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4Kで画質がよくなることだけではテレビの需要は増えない

東洋大の山田肇先生が4Kテレビの行く先を完全否定したところから、いろいろ4KについてBLOGOS界隈が盛り上がっているようです。面白ですね。
4Kテレビは失敗する(山田肇) - BLOGOS(ブロゴス

うさみのりやさんや、切り込み隊長が書かれているように、4Kが切り開く市場の本命は家庭用テレビの買い替え需要ではなく、医療用とか、産業用とか、科学技術などで高度な画像処理を要する民生品とは異なる分野だと思います。高細密画像を求めている分野はきっともっと他にもあるでしょう。そのための誘い水としての4K放送という位置づけならあってもいいのではないでしょうか。
何でも否定すればいいってもんじゃねーんだよ ~4K技術について~(うさみのりや) -  :
東洋大山田肇せんせが4Kテレビを無関係な方向からDISって壮絶に突っ込まれる(やまもといちろう) - :

で、さらに尚美学園大学の西和彦先生がいきなり4Kテレビは絶対売れると宣言されているのですが、民生用で考えればそんなに市場は甘くありません。もちろん4Kがどんどん安くなっていくことは間違いないことですが、それがどれだけの魅力として消費者から認められるかは微妙なところです。
4Kテレビは安くなる。そして売れる - 西 和彦(アゴラ) - BLOGOS(ブロゴス) :

「4Kテレビ受信機」は、値段が安くなれば、必ず売れる。2Kの放送を視るのに最適のテレビは2Kではなく、4Kテレビ受信機である」ということだそうですが、そうでしょうか。なにかデジカメの高画素数競争の時代を思い出してしまいます。性能が飛躍的に伸びていくことが、需要を生み出すのは、消費者に画質に不安や不満がある段階です。いまやデジカメで画素数を気にするのは、よほどのプロか、ハイエンドのユーザーで、もう画素数は市場が求めるレベルを超えてしまい、競争上も決め手にはならなくなりました。
 
また西先生はずいぶんテレビ番組を見るのがお好きなようです。「ときどきYOUTUBEを視るが、ライブのテレビ放送をテレビで見る方が好きだ」と書かれています。しかし、どちらが好きかという比較をするユーザーってどれだけいるのでしょうか。テレビに釘付けにするようなコンテンツは少なく、テレビをつけて、なにかをしながら見ているというのが一般的になってきているのが現実です。

テレビ番組を見ることがテレビの主な目的だというのは、どのようなデータを見ても高齢者の場合はそうでしょうが、日本に限らず世界のトレンドとしてはその時代は終わりつつあり、今ではスマホやタブレットでなにかをしながら、テレビを見るという傾向がどんどん増えてきています。
すくなくとも、私自身はテレビでyoutubeの音楽を聴いたり、huluで映画を見たり、テレビ番組も見ますが、どちらが好きかという比較はしません。その時に見たい、あるいは聴きたいコンテンツで選んでいるだけです。

本質は、もはや機能や性能としては成熟してしまい、コモディティになってしまったテレビをどう変えることができるかです。それはひとえに、どれだけテレビをめぐる生活を変えることができるか、これまでのテレビを見る目的をどう変えるかにかかっているのでしょう。
テレビで得られる選択肢を増やすこと、そのキラーコンテンツとなるサムシングを発見できれば、また創造できればテレビも変わるのでしょうが、いまのところアップルTVも含め、スマートテレビといわれるものでもまだ実現できていません。

テレビそのものの成熟やコモディティ化から抜け出すその切り札を持っておらず、4Kを民用として持ちだしてきたあたり、また液晶がもはやハイエンドでしか勝負できないところまで追いやられてしまった業界の苦しさを感じます。

もちろん、4Kテレビがほぼ今の2Kテレビと同等に近いところまで価格が下がってくれば、市場はそちらに移っていきますが、それは2Kテレビからそちらに移るとしても、市場が伸びることも、厳しい価格競争にさらされるコモディティ化から脱出することもかなり厳しいと感じます。
 
画質が向上するだけなら、改善のための技術、業界の競争のための技術であって、消費者にとっての決定的な付加価値となるには無理を感じます。マニア向けの市場、あるいはスポーツバー向けなどの業務用の市場で広がるとしてもテレビ市場を変えるほどのインパクトはありません。

もうひとつの視点は、もし、4K、あるいは次世代の8Kを番組制作や画像ソフトを制作するデファクトスタンダードにもちこむことができれば、根っこを抑えることも可能でしょう。そのためにも、「画質がいい」というだけでなく、従来ではできなかったことを実現することが求められてきます。今のところはその気配を感じないのが残念なところです。

焦点は4Kがどのような新市場を拓くかです。とくに民生用テレビでは、もっと違うイノベーションと組み合わせでなにができるかです。それが登場してくるまではニッチな技術の域にをでないのではないでしょうか。

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