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「リアルを届けたい」女性カップルYouTuberの“願い”と、「やはり大衆意識が追いついていない」現状



 「こんにちは! エルビアンTVのReyanと、Uでーす!」

 チャンネル名と名前から始まる、YouTuberお決まりの挨拶。仲のいい友達2人のように見えるが、実はカップルだ。

【映像】「エルビアンTV」の2人を取材

 「私はレズビアンでして(Uさん)。私はパンセクシャルというセクシャリティーです(Reyanさん)」

 Uさんは「レズビアン」、Reyanさんは相手の性のあり方に関係なく好きになる全性愛者の「パンセクシャル」。女性同士による、カップルチャンネルだ。



 YouTubeを始めようと思ったきっかけについて、Reyanさんは「最初、私たちはカップルチャンネルをやるつもりがなくて。身近に当事者がいない人の助けになれるといいますか、地方で見ている人とかの助けになれたらいいなと、YouTubeをできたらいいんじゃないかと話をしていた時に、YouTube上で『レズビアン』って検索をしたら、大人向けのビデオの切り抜きとかしかあがっていなくて。

それを見て、『世の中のイメージってこれなんだ』と衝撃的だったのを覚えていて。カップルっていろんな形があると思うんですけど、喧嘩してる時もあれば、ラブラブな時もあるし、女同士だとしてもチューとかをしたりするし。そういう本当なリアルを届けていきたいというのが、YouTubeを始めるきっかけ」

 恋愛事情やドッキリ、定番のモーニングルーティーンなど、男女のカップルと同じような動画を発信。誰もが楽しめるものを目指しつつ、あまり知られていない同性カップルの自然なライフスタイルを知ってほしいという狙いがあるという

 「見てくださる中でいろんな方がいて。私たちと同じようなセクシャルマイノリティーの方もいれば、今まで自分の身近な方にセクシャルマイノリティーがいなかったという方もたくさんいて。そういう方が『知るきっかけになった』とか『普通のカップルと同じなんだね』とか、いい反応がとても多くて、ありがたいことにすごく素敵な言葉をいただけることが多いです」(Reyanさん)



 8日に閉幕した東京オリンピックでは、「多様性と調和」がコンセプトの1つとして掲げられ、LGBTであることを公表している選手たちも活躍。オリンピック史上初めて、トランスジェンダーの選手が生まれた性別とは別のカテゴリーで参加した大会にもなった。

 「オリンピックでカミングアウトしている選手さんがいることで、普段は知ってもらえない層の人たちや、年齢が上の方にもっと知っていただける機会は増えたと思うんですけど。それで生活がガラッと変わるようなことがあったかというと、特に私たちは感じていなくて」(Rayanさん)

 「やはり大衆意識みたいなものってまだ追いついていないのかなという部分をすごく感じているといいますか、さほど変化を感じていないのが現状ですね」(Uさん)

 社会の認識や制度が変わってほしいという思いはありつつも、そう簡単に変わることではないということは理解しているという。

 お互いとの結婚を希望するかという質問に、Uさんは「はい、そうですね」、Reyanさんも「うん、そりゃあね」と回答。カップルとして自然な姿をYouTubeで公開している2人にとって、結婚という制度も男女のカップルと同様、将来の選択肢として願う、自然な形だ。

 「パートナーシップじゃなくて、結婚ができるならしたいので。それが日本で認めていただけるなら日本でしたいですし、日本でできなければもしかしたらできる国とか制度があるところで生活することも考えるかもしれないし。それはまだわからないんですけど、一緒にいれたらいいよね」(Reyanさん)

 「ただ一緒にいれたら……それで」(Uさん)



 人種や民族、LGBTなどを含むマイノリティーな立場の人々に対して、「2つのスティグマ(偏見)を持ちやすい」と、ニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は説明する。

 「1つがネガティブなもの。例えば、『彼らは変だ』『自分たちと違う』、あるいは『ずるい』とか、こういうものについては“差別”だということで、よくないことはみんな知っている。もう1つはポジティブなもの、“神話”に近いものがあると思う。例えば、BL(ボーイズラブ)と言われるジャンルの中で、『美しい』『儚い』といった言葉が使われるが、ちょっと神話のようにイメージを固くしてしまうということがある。映画や小説によって言われたり、イメージが生産されたりする」



 ポジティブな要素は大きな問題ではないように思われるが、石田氏は「そうではない」と指摘しつつ、2人のような活動は大事だと背中を押した。

 「1つは、勝手なスティグマを押し付けるという意味では、彼らにも多種多様な生き方や生活があるので問題がある。もう1つは、これが裏切られた時。『純粋だ』というようなイメージを持っていたのが裏切られた時に、怒りや失望に変わってしまうという問題がある。

マイノリティーというのは、理解が少ないからこそマイノリティーなわけで、映画や小説の描き方がファンタジーあったとしても、これが普通なのか、リアルなのかと勘違いしやすい。だからこそ、こういったかたちでリアルな生活や考え方を発信することで、理解も広まっていくと思うし、神話が打ち破られていくというところはあると思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

映像:井手上漠 “性別がない”アイコンとしてメディアに出る意義

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