、なかなか消費活動が活発になることはないのです。

 安倍さんは、一体どのようなことをイメージしているのでしょう?

 結局、本当に潜在成長率を高めようと思えば、、長期的な観点で人口の減少に歯止めをかけ、
その上で、経済の効率性を高めるように、そして企業の創意工夫が生かされるようにシステムを再構築する必要があるのです。つまり、既得権をいつまでも保護するようなことをしていては、とても高い成長率を目指すことなど無理なのです。

 では、最近、安倍政権はどのようなことを決めたのか?

 発送電の分離見送りを決めましたよね?

 それに、電波オークション制度の導入を見送ったでしょ?

 利権がらみの問題に手を付けるのが難しいのは分かります。しかし、そうやって既得権益にしがみついている人々を守ってい、どうやって富の創出などできるのでしょう?

 結局、安倍さんは、言葉と裏腹に、縮小しがちな既得権益をどうにか死守しようとしているだけの話です。

 でも、そうしないと票が獲得できないと思っているのでしょう

 3本の矢を放ったと言いますが、実際に放ったのは2本だけ。そして、その2本のうちの1本も財政規律を回復するために、既に断念せざるを得ない状況になっているのです。しかし、だからといって、その2本目の矢を放ち続ければ、いずれ市場から国債が敬遠されることになりかねないのです

 銀行や生保が、国債の価格下落に備えて、国債の評価方法を時価を反映しない簿価評価方式に変更したところがあると言われています。

 ちょっと不気味な感じもするのです。

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