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【フラッシュフード】、食品ロス解決のアプリが静かに拡大!全米普及もキャズムが直前?


■まだ食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス」問題がある。廃棄となる食品量は世界中で年間13億トンを超えている。

その一方で、世界ではいまだ11人に1人が飢餓に苦しんでいる。アメリカ国内でも食品廃棄は大きな社会問題になっている。

アメリカでは9人中1一人の割合で食料を安定して得られていないと指摘される中、国内しかもスーパーマーケットなどの小売りレベルだけでも年間、370億ドル(約4.1兆円)分の食品が廃棄されているのだ。

スーパーの売れ残りによる廃棄や、賞味・消費期限についての不案内から、食用に適する食料品の40%が捨てれているのだ。

アメリカの食品スーパーでは多くが売れ残った食品をフードバンクに寄付している。

フードバンク以外にも安く提供しようと2015年には非営利のスーパーマーケット「デイリーテーブル(Daily Table)」がオープンした。

現在までにマサチューセッツ州ボストン近郊に3店舗を展開するデイリーテーブルを運営しているのは、トレーダージョーズで30年以上のキャリアをもつダグ・ローチ氏。

トレーダージョーズで14年間社長を務めたローチ氏は、カリフォルニア州に9店舗しかなかった同店を300店以上にした敏腕社長だ。

100坪にも満たないデイリーテーブルは、食品卸業者から卸すには熟れ過ぎた野菜や果物などを寄付もしくは安く買い入れ、低価格で提供している。

デイリーテーブルでは通常のスーパーに比べて30%も値段が安くなっているのだ。

食品ロスはSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )目標12「つくる責任とつかう責任」のひとつに取り上げられている重要な項目でもある。

 食品ロス問題にITを使って店舗ベースで解決する動きも拡大している。ニュージャージー州などに63店舗を展開する食品スーパーのプライスライトは販売期限が迫っている生鮮品などを値引きして販売するアプリ「フラッシュフード(Flashfood)」をテスト展開することを発表した。

フラッシュフードの利用の仕方はスマートフォンにフラッシュフード・アプリをダウンロード。

利用者はフラッシュフードを介して対象となる最寄りのプライスライトを選択し、欲しい商品を注文・決済した後、店舗の専用コーナー「フラッシュフード・ゾーン(Flashfood Zone)」にある冷蔵庫や棚から注文品を受け取る。

プライスライトでは4店舗からテストを行い徐々にフラッシュフードを拡大していく。

フラッシュフードを採用するスーパーはここ数年で拡大しており、最近でもニューヨーク州を中心に162店舗のスーパーを展開するトップス・フレンドリー・マーケットも先月、17店舗に導入することを発表した。

トップス・フレンドリー・マーケットでは50店舗でフラッシュフードが利用可能となっている。

アホールド・デレーズ傘下でペンシルバニア州など4州に190店近くの食品スーパーを展開するジャイアント・カンパニーでは6月、全店に展開することを発表した。

フラッシュフードの全店展開はジャイアント・カンパニーだけでなく、ミシガン州を中心に中西部6州にスーパーセンターなど246店を展開するマイヤーも昨年1月から全店での導入を始めている。

アイオワ州など250店近くを展開するスーパーマーケットチェーンのハイヴィーや、ミシガン州で140店展開するスーパーのスパルタンナッシュも傘下のスーパーを含めてテストを行っており、フラッシュフード認知度が消費者の間で高まるにつれて採用するスーパーが増えているのだ。

 そろそろ大手スーパーマーケットチェーンも店舗ベースでのフラッシュフードを展開するべき時期に来ている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「コレはイイ!」と唸ったサービスやITも、すぐには広がりません。普及に関する理論となるイノベーター理論が示すように、革新的な製品・サービスが世間に浸透するまでにいくつかの段階を経なければなりません。イノベーター理論とはスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論です。「いい製品だ」「良いサービスだ」といっても、まずは新しいものを積極的に採用するイノベーター(全体の2.5%)と呼ばれる人が使うのです。

そして新しもの好きで流行に敏感なアーリーアダプター(全体の13.5%)が使います。この後に比較的慎重なアーリーマジョリティが使うのですが、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にキャズム(溝)があり、容易に超えられない普及の壁があるのです。いまでこそ当たり前のようにありますが、モバイルオーダーも溝というか壁を超えて拡大しています。フラッシュフードも今まさにキャズム手前となっているのです。

 誰もが認める、いい製品やいいサービスにも長い助走期間があり、全米への普及を阻む壁をも越えなければならないのです。

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