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  • ロイター
  • 2021年08月05日 19:10 (配信日時 08月05日 19:08)

焦点:デルタ株拡大で試練の中国、防疫と経済損失の重い負荷


[北京 2日 ロイター] - 感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ株が、中国経済に新たなリスクをもたらしている。中国当局はこれまで何とか広範囲の感染拡大を食い止めてきた。だが、沿岸部から内陸の各都市に感染が広がり、改めて防疫を進めながら、経済に過度の負担をかけないようにするという難しい対応を迫られているからだ。

広東省深セン市の塩田国際コンテナターミナルで労働者の感染が判明し、港湾物流を混乱に陥れてから1カ月足らず後に、江蘇省の省都・南京市でデルタ株の感染者が見つかった。これはロシアから到着した航空便が感染源だと突き止められた。

南京で最初のデルタ株感染者が確認されたのは7月20日。それ以来、南部の多くの都市だけでなく、北京市を含めた幾つかの北部の都市でも感染が報告され、国内ルートを通じたデルタ株感染者の総数は、8月1日時点で353人となった。

まだ、感染追跡結果を公表していない地方当局があるため、これらの全てが南京に由来するかどうか明確にはなっていない。ただ、感染者の約80%が、昨年の経済産出量が広東省に次いで中国第2位だった江蘇省に集中している。

デルタ株の出現により、厳しい防疫措置が復活しつつある。多くの都市は、不要不急の旅行中止を呼び掛け、旅行者には陰性証明を義務化したほか、大規模な検査の実施に乗り出した。

一方、中国経済は盤石な状態と言いがたい。実際、4─6月の成長率は原材料価格の高止まりや消費者の慎重な姿勢、不動産市場の熱気が冷めたことなどを受け、予想を下回った。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「デルタ株は昨年の感染第1波以来、中国が掲げてきたコロナの完全な封じ込め戦略にとって最大の試練となっている。だが、これまでの実績を踏まえれば、(今回も)彼らは制御不能となる前に感染拡大を抑え込むというのが、われわれの想定だ。もちろん、そうした対応にはある程度の経済的なコストが生じる」と指摘した。

南京に近い揚州市は7月28日以降、感染者の増加と苦闘を続けている。従業員が検査を受けるための列に加わり、中には週3回も検査を強いられていることから、多くの工場や物流企業は休業中だ。

ある玩具工場のマネジャーは「配送会社が業務を停止すると知らせてきたので、われわれは商品を届けられない。過去数日で、多くの場所が徐々にロックダウンされてきた。当社も本日、正式に操業停止を命じられ、全ての従業員は出勤しなかった」と明かした。 

<観光業に痛手も>

小都市の観光産業は通常なら学校の夏休み期間に当たる8月がかき入れ時だが、今年はデルタ株によって痛手を受けかねない。

2009年の大ヒット映画「アバター」に登場する「ハレルヤ・マウンテン」の原型となった森林公園がある張家界市では集団感染が発生し、7月22日に同地の観光施設で行われた劇場公演の観客に南京関連の感染者がいたことが分かった。

国営メディアの報道によると、中国のコロナ対策策定に携わった専門家ゾン・ナンシャン氏は前週末の会議で、南京のような大都市には「素晴らしい」ウイルス抑制の仕組みと追跡能力があるので、それほど心配していないとの考えを示した。

しかし、公演の観客2000人の検査や接触追跡が突然必要になった張家界などの中小都市の場合、その能力は疑わしいという。

張家界はロックダウンに準じた措置を講じ、観光施設と屋内の娯楽施設を閉鎖するとともに、住民に不要な旅行を避けるよう命じている。

「われわれのホテルの全従業員は、核酸検査(PCR検査)を2日ごとに受けなければならない」と話すのは張家界ファティアンホテル(華天大酒店)でフロント業務に就くリーさんだ。

また、張家界の旅行代理店に勤めるインさんは、職場の全員が「休暇」のため自宅にとどまっており、勤務再開がいつになるか知らせがくるのを待っていると説明した。

(Ryan Woo記者、Roxanne Liu記者)

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