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日本では「GAFAもアリババも生まれない」本当の理由

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日本の学校教育は行き詰っています。教育学者の汐見稔幸さんは、日本では若者が夢を見つけられず、新しい仕事や産業をつくり出す力を持った人材を育てられていないと指摘します。なぜ、このような状況に陥ってしまったのでしょうか――。

※本稿は、汐見稔幸『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』(河出新書)の一部を再編集したものです。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/400tmax

建前は「国家のため」、本音は……

学びや教育の目的は、自分が生きている世界や社会の課題を知り、その先に夢や希望を見出すことでもあります。

最も大事な子どもの「学び」は、自分が生きている世界や社会、つまり日常の中にあります。その子どもが体験する日常生活のありとあらゆることが学びの対象です。

しかし、日本の近代の学校教育では、あまりこのことを重視してきませんでした。

その一番の原因は、近代化する世界から日本が大きく遅れていることに気づき、慌てて近代化を目指したことにあるでしょう。

「何のために学ぶのか」「学びとは何か」を問う余裕もなく、「学ぶ」目的は、建前は「国家のため」、本音は「立身出世のため」になってしまったのです。その経緯について少し押さえておきましょう。

銀行の力に驚いた渋沢栄一

江戸時代の終わり、渋沢栄一(1840-1931)が1867年のパリ万国博覧会に幕府使節団として派遣されました。彼は、まだ工事中だったスエズ運河を見て、その壮大な事業が国によるものではなく、民間の資金を募って行われていたことにとても驚きます。

それを成り立たせていたのが銀行のシステムでした。銀行がお金を集めて会社の資金としてそれを貸し出し、さらにその利益を銀行が集め、大きな事業が可能になることを渋沢は知りました。そして、それを「合本主義」と名付けて日本に導入しました。その結果、八幡製鉄所や富岡製糸場などの国営だけでなく、渋沢栄一や福沢諭吉(1835-1901)らが、民間の会社をつくるなど、産業を起こすことが促進しました。

日本は後発国でしたから、鹿鳴館に代表されるような「欧化政策」を必死に進めました。明治政府による神仏分離令が廃仏毀釈へと発展してしまったのもこの頃です。江戸時代の日本を否定し、日本の文化を価値のないものとして壊し、西欧のものを取り入れることが当時の日本が目指す近代化でした。

「工場で働くのは尊い」と教えたイギリス

ヨーロッパに視点を移し、少し時代を戻しましょう。19世紀前半のヨーロッパでは、貴族制度がまだ残っていました。古い貴族が全ての土地を所有し、労働者階級に労働を課していました。人権意識がない時代です。労働者階級は選挙権も与えられず、多くは読み書きもできませんでした。

1838年頃から、イギリスでは普通選挙権を求めてチャーティスト運動が起こります。この運動の中で、労働者たちは、彼らの子どもに学校教育を受けさせよという要求をつきつけます。その運動は大きなうねりとなるのですが、当時の資本家たちは、労働者に教育を与えると、自分たちが厳しく搾取されていることに気づいてしまうという理由で拒否していました。しかし、やがて産業革命が進むうちに労働の形態が変化し、労働者たちも読み書きができないと仕事に支障が出るようになっていきました。

労働者にも読み書き能力が必要であるという認識が広まり、「イングランド1870年小学校教育法」が導入され、5歳から11歳までの6年間の義務教育が始まります。読み書きを教えるかわりに、「イギリスの社会では工場で働くのは尊いことだ」という道徳を教育しました。

それ以前からイギリスの貴族の子どもたちは、「パブリックスクール」に通い、オクスフォードやケンブリッジ大学に進学できたのですが、労働者階級の子どもたちが中学校に通えるようになったのは、1944年のバトラー法以降です。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NSA Digital Archive

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