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「金・銀・銅は全部ナイキ」厚底&高速スパイクで異様な表彰台占拠の予感

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東京オリンピックで花形競技の「陸上」が始まった。スポーツライターの酒井政人さんは「五輪は、シューズブランドの覇権争いの場。陸上では、マラソンを含む中長距離、短距離の有力選手に支持されているのがナイキです。トラック種目では厚底シューズの先端技術を活かした高速スパイクを履いた選手で表彰台が占められるかもしれない」という――。

エア ズーム アルファフライ ネクスト - 写真提供=ナイキ

五輪花形競技「陸上」で白熱するシューズブランドのメダル争い

オリンピックは選手が金銀銅のメダルを巡ってしのぎを削る場であると同時に、シューズブランドの覇権争いの場でもある。今回の東京五輪の場合、とりわけ陸上においては、ナイキが圧倒的に有利な立場にある。その鍵は、やはり「厚底」にある。

2017年夏に一般発売されたナイキ厚底シューズ(当時のモデルは〈ズーム ヴェイパーフライ 4%〉)は年々進化を重ねて、世界のマラソンシーンを塗り替えてきた。

この4年間でマラソンの世界記録が男女ともに続々樹立された。国内では男子の日本記録が4度も更新された。設楽悠太(2時間6分11秒)、大迫傑(2時間5分50秒、2時間5分29秒)、鈴木健吾(2時間。4分56秒)。彼らはいずれもナイキ厚底シューズだった。

正月の箱根駅伝でもナイキ厚底の使用者は2018年から急増し、2021年は出場者210人中201人が着用。占有率は95.7%にまで到達した。

他ブランドもカーボンプレートを搭載した厚底モデルを投入しているが、トップ選手はナイキ厚底の“魔法”を信じているようだ。厚底人気はもはや一過性のブームではなく、シューズの常識を変えたことは明らかだろう。

「ナイキの独壇場」選手は“厚底の魔法”を信じている

では、東京五輪におけるシューズ戦争はどうなるか。後述するように、他ブランドも健闘しているが、「ナイキ勢の独壇場」という表現は大げさではない。

特にマラソン男子だ。世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲ(ケニア)ら優勝候補が軒並みナイキの契約選手だ。日本代表の中村匠吾(富士通)、服部勇馬(トヨタ自動車)、大迫傑(Nike)もナイキを着用している。

振り返ると、ナイキ厚底シューズは5年前(2016年)のリオ五輪のマラソンがデビュー戦だった。市販される前のプロトタイプ(試作品)を履いたキプチョゲが金メダルを獲得するなど“小さな衝撃”を放つと、その後の大活躍につながっていく。

ナイキ厚底シューズの最新モデルである〈エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉は、米国のTIME誌が選ぶ「THE 100 BEST INVENTIONS OF 2020」(2020年のベスト発明トップ100)にも選出された。

東京五輪では新たなモデルが登場するかと思われたが、サプライズはないようだ。ナイキ フットウエア イノベーション VPのブレッド・ホルツ氏は今大会前にメディアの取材にこう答えた。

「マラソンに出場するナイキの選手たちは、〈ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%2〉か、前足部にエアが搭載されている〈エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉のどちらかのプロダクトを使う予定です。人によって好みがわかれますし、日によっても調子が違う。コンディション、気象条件、コース、路面の状況などから判断して、選ぶことになると思います」

ナイキ「独り勝ち状態」にいたるまでの障壁

現状、ナイキの独り勝ち状態だが、そこにいたるまでにはいくつかの障壁もあった。

2020年1月にはナイキのシューズがターゲットにされたような“厚底騒動”が勃発した。あまりにもナイキユーザーが新記録を連発し、好成績を収めたことへのやっかみもあったのかもしれない。

騒動の結果、世界陸連は使用できるシューズに制限を課すことになる。その際、公式戦で使用できるシューズの靴底は「40mm以下」となり、この2021年7月下旬に発表された新規則では、800m以上の中長距離トラック種目に関しては靴底が「25mm以下」に改定された。

最新モデルである〈アルファフライ〉は使用OKだが、これ以上はソールを厚くすることができない。今後は制限下のなかでイノベーションを模索していくことになり、シューズ作りのコンセプトを考え直さざるをえなくなった。

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