- 2021年08月04日 12:27
拡大するインド市場 成長を後押しする主要産業の世界への影響力とは
1/2自動車普及率が急伸するインド 主要産業の成長が世界経済に与える影響とは
2020年は世界的なコロナ禍の影響で、サービスや財の需要が著しく減少し、サービス業だけでなく製造業にとっても大変厳しい一年となりました。
インドの2020年4~6月期は、実質GDP成長率が前年同期比で23.9%減となりました。6月以降はロックダウンの段階的解除が進んだこともあって、経済活動は徐々に戻りつつあるようです。それを後押しするように、インド準備銀行(インドの中央銀行)は政策金利の引き下げを実施しています。
しかし、インドは他のアジア主要国と比較しても不良債権比率が9.2%と非常に高く、利下げを講じても、金融機関の体力が乏しいこともあって積極的に資金供給ができず、市中における経済活動がなかなか活発化しないジレンマを抱えています。
12年間で4倍 自動車普及率の急伸にみるインド市場の成長
さて、2020年の世界の自動車の生産台数をみると、上位6か国すべてにおいて生産台数が減少しています。さらに上位10か国まで広げてみても、すべての国で生産台数が減少しました。

インドは2018年の自動車生産台数において、ドイツを抜いて世界4位となりました。その後はまたドイツに抜かれ、2020年は減少幅が大きかったこともあって韓国に次ぐ生産台数となりましたが、最近20年の自動車生産台数の伸びは目を見張るものがありました。

インドでは2002年に外国企業の出資に関する最低投資金額規制の撤廃や100%外資の参入解禁などの大幅な規制緩和を進め、特に海外自動車企業の参入が増えました。
2020年のインド国内における新車の販売台数は、マルチ・スズキ(日本)、タタ・モーターズ(インド)、マヒンドラ&マヒンドラ(インド)、現代(韓国)、トヨタ(日本)、ホンダ(日本)となっており、上位6社中4社が海外自動車企業によるものです。
一般的に自動車普及の目安は、国民一人あたり名目GDPが2500~3000ドルだといわれています。明確な因果関係があるわけではありませんが、相関関係が見てとれるようです。
実際にインドの自動車普及率(人口千人あたり、国際自動車工業連合会)をみると、2005年には9.0台だったのに対し、2017年には34.8台、この間におよそ4倍へと急増しました。インドの一人あたり名目GDPと比較しても相関関係が見てとれます。


インドの中間層は4億5000万人 アメリカより巨大な市場規模
インドの所得層別人口の推移をみると、中間層(世帯可処分所得5000ドル以上35000ドル未満)の割合は、2000年に4.1%だったのが、2020年には32.8%にまで上昇しており、国民のおよそ3分の1が中間層に含まれます。
同様に2000年と2020年を比較すると、高所得層(世帯可処分所得35000ドル以上)が0.3%から0.7%へと微増なのに対し、低所得層(世帯可処分所得5000ドル未満)が95.6%から66.4%へと激減しています。
つまり、インドの経済成長は「すごくお金持ち!」が増えているわけではなく、低所得者が減って、その分が中間層へと移行していることが分かります。
2019年(世界銀行)のインドの人口は約13億6640万人となっており、中間層の人口数は予測で4億5000万人くらいがいると考えられます。この人口はアメリカ合衆国よりも大きい規模です。この市場規模を取り込みたい海外企業が目を光らせているのも理解できます。
こうした背景から、インドの自動車生産体制は国内販売に軸足を置いたものとなっています。今後も、インド市場を取り込もうとする海外自動車企業が増えていくものと予想されます。

これまでの生産拠点だった中国における人件費の高騰や規制強化を背景に、海外自動車企業が「まだ人件費が安くて、規制が弱い、そんなインドで生産しよう!」と考えるのは自然な流れでしょう。
しかし、突然の法改正や昨今の政治情勢の変化に対するリスクヘッジも同時に考える必要がありますので、東南アジアも含めた複数の生産拠点を持つことも多いようです。しかし、2019年のインドの乗用車の国内販売台数は277万3575台であり、前年比17.9%減となりました。
販売不振の背景には、不良債権比率の高さから銀行ローンの融資が厳格化していること、ノンバンクセクターの貸し出し余力の低下、原燃料価格の上昇、自動車保険料の値上げなどの様々な要因が影響していると考えられます。2020年はさらに国内販売台数が減少したと予想されます。



