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  • ロイター
  • 2021年08月16日 10:36 (配信日時 08月16日 10:27)

焦点:コロナ禍で数百万人が頼った米国学校給食、先行き不透明に


[ベントン・ハーバー(ミシガン州) 11日 ロイター] - 7月のある暑い日の朝、ジェームズ・テリーさんは自宅のガレージから外に出た。このガレージは、テリーさんが経営するミシガン州中心の自動車関連事業「ベントン・ハーバー」の拠点である。彼は今、仕事を一時中断して、7歳の息子を連れて食料品を取りに行くところだ。

だが、父子が向かうのは食料品店ではなく、近所の公園だ。そこでは学区の担当者が、個包装の牛乳、シリアル食品、アップルソース、そしてピーナッツバターとジャムのサンドイッチを無料で配布している。

<来年夏には緩和策を撤廃へ>

こうした食料配給は、コロナ禍のもとで学校給食に関する政府の方針が劇的に変化した結果だ。連邦政府機関は夏季休暇中の給食に関して、「児童生徒は校内で食べるものとする」という条件を廃止した。また、政府補助金による学校給食の家庭への配布は、その必要性を証明できることが条件だったが、その制限もなくなった。

パンデミック(世界的な感染大流行)によるロックダウンの終了後、1年以上にわたって米国経済の成長が続く裏で、失業中、あるいは家賃や住宅ローンの返済に困っている数百万もの家庭では、過去に類を見ないほど高い飢餓率に陥っている子どもを救うため、学校給食の配布に頼るようになっている。

だが、給食の配布条件や所得要件といった緩和策は来年の夏には終了する予定であり、こうした家庭が頼りにしていた食料を得られなくなってしまう可能性がある。

テリーさんの妻は在宅医療サービスの仕事をしており、他の家庭で彼女が働いている間は、テリーさんは自分の仕事の傍ら、在宅で学習する4人の子どもの世話に追われている。

「ルールが変わると、ちょっと面倒なことになる」と彼は言う。

夏季休暇中の給食に関する要件が緩和されたことで、テリーさんのような親たちは時間をかけずに食品を入手し、その後はすぐに仕事に戻ることができた。家を離れられない子どものために、祖父母や近所の人が食品を取りに行くことも可能だ。

米国勢調査局が毎週実施する家計実態調査(Household Pulse Survey)によれば、昨年12月の時点で、子どものいる家庭1530万世帯では、家族全員が十分な食事をとるだけの食料を入手できなかった。米国全体の18%以上に相当する数字だ。

学校給食配布をはじめとする栄養支援プログラムの拡大のおかげもあって、この数値は7月5日の時点で107万世帯にまで減少したが、それでもパンデミック前に食糧不足に直面していた世帯の割合を大きく上回っている。

シカゴ・パブリック・スクールズ(CPS)における夏季休暇中の給食配布は、パンデミック前の3年間には平均74万5000食だった。だが今年は、学区内での夏の持ち帰り軽食プログラムを拡大させた結果、約450万食を無料で配布することになると予想されており、国内第3位の規模の学区における家計の困窮ぶりを物語っている。

マンド・マルティネスさん(69)は、シカゴのノースサイドにあるレーン・テック・カレッジ・プレップ・ハイスクールでCPSのプログラムが提供する食料を、シングルマザーの娘と12歳になる孫のために毎週何袋か受け取りに行っている。娘の家庭では出費を切り詰めているが、このプログラムは毎月100ドル(約1万1000円)以上の節約につながっている。

看板製作の仕事を引退した年金生活のマルティネスさんは、食料を手に帰宅する道すがら、「娘は誰にも助けてもらえない」と語る。「この支援の意味は大きい。最近では何を買うにしてもひどく高いから」

<支援策の先行きは不透明>

学校給食の拡大は一例にすぎない。米国ではこれ以外にも、コロナ禍にあって実施された社会的セーフティーネットの試みが先行き不透明に陥っている。

2020年3月末からは、食料配給の受給資格や実施時期に関する所得要件などの条件がトランプ政権により撤廃されるようになった。

バイデン政権下でも引き続き、米国農務省は世帯の所得水準を問わず、昼食1食につき最高4.31ドルを各州に支給している。

こうした緩和措置は2022年6月には満了する予定で、依存するようになってきたコミュニティは衝撃を受けることになりそうだ。

2020年5月から2021年4月にかけて、農務省は夏季休暇中の給食配布事業拡大のために1008億ドルを投じ、学校閉鎖が続いている間は夏季だけでなく通年の措置とした。2016年以降、パンデミック前までは、このプログラムによる夏季休暇中の給食に関する支出は年間で5億ドルを下回っていた。

カリフォルニア州では、直近の予算で一律無償の学校給食提供を組み込み、給食の提供を受ける資格から経済的要件を撤廃した。この5月には連邦議会上院に2本の法案が提出された。1つは夏季休暇中の給食配布を恒久的に拡大するための超党派の措置であり、もう1つはバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)とイルハン・オマル下院議員(ミネソタ州選出)が合同で提出した、すべての人に一律で無償の学校給食を提供する法案である。

ベントン・ハーバー学区の食品サービス事業者ソデクソ・マジックでゼネラルマネジャーを務めるリカルド・カーター氏によれば、夏季休暇中の給食のために生徒が学校の食堂に通う必要がなくなり、困窮する労働者階級のコミュニティ向けの食料配給制度になったことで、同学区では以前より数百人も多い生徒に食料を提供できるようになったという。

全米学校栄養協会が行った2021年の調査によれば、コロナ禍での学校給食配布の利用件数は全国で85%増となった。

「以前は『食卓まで来れば食べさせてあげる』という姿勢だった」とカーター氏は言い、規制緩和によりはるかに多くの生徒に食料を届けられるようになったと説明する。「集団給食に戻すのは、大きな間違いだと思う」

シカゴの北に位置するラウンドレイク学区で美術教員を務めるジンジャー・カルプさんは、自分の娘と近隣住民の子どものために昼食を取りに来ていた。カルプさんは自分の授業でもお腹をすかせている子どもたちを目にすると言い、無償の給食がなくなってしまうことを心配している。

「給食が頼みの綱だった人々にとっては、大きな痛手になるだろう」とカルプさんは言う。

連邦政府による食事の提供が始まってから2年以上が経った今、中所得層の多いシカゴ郊外のイリノイ州第56学区では、責任者であるコリーン・パカット氏が、すべての人に食事を提供する費用を学区が負担するか、それとも給食費の自己負担を保護者に頼むか、頭を悩ませている。

「各家庭に、どう説明すればいいのか」とパカット氏は言う。

「誰が資金を出さなくなったのかは、彼らにはどうでもいい」と同氏は言う。「彼らに分かるのは、もう食事は提供されない、ということだけだ」

(Christopher Walljasper記者、Brendan O'Brien記者 翻訳:エァクレーレン)

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