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  • ロイター
  • 2021年08月08日 08:55 (配信日時 08月10日 07:09)

アングル:母親の復職阻むデルタ株、新学期の授業再開不透明に


[ワシントン 2日 ロイター] - 新型コロナウイルスの流行で昨年接客業を解雇されたサラ・ガードさん(40)は今年4月、約1年ぶりに金融サービス業の仕事を見つけ出し、フルタイムで働きながら、なんとか6歳の娘に自宅でオンライン学習をさせていた。

ジョージア州アトランタの少し北にある娘の学校から、8月に始まる新学期では対面授業も選択できるとの連絡があった際は、正しい判断だと思ってその申し出を受け入れた。

しかしそれも感染力の強いデルタ株で感染者数が急増するまでのことだった。娘の学区はマスク着用を強く推奨しているが、義務ではなく、娘はワクチンが接種できる年齢に達していない。娘への感染の不安をぬぐえないまま、ガードさんは思い悩み、夜も眠れない日々が続いている。

対面授業を受けず今からオンライン学習に切り替えることは可能だが、そうなれば何かを犠牲にせざるを得ない。

夫は病院に勤務し、ガードさんは勤め先から職場で働く日数を増やすよう求められている。「私か夫のどちらかは仕事を続けられない。ストレスで死にそう」とガードさんは訴える。

米景気回復ペースが速まるためには、秋に対面授業が再開され、労働者の職場復帰が増えなければならない。しかしデルタ株流行で、保護者、特に女性が復職しなかったり、フルタイムで働けなかったりすれば、期待は裏切られるだろう。

パウエル連邦準備理事会(FRB)議長も28日、「学校が開始されないと保護者は在宅せざるを得ず、人々が労働市場に戻らなければ雇用の力強い伸びは見込めない」と述べ、オンライン授業の長期化に警戒感を示した。

<コロナ禍再燃か>

労働省が企業や家計を対象に実施した調査によると、米国では求人数が過去最高だが、雇用数はコロナ流行前に比べてまだ約700万人も少ない。

雇用回復はコロナ流行初期に失業の割合が高かった女性で特に顕著だった。夏までに多くの女性が労働市場に復帰したが、昨年8、9月にほとんどの学校がオンライン授業のみの再開となり、子供たちが家にとどまったため、20歳以上の女性100万人以上が離職した。

今年の再就職者数は女性が男性を上回っている。高学年での対面授業の増加、女性が多い業界の経営再開が背景にある。

しかし学校再開の見通しがまた不透明になり、女性の復職は勢いを失う恐れがある。

学区が対面授業を再開する際の感染対策にはばらつきがある。学校再開状況の調査サイト、バービオがまとめたデータに基づくと、学校で生徒のすべて、もしくはほぼすべてにマスク着用を義務付けているのはカリフォルニア州など8つの州で、ボストンやシカゴなど多くの大都市でも同じ措置を取っている。一方、テキサス州など8つの州は学齢期の子供の25%について、マスク着用の義務化を認めてない。

疾病対策センター(CDC)のデータでは、16-17歳のおよそ40%、12-15歳の28%がワクチンを接種済みだが、5-11歳が接種対象となるのは早くとも秋の終わりで、5歳未満の接種はそれ以降になる見通しだ。

コロラド大学アンシュッツ・メディカル・キャンパスの小児感染症専門家、ショーン・オリアリー博士は「新学期に向けて、より感染力の強い株が生まれ、まだワクチン接種の対象とならない人々がいるのは非常に心配だ」と述べた。

学校側は対面授業再開に向けて感染対策を強化している。例えば、サンバーナーディーノ市統一学区は4万7000人の生徒が今週、対面授業を再開する。カリフォルニア州はマスク着用を義務付けており、同学区は新しい空気清浄装置を導入している。

学区の授業再開計画では、新型コロナウイルスに感染した生徒が1人でも出れば、その生徒は自宅隔離となり、同じ教室で感染者が3人発生すれば、クラス全員が10日間自宅待機となる。全生徒の5%が感染した場合は学校が閉鎖される。

学区のレイチェル・モナレス副教育長は「データに目を配り、より強力な対策が必要なら教育長に提言する」と述べた。

<迫る期限>

元FRBエコノミストでジェーン・ファミリー・インスティテュートの上級研究員、クラウディア・サーム氏に取材したところでは、急に数カ月先の見通しが立たなくなり、就職プランを見直している女性がいるという。

「いつも国の決定を待てるわけではない。子供が12歳以下だから『我慢してパートタイムにするつもりだ』と言う友人がどんどん増えている。時計の針は動き続けている。新学期も、就職活動シーズンも迫っている」と話す。

ガブリエラ・ビラゴメス・モラレスさん(37)は、ワシントン州タコマ市で18歳、17歳、10歳、8歳の4人の子供を育てるシングルマザー。コロナ禍の影響で勤務先の育児施設が閉鎖されて仕事を失い、子供たちのオンライン学習を支えながら、苦労して仕事を探してきた。最近、企業内託児施設の仕事を見つけたが、学校の授業が再開するかがはっきりせず、不安を感じている。

「もし何かあったらどうすればいいんだろう。本当に悩ましい」とため息をついた。

(Lindsay Dunsmuir記者、Ann Saphir記者)

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