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テレビ局も五輪に救われた? “アスリート特需”が年内いっぱい続く理由

共に金メダルを手にした阿部きょうだい(撮影/JMPA)

 東京五輪が8日、閉幕した。コロナ禍で無観客の開催となったが、多くの日本人メダリストが誕生し、大きな盛り上がりを見せた。早速、メダリスト出演の特別番組が予定されているが、こうした盛り上がりはいつもの五輪後よりも長く続くのではないかと見られている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 開催が危ぶまれながらも日本人選手のメダルラッシュに沸いた東京オリンピックがついに終了。選手の奮闘を称えるとともに、「オリンピックロス」という声もあがりはじめています。

 しかし、競技は終わってもオリンピック特有のお祭りムードは、すぐに終わりません。翌日にさっそく関連番組が放送されるほか、さらにそれは「年内いっぱい続く」「これまでのオリンピック後より盛り上がる」と言われているのです。

その理由はどんなもので、具体的に業界内ではどんな声があがっているのでしょうか。

テレビ界垂涎の若きメダリストたち

 まずは閉会式翌日の9日夜、『ジャンクSPORTS 緊急生放送で東京五輪メダリスト集結!舞台裏を大告白SP』(フジテレビ系)、『くりぃむしちゅーの!レジェンド東京五輪メダリスト大集結!生放送SP』(日本テレビ系)、『NHKスペシャル TOKYO2020私たちの闘い』(NHK)という3つの特番が放送されます。

 また、特番だけでなくレギュラーバラエティへの出演オファーもすでに行われているそうですし、情報番組でも朝・昼・午後の各時間帯に選手は引っ張りだこ。今や国民的な旬の人気者だけに、競技中や舞台裏などのオリンピックを振り返る話だけでなく、経歴やプライベートなどのキャラクターをフィーチャーする企画が考えられているはずです。

 では、そのようなお祭り特需が過去のオリンピック終了後よりも長く、「年内いっぱい続く」と言われている理由は何なのでしょうか。

 第1に挙げられるのは、メダルラッシュによって多くのニュースターが誕生したこと。なかでもテレビマンたちにとって垂涎の的は若きメダリストたちです。

金メダル最年少記録を更新したスケートボード女子ストリートの西矢椛さん(13歳)と銅メダルの中山楓奈さん(16歳)、スケートボード女子パークで金メダルの四十住さくらさん(19歳)と銀メダルの開心那さん(12歳)、2つの金メダルと1つの銀メダルを獲得した体操の橋本大輝さん(20歳)、競泳バタフライで銀メダルの本多灯さん(19歳)、ボクシング女子の入江聖奈さん(20歳)、サーフィン男子で銀メダルを獲得した五十嵐カノアさん(23歳)、サーフィン女子で銅メダルの都筑有夢路さん(20歳)、スケートボード男子ストリートで初代王者になった堀米雄斗さん(22歳)らは鮮度十分の存在であるとともに、テレビ局が求める若年層の反応も期待できます。

 また、柔道で兄妹金メダリストとなった阿部一二三さん(23歳)と阿部詩さん(21歳)、レスリングで姉妹金メダリストとなった川井梨紗子(26歳)さんと川井友香子さん(23歳)も、家族ならではのエピソードが期待できる貴重な存在。さらに野球、ソフトボール、バスケットボール、卓球、体操、フェンシング、アーチェリーなど、「日本人が好む」と言われる団体戦で結果が出たこともテレビマンたちの心を動かし、芸能人との対決などを含めた企画が考えられていくでしょう。

五輪はテレビにとって救いの存在に

 その他、メダリストであるかどうかにかかわらず各競技のレジェンド、苦労人、ムードメーカー、あるいは試合後に名言連発で男を上げた柔道の大野将平さんらなど、多くのアスリートが番組を盛り上げてくれるでしょう。

 今回は日本開催だけに移動期間がなく、すぐに大半の選手が出演できるのもメリットの1つ。10代選手や学生選手も夏休み期間であるなど、「オファーのタイミングやハードルがこれまでよりも低い」という声があるのは間違いありません。また、すぐに試合や大会がはじまる選手たちもいますが、遠征先からのリモート出演も可能であり、よほど緊張感の高いものでない限り、出演に大きな支障はないでしょう。

 さらに大きいのは、過去の大会と比べて事前番組への出演が少なかったこと。コロナ禍がなければ、「オリンピックの前から情報番組やバラエティに出演してもらい、プレーや人柄を紹介することで応援モードに入っていく」という流れがあるものですが、開催反対派も多かった今回はそれができませんでした。「今回はオリンピック開始前に出てもらえなかった分だけ、終了後のオファーが増えていく」と見られているのです。

 民放各局にとって今回のオリンピックは、「今まで情報番組でさんざん開催危機をあおってきたくせに、手のひら返しで放送するな」「ダブルスタンダードだ」などと批判されていましたが、いざはじまってみたら救いのような存在になりました。

 その理由は、高視聴率が獲得でき、テレビの視聴習慣やイメージアップなどの特需も得られた上に、コロナ禍の重苦しいムードを吹き飛ばす番組として視聴者とともに盛り上がれたからです。テレビマンの本音は、「せっかくいいムードが生まれたのだから、オリンピック関連の企画でこれを継続させたい」。もしコロナ禍が落ち着けば、無観客になってしまった競技場を生かした企画なども含めて、テレビマンたちはさまざまなプランを考えているでしょう。

五輪アスリートとしての使命感

 一方、選手サイドから見るとテレビ番組への出演は、頑張ってきたごほうびのような場であり、それ以上に自らの愛する競技をアピールするチャンス。子どもから大人まで競技人口を増やせるほか、スポンサーがつくことを期待している選手もいます。

 特にメジャーではない競技の選手にとっては、本人だけでなく関係者たちからの期待も背負っているもの。現役選手はもちろん、全国各地の指導者、協会、スポーツメーカーなどの期待に対して、「出演することで恩返ししよう」という気持ちもあるのでしょう。テレビ番組だけでなくイベントやCMも含めて、今年の残り約5か月間はオリンピックアスリートたちの姿を何度も見ることになりそうです。

 閉会式の翌朝には2年ぶりとなる夏の甲子園大会がスタートすることもあり、まだまだライブ感あふれるスポーツ中継を楽しめる季節は続いていくでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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