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「開閉会式でほとんど取り上げられなかったのは非常に残念」「福島産食材への風評払拭が必要なタイミングだった」“復興五輪”とは何だったのか?


 おととい閉幕した東京オリンピック。新型コロナウイルスの感染が拡大すると、安倍前総理や菅総理、さらに大会組織委員会の橋本会長などが口にする開催の意義が“コロナに打ち勝った証”“安全安心”にすり替わってしまった感があるが、本来、2011年の東日本大震災からの“復興五輪”として招致されたものではなかったか。

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 復興庁のホームページでは、「復興五輪とは」として3つの項目を掲げている(原文ママ)。

 (1)東日本大震災に際して、世界中から頂いた支援への感謝や、復興しつつある被災地の姿を世界に伝え、国内外の方々に被災地や復興についての理解・共感を深めていただくこと
 (2)大会に関連する様々な機会に活用される食材や、競技開催等をきっかけとして来ていただいた被災地の観光地等を通じて、被災地の魅力を国内外の方々に知っていただき、更に被災地で活躍する方々とのつながっていただくことで、大会後も含め「買ってみたい」「行ってみたい」をはじめとする被災地への関心やつながりを深めていただくこと
 (3)競技開催や聖火リレー等、被災地の方々に身近に感じていただける取組を通じて、被災地の方々を勇気付けること

 これらは一体どれほど達成できたのだろうか。

■「開会式や閉会式の中でほとんど取り上げられなかったことは非常に残念」


 折に触れて被災地・福島を訪問してきたカンニング竹山は「コロナ禍のために、これやろう、あれやろうと計画していたことが物理的にできなかったという事情はあるだろう。ただ、コロナが無かったとして、本当にどこまでやったのかとも思う。“コンパクト五輪”というテーマと併せて、どこか誘致のための“武器”として使われたんじゃないかと思うし、本音で言えば、僕は東北で競技をすべきだったと思っている」といぶかしむ。


 こうした疑問について、都職員時代には五輪招致推進担当課長を務めたスポーツ政策創造研究所代表の鈴木知幸氏は「どのようにして“復興五輪”という言葉に至ったかを検証しなければならない」と指摘する。


 「2008年10月、私も関わった2016年大会の招致で東京都はリオ・デ・ジャネイロに負けた。しかし当時の石原知事は2020年大会の招致に再挑戦することを表明した。一方で広島市と長崎市が“核廃絶”をテーマに大会の構想を示していたために、東京都としては手を挙げにくい状況でもあった。しかし2011年の9月1日の申請期限を前に東日本大震災が発生し、そのこともあって広島市が撤退。そして7月に東京都が招致を表明することになった。そこでテーマとして掲げようということになったのが“復興五輪”だった。

 ただ、翌2012年2月の申請ファイル提出、さらに2013年の1月の立候補ファイル提出までの間、都庁内でもかなりの議論がされたが、結局“復興五輪”というのは国際的なメッセージにはなりにくく、あくまで国内事情になってしまうという難しさがあった。この年の9月にブエノスアイレスで開かれたIOC総会での滝川クリステルさんの“おもてなし”を覚えておられる方は多いと思うが、あの時のプレゼンテーションに“復興五輪”の話はほとんど入っておらず、高円宮妃久子さまが被災地に深い同情を寄せていただいたことなどへの謝意を表明されただけ。


 さらにその後のインタビューで当時の安倍総理の“アンダー・コントロール”発言や竹田恒和JOC会長の“東京と250km離れているから大丈夫だ”といった発言が批判され、復興五輪というテーマ自体がおかしいのではないかといった議論が出てくるようになった。また、リオ大会のテーマは地球温暖化だったが、IOCというのは意見が二分されるような政治的なテーマを嫌がる。広島と長崎の“核廃絶”というテーマもそうだし、原子力政策やエネルギー政策にはあまり言及したくない。そういう側面もあった」。

 その上で鈴木氏は「それでも開催が1年延期になったことによって、やはり“復興五輪”が置き去りになった感じがした。開会式や閉会式の中でほとんど取り上げられなかったことは非常に残念だ。もう少し表現されても良かったのではないか」と話した。

■「福島産の食材への風評を払拭するための動きが必要なタイミングだった」


 鈴木氏の話を受け、福島県いわき市出身の社会学者、東京大学大学院情報学環の開沼博准教授は「“復興五輪”というキーワードが上滑りしている状況だったと思うし、どうすればそれが実現できるのかの議論が尽くされ、具体的な内容が出てきたかといえば、やはり足りなかったと思う。一方で、聖火リレーが福島県双葉郡楢葉町のJヴィレッジからスタートしたというのは被災地では前向きに捉えられている。もちろん役所の中にも案としてはあったのかもしれないし、中央のメディアはアリバイづくりではないのかといった冷ややかな見方もあるが、地元の高校生などが当時の安倍首相に陳情したということも含めて、地元紙や地元放送局は好意的だった」と話す。


 また、「こういう状況なので無観客開催になったのは仕方がないが、宮城では一定の対策をした上で有観客のスポーツイベントが行われている。特に福島の食材は危ないのではないかというメッセージが韓国から発せられていた中でもあるので、風評を払拭するための動きが必要なタイミングだった。その点については、普段は穏やかに話している人の中からも、“弱腰ではないか“という強い言葉が出ている印象がある。こうした風評払拭の問題について、福島県庁の中では様々な部署が準備をしていたものの、中央省庁では環境省や復興庁などで“縦割り”がある中、オリンピックとどう繋げるのかというような発想にはなっていなかったと思う」と指摘した。


 リディラバ代表の安部敏樹氏は「開会式で何かやったから変わるということよりも、日頃からしっかりとコミュニケーションしていくことも必要だと思う。その上で、今回のオリンピック期間中には、ソフトボールのアメリカ代表の監督が“福島の桃がうまい、何個も食べてしまった”というSNS投稿をしたことがポジティブな話題になっていた。逆に言えば、風評被害の払拭に繋げられるポテンシャル、タイミングがあったので、そこはすごくもったいなかった」とコメント。

 竹山も「海外はもちろん、国内に対するアピールのチャンスはあったのに、国もメディアも広告代理店も何もしようとは思わなかったのかと思う。“復興五輪だから”として、取り上げる大義名分があったじゃないか。桃の話があったが、今は旬なわけだし、やり方によってなんぼでも売れるチャンスだった」と訴えた。

 最後に開沼氏は「例えばオリンピックに向け、高齢の方を中心に英語の通訳士の資格を目指して勉強していたが、福島第一原発の状況を自分の言葉で説明できるようになりたいと、竹山さんのように原発の中に何度も入っていた。オリンピックによって日本が世界から注目される時期は過ぎてしまったかもしれないが、こうして育った方々を活かす術はこれからもあると思うし、“復興五輪は失敗だった”という声を跳ね返してもらいたいと思っている方も多いと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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