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生活保護を考える

先日労働相談会があって、その中に大阪から東京に来た人がいた。
会社からリストラ強要されていて相談に来ていた。
大阪にはガンの奥さんを残してきたそうだ。
とてもいまの所得では治療していけないと、離婚して生活保護を受けてもらうことにしたそうだ。
二重苦三重苦で本当に気の毒だと思った。

電機業界のリストラは12万人を超えるというし、いつだれが彼と同じような目にあうかわからない。

そうした中で安部政権は生活保護基準額の大幅な引き下げを行おうとしている。

生活保護引き下げ、受給者以外にも影響 就学援助など
よりどころにするのは、この日公表された生活保護基準と低所得世帯の消費実態を比較した5年に1度の検証結果だ。

 夫婦と子ども1人の3人世帯では、生活保護で支給される生活費(生活扶助)の方が、低所得世帯の消費支出よりも月約1万3千円多い、というものだ。子ども2人の4人世帯では、差は約2万6千円に広がる。
鍋パーティで何度も取り上げているが、生活保護というのは社会のセーフティネットの最後の砦だ。それを受給者が増えているからと、どんどん削っていこうというのは、人の命を削っていくのと同じことではないだろうか?

そもそも生活保護とは、ぎりぎりの生活が出来ればそれでいいというものでない。そんなぎりぎりの生活を続けていって、どうやって生活保護から抜け出せるというのだろうか。この記事にあるように、生活保護を低所得世帯(ワーキングプア)に合わせるというのは、低いほうに合わせているわけで、こんなのを理由に生活保護基準を見直すこと自体おかしい。またワーキングプアは最低生活費以下の収入しかない人たちのことだが、彼らが生活保護を利用するというはなしも聞いたことがない。貧困問題の本質(生活保護、ワーキングプア)を見ないで、生活保護 vs ワーキングプアという貧困対決にすり替えているように見える。
厚生労働大臣は一度生活保護支給額で生活をしてみてはいかがだろうか。

高齢者はともかく、若い世代にとっての生活保護というのは、一生お世話になる制度ではなく一時的にお世話になる制度だから、病気があれば病気を治さなければ働けないし、職業訓練を受けていなければ生活保護水準以上の収入も得られない。

そもそも、生活保護の受給者が増えている原因は、今の日本が激しい競争社会となったことも原因のひとつだろう。

うつ病になったり、リストラされたり、いつ誰がどうなるかわからない。
結局、みんな生活が不安だから、お金を使おうなどとは思わないし、消費しない社会は経済が活性化しない。

安部政権のインフレターゲット2%というのも、物価だけ上がって生活は苦しいままではなにもお金の回りはよくならない。もうひとつおかしなことは、物価だけ上げて、生活保護基準は引き下げるのでは、受給者の生活をまったく無視している。さらに消費税の増税では目も当てあられない。どうして日本人は同族に対してこんなにも冷たいのかさっぱりよくわからない。アメリカですら餓死したなどというひどい話はないと思うが、日本では北九州市での生活保護を受けられないで餓死した事件に始まり、最近では立川で姉妹が餓死するなど、およそ世界の近代国家では考えられないようなことが起きている。近代国家で国民が餓死するなんていうのは、国として恥じ入るべきことだろう。

なぜこのような事(生活保護を必要な人が受けられない)が起きるかといえば、生活保護を申請するときの窓口での「水際作戦」が、生活保護を申請の敷居(ハードル)をあげているからである。これは不正受給を防ぐことを目的としているが、ケースワーカーひとりあたりの担当する世帯数は100世帯を超えていて、とても適正な対応は無理なのが現状だ。

また、不正受給そのものに多くの批判の目が集まっているが、日本の不正受給は件数ベースで2%程度、金額ベースでは0.4%程度である。ケースワーカーひとりが100世帯以上もの担当を抱えていて、この数字はむしろ低いとぼくはとらえる。
生活保護世帯の増加は200万世帯を超えていることから、いかにも財政を圧迫しているような報道がなされている。しかし、生活保護の利用率で見れば違うことがわかる。

*1:
1951年度 人口 8457万人 生活保護利用者 204.6万人 利用率 2.4%
2011年度 人口 1億2700万人 生活保護利用者 205万人 利用率 1.6%


また各国の比較で見ても、日本の利用率 (1.6%,205万人) というのは、ドイツ(9.7%,793.5万人)、イギリス (9.27%,574.5万人) と比較しても低いことがわかる。

リンク先を見る

冒頭で紹介した男性のように、生活保護やワーキングプアは自己責任の問題ではない場合も多くある。誰がいつどういうリスクを負うかわからないから、社会のセーフティネットというものがある。大切なことは、社会全体がリスクを分散させることであって、生活保護やワーキングプアから抜け出せるように、彼らを支えることである。

今回の基準引き下げでは「夫婦と子ども2人の世帯」では14.2%(*2)も生活保護基準が引き下げられることになる。

生活保護を受ける家庭に育てば、貧困からなかなか抜け出せないのでは、その家庭では何世代にもわたって生活保護を受けることになってしまう。貧困の連鎖から抜け出せる仕組みがなければ、国の税収などいつまでたっても上がらない。

【Takky@UC】

参考リンク
*1: Q&A 今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?
日本弁護士連合会

*2:STOP!生活保護基準引き下げ

参考文献
生活保護 VS ワーキングプア
若者に広がる貧困
大山典宏

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