- 2021年08月07日 17:23 (配信日時 08月07日 15:15)
「セクハラは突然やってくる」河村たかし市長の"金メダルかじり"のもつ本質的な問題点
1/2「せっかくだから、かけてちょうだい」
名古屋市の河村たかし市長が8月4日、表敬訪問に来たソフトボールの後藤希友(みう)選手の金メダルをかんだ。知った瞬間、気持ち悪さがこみあげてきた。コロナ禍だから、ではない。他人の、それもはっきり書いてしまうが、油ぎったおっさんが、自分のものをかむ。そう想像して、ゾワゾワしたのだ。
20歳だという後藤さんが気の毒でならなかった。そして、どうして後藤さんは市長に金メダルをかけたのだろうと思った。どの記事も、「後藤選手がかけたメダルを市長がかんだ」と報じていたからだ。自発的なはずがない。同席した市役所の職員が促したのではないかと疑った。その人も今頃、罪の意識に苛まれているのではないか。そこまで想像していた。
名古屋市役所本庁舎。二層の屋根を配した塔の頂上には、しゃちを載せ、名古屋城との調和を図ったという。 - 写真=iStock.com/peetervだが、違った。河村市長が、自分からかけさせたのだ。当日の映像をあれこれ検索し、見つけた東海テレビの映像でわかった。「せっかくだから、かけてちょうだい」と市長が後藤さんに言っていた。だから後藤選手はメダルをかけた。そして市長はかみ、そのまま返していた。唖然としつつ思ったのは、「セクハラは、突然やってくる」ということだった。
最初のコメントは「愛情表現だった。金メダルは憧れだった」
たぶん河村市長は「よーし、これから、セクハラするぞー」と思っていたわけではないだろう。4日夜にコメントを発表したが、「最大の愛情表現だった。金メダルは憧れだった。迷惑をかけているのであれば、ごめんなさい」という内容だった。ちなみに、これが全文だ。
この能天気さがすごすぎて、そういう人が日本で3番目に人口の多い市のトップをしている事実にうちのめされる。これだから日本のジェンダーギャップ指数は120位だし、来年もせいぜい119位にしかならないだろうと悲しくなる。で、この認識は私だけのものではないから市役所には抗議が殺到、アスリートたちからも批判が起こった。
そのあたりは後述するので、東海テレビの映像に戻る。メダルをかじる前後に何が起きていたか、細かく描写していく。まずは、かむまで。
「せっかくだから、かけてちょうだい」と要求された後藤さんは、「あ、そうですね」と反応、市長に近づき、首にかけた。すると市長は、「あ、重てーにゃー、本当にこれ」とメダルを見ながら言い、取材陣の方を見て「重てゃーですよ」と言い、次に「なー」と言ってマスクを外し、「こうやって」とメダルを口に近づけ、そしてかんだ。報道陣に体を向けたままの、まさに一瞬の動作だった。
「かまれるのが嫌だったら、首にかけなければいい」は無理
次が、かんでから。見ていた後藤さんは、「アハハ」と反応した。すると市長は後藤さんを見て、小声で「なあ」と言った。後藤さんは、「はい」と答えた。市長は「オッケー、オッケー」と短く反応した。これだけでは伝わらないかもしれないが、ここはすごく問題のパートだ。気持ち悪いパートと言ってもいい。
そのあと、市長は取材陣の方に向き直り、「あー、ほんとに重てゃーです」と言い、メダルを外し後藤さんに返した。マスクを外したまま、「おめでとうございます」と言い、後藤さんは「ありがとうございます」と返した。市長と報道陣にお辞儀を繰り返す後藤さんが映って、映像は終わる。
ソフトボール女子五輪代表の後藤希友投手(右)の表敬訪問を受け、首に掛けてもらった金メダルにかみつく名古屋市の河村たかし市長=8月4日午前、同市役所 - 写真=時事通信フォトセクハラ事件が明るみになると、「(被害女性は)拒絶しようと思えば、できたはずだ」という人が必ず出てくる。そういう人には、ぜひこの映像を見ていただきたい。今回なら「かまれるのが嫌だったら、首にかけなければいい」ということになるだろうが、それがいかに無理かがよくわかる。だって「表敬訪問」だし、メディアも並んでいる。「嫌です」と言うのはかなり難しい。
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