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調査報道の担い手、主流マスメディアからNPOへ

メインストリームメディア(MM)から非営利組織(NOP)へ。アメリカでは調査報道の担い手が代わってきている。

 先週も、調査報道で2003年にピューリツア賞を獲得したNYタイムズのJoseph Sexton氏が、調査報道NPOのProPublicaに転職し2月からシニア編集者として活躍の場を変えるとの発表があったばかりである。CNNも調査報道部隊を閉鎖するという。新聞やTVなどの主流マスメディアは経営状況が年々厳しくなっており、ここ数年はレイオフラッシュが続いている。ニュースルームの記者や編集者も例外ではない。多くの人と時間を拘束しがちな調査報道に、メインストリームメディアが力を入れる余裕がなくなってきているのだ。

 日本ほどではないにしても、米国でも本格的な調査報道が減り、受動的な発表記事やエンターテイメントやゴシップの軽い記事が幅を利かせている。オンラインメディアの台頭がその流れを加速化させている。その結果もあって、たとえば新聞の信頼度調査でも、長期低落が続いている。以下はギャラップの調査結果である。

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 能動的な調査報道を夢見てジャーナリズムの世界に飛び込んだメディアパーソンにすれば、MMは居心地が悪くなっているのだろう。また調査報道が弱体化するのは、メディアの危機であるとの意識も高い。先のNYタイムズの記者も、同社がニュースルームの経費節減に向けて30人削減を実施するとの呼び掛けに応えて、NYTに見切りをつけ、調査報道NPOの代表格であるProPublicaに転職したわけだ。調査報道を続けるためにMMからNPOへ転職する流れは、この数年盛んになっている。このため、調査報道NPOの設立も相次いでいる。アメリカ国内だけではない。世界の政治や経済、社会が混とんとしている中で、グローバルな調査報道の必要性が高まる一方である。

  CIMA(Global Investigative Journalism Network )によると、調査報道NPOの団体数は2007年に26ヵ国39組織であったのが、2012年には47ヵ国106組織に膨れ上がっている。NPO間の情報交換や連携も増えそう。でも残念ながら、日本にはCIMA公認の調査報道NPOが存在しない。

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  ただ、調査報道NPOも資金難の問題を抱えている。個人中心の寄付金に大きく頼っているだけに台所事情は厳しい。年間予算の多いアメリカの調査報道NPOのトップ10は次のようになる。断トツのProPublicaでも年間予算は1000万ドル程度である。CIR(Center for Investigsative Reporting)やCPI(The Center for Public Integrity)でも、約500万ドルである。中小の調査報道NPOでは、スタッフが5、6人程度で予算が約5万ドルしかない団体も珍しくない。

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  調査報道NPOの多くは、自前のサイトを用意し調査報道記事を発信している。以下に、CIRとCPIのスナップショットを掲げておく。

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 また調査報道NPOの記事は、新聞社サイトや通信社にも原則無償提供されており、主要新聞社サイトでも見かけることが多くなっている。さらに最近目立つのは、調査報道NPOに在籍している記者が、NYタイムズやワシントンポストなどの有力新聞社サイトのコラム(主にブログ)を請け負っている例が増えていることである。アメリカでは生涯一記者を貫く専門性の高い記者が多く、また名刺よりもパーソナルブランドを武器にしているだけに、調査報道NPOにも優秀なメディアパーソンが流入していくのかもしれない。

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