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「抗体カクテル」「イベルメクチン」のリスクとベネフィットは?ワクチンとともに期待される新型コロナウイルス治療薬の現在

 菅総理と小池都知事は16日、先月19日に特例承認された「抗体カクテル」療法が実施されている都内の宿泊医療施設を視察した。

・【映像】アストラ製接種&抗体カクテル療法開始 リスクは大丈夫?現役医師に聞く

 抗体カクテル療法とは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に対し異なる違う部位に働く「カシリビマブ」「イムデビマブ」を混ぜ、発症7日以内の軽症・中等症の患者に点滴で投与、ウイルスの増殖を抑えるというもので、入院・死亡のリスクを7割減らせるというもの。小池都知事は「これは大きな武器になりうる」と述べ、菅総理も従来は医療機関でしか使えなかった治療薬を宿泊療養者にも投与できるよう全国規模で整備する方針を明らかにした。

■抗体カクテルの投与施設ができれば重症者を減らすことが可能に

 16日の『ABEMA Prime』に出演した愛知医科大学大学院の三鴨廣繁教授(感染症学)は「すでに感染した方の体の中に入っているウイルスの働きを止めてしまうのが中和抗体だ。変異に弱いカシリビマブと変異があっても効果があるイムデビマブのバイアルを投与直前に混ぜるので“カクテル療法”と呼ばれている。

 発症から7日目以内の早期、できれば発症から4、5日程度の段階で、特に酸素投与を必要としない患者への有効性が非常に高いということがワールドワイドに行われた臨床試験で明らかになっている。安全性についても、もちろん薬である以上ゼロリスクというのはないが、臨床試験では信頼される成績が得られている。有害事象、副反応は少ないというふうに考えていいと思う」と話す。

 その上で三鴨氏は「今はまだ医療施設にいる入院患者にしか使えないということになっているが、これが外来患者にも使えるようになれば、例えば往診される先生方が往診先で投与できることになるし、療養施設になっているホテルを認定し、そこでどんどん投与するということも考えられている。そういう施設が作られていけば、重症者を減らすことができるようになると思う。

 一方で、菅首相は“十分な数が準備されている”と話していたが、世界の生産体制を見る限り、現実的には軽症者全員に投与できるほど潤沢な量は日本にはまだないと思う。施設を準備し、そこでやっていく分にはまだまだ供給体制はあるだろうが、かかった国民全員が早期に投与されるくらいの供給能力はまだないと聞いている」。

■東京都医師会の尾崎会長が使用の許可を訴えた「イベルメクチン」とは

 治療薬をめぐっては、東京都医師会の尾崎治夫会長が13日、「もちろん飲まれる患者さんにちゃんとインフォームド・コンセント(合意)をした上でだが、イベルメクチンの使用を認めていただいてもいい段階に来ているのではないかなというふうに考えている」と発言している。

 「イベルメクチン」とは寄生虫による病気への薬で、これまでアフリカなどで5億人以上に投与された実績がある。ただ、その効果をめぐっては議論が続いており、去年5月、当時の安倍総理が「有効性が確認されれば早期に薬事承認をしていきたい」と発言したが、その後の研究では有効性がなかなか証明できないままでいるようだ。

 三鴨氏は「すでに試験管内では有用性が確立されている。2つのメカニズムがあって、1つはウイルスが我々の体にあるレセプターにくっついて感染がはじまるが、イベルメクチンはそこから細胞の中に入るのをブロックする。もう1つは、細胞の中にウイルスが入ってしまった場合、そのウイルスのタンパクが再生、増殖するが、その過程をブロックする。

 ただし、適応は疥癬、つまりダニや糞線虫といった寄生虫に対する疾患に対する薬になっているので、新型コロナウイルス感染症の患者に使う場合は患者さんの同意を得て、施設の倫理委員会の承認を得て使う必要があるということになっている。しかし私自身はイベルメクチンの安全性は高いと思っているし、有害事象に注意しながら使うことについては賛成だ」。

■「まだ“イベルメクチンに効果がある”と断言はできない」

 一方、Twitterアカウント「手を洗う救急医Taka」としても知られる、新型コロナワクチン公共情報タスクフォース副代表理事で CoV-Navi副代表の木下喬弘医師は「理論上有効であることと、実際に人に投与して効くかというのはまた別問題で、それが実証されたものを特例承認するというかたちになっていくと思う」と話す。

 「実際、人に対して投与した研究はたくさんあるが、今年7月、“有効”という判断のもとになった論文の一つがデータを捏造していたということがわかった。この研究結果を外して解析すると、また結果が変わるんじゃないか、という指摘も出てきたし、たくさんの研究をまとめて一つの結論を出すということをやっているコクランというグループやアメリカ感染症学会が“有効性が認められない”という結果を出してもいる。現状では、まだ“効果がある”と断言はできないと私は考えている。

 飲み薬で治せる、ということはとても重要だが、世界で何億回も投与されているのに効果がまだ証明されていない以上、使用許可を出すことには慎重であるべきだ。現状、“適応外使用”であるし、WHOやFDA、EMAといった薬事承認の機関も同じような見解なので、そこは世界と同じ歩調をとった方が良いと感じている」。

 これに対し三鴨氏は「木下先生がおっしゃったことは、やはり世界の人々、日本の国民が求めていると思う。イベルメクチンはノーベル賞受賞者である大村智先生が発見・開発された薬で、これをアメリカのメルクグループ、日本ではMSDが販売している。ところがメルクグループはすでに新しい飲み薬を開発しているので、イベルメクチンの開発は及び腰だった。そこで手を挙げた日本の興和という会社が東京都医師会の絶大な力添えを得て近々臨床試験を始める。その結果が出れば不安も解消できると思うし、もし効果があることが分かれば、皆さんが安心して使っていただけることになると思う」と、治験による効果の確認の必要性にも言及。

 その上で「インフルエンザを見てほしい。インフルエンザワクチンの場合、成人ではたかだか40%しか効果がないと言われているが、それでも皆さんワクチンを打たれる。コロナはいつかインフルエンザになるだろうと言われるが、そのためには飲み薬が必要だ。中和抗体カクテルの投与は点滴だが、飲み薬なら自身で服用ができる。インフルエンザも、内服や吸入薬を予防投与すれば、かかる率はかなり低くなる。もちろんワクチンも重要だが、イベルメクチンに限らず薬が登場したときが初めて人類がコロナと対等に戦える時期になるのではないか」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:アストラ製接種&抗体カクテル療法開始 リスクは大丈夫?現役医師に聞く

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