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米6月個人消費は予想超えの伸び、代償は貯蓄率の低下

Personal Spending  Surprises With 1% Gain, While Saving Rate Falls To A Pandemic Low.

米6月個人消費支出は前月比1.0%増と、市場予想の0.7%増を上回った。前月の0.1%減(横ばいから下方修正)を上回り、年初来で4回目の増加となる。個人所得は同0.1%増と、市場予想の0.3%減に反しプラスとなった。前月の2.2%減(2.0%減から下方修正)から増加に転じ、年初来で3回目の増加となる。貯蓄率は9.4%と、コロナ禍以降で最低を更新した。詳細は以下の通り。

〇個人消費支出

→3月に成立した追加経済対策に盛り込まれた現金給付支払いの反動で減少した5月から、増加に転じた。ただし、米6月新車販売台数がさえなかったように耐久財が弱かった一方で、ガソリン価格の高騰などを背景に非耐久財、経済活動再開を手掛かりサービスがけん引した。

・前月比1.0%増、市場予想の0.7%増を上回る、前月は0.1%減
・前年比13.6%増と4ヵ月連続で増加、5月は19.6%増
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比0.5%増と年初来で4回目の増加、5月は0.6%減
・前年比では9.2%増と4ヵ月連続で増加、5月は15.0%増

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 0.5%増と年初来で4回目の増加、前月は2.1%減
・耐久財 1.5%減と2ヵ月連続で減少、前月は4.2%減
・非耐久財 1.8%増と年初来で2回目の増加、前月は0.8%減
・サービス 1.2%増と4ヵ月連続で増加、前月は1.0%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

(作成;My Big Apple NY)

〇個人所得

→追加経済対策に盛り込まれた現金給付が剥落して4~5月に減少した後、小幅ながら増加に転じた。経済活動の再開や人手不足による賃上げなどを手掛かりに賃金・給与が所得を押し上げ、同項目は4ヵ月連続で増加していた。

・前月比0.1%増と3ヵ月ぶりに増加、市場予想の0.3%減に反しプラス、5月は2.2%減
・前年比では2.3%増と2ヵ月連続で増加、5月は1.3%増
・実質ベースでは前月比1.6%減と3ヵ月連続で減少、5月は2.6%減
・前年比は0.4%減と3ヵ月連続で減少、5月は2.7%減

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.8%増と4ヵ月連続で増加、前月は0.6%増(民間は0.7%増、政府部門は0.9%増)
・経営者収入 1.1%増と6ヵ月連続で増加、前月は1.4%増(農業は11.8%増、非農業は0.4%増)

・家賃収入 0.3%減と3ヵ月連続で減少、前月は0.4%減
・資産収入 0.5%増と4ヵ月連続で増加、前月は0.4%増(配当が0.9%増と3ヵ月連続で増加、金利収入は0.2%増と10ヵ月連続で増加)

・社会補助 2.0%減と3ヵ月連続で減少、前月は11.9%減
・社会福祉 2.7%減と3ヵ月連続で減少、前月は12.1%減(メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と2ヵ月連続で増加、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.4%増と7ヵ月連続で増加、失業保険は1.0%増とヵ月連続で増加、退役軍人向けは1.0%増と増加基調を維持、その他は現金給付が一巡するなか8.4%減)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得

・前月比横ばい、前月は2.7%減
・前年比は0.8%増と年初来で4回目の増加、5月は0.4%減
・実質ベースの可処分所得は前月比0.5%減と3ヵ月連続で減少、5月は3.2%減
・前年比は3.0%減と3ヵ月連続で減少、5月は4.2%減

〇貯蓄率

・9.4%、コロナ直前にあたる2020年2月の8.3%に接近

チャート:個人消費が前月比で個人所得を大きく上回ったため、貯蓄率はほぼコロナ前の水準に戻す

(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター

→油価の回復やサプライチェーン途絶による影響を受け高止まりも、前月比と前年比ともに一段の加速を示さず、インフレ圧力はFed高官が指摘するように、一過性か引き続き注視される。

・PCEデフレーターは前月比0.5%の上昇、市場予想の0.6%を下回る、5月は0.5%の上昇(0.4%から上方修正)
・前年比は4.0%上昇、2008年8月以来の高水準を維持、市場予想と5月と一致
・コアPCEデフレーターは前月比0.4%上昇、市場予想の0.6%を下回る、5月は0.5%の上昇
・コアPCEの前年比は3.5%上昇と1991年12月以来の高水準、市場予想は3.7%を下回る、5月は3.4%の上昇

チャート:PCEはコアとそろって平均時給の伸びを上回り、実質賃金に下方圧力

(作成:My Big Apple NY)

――貯蓄率が2020年2月以来の水準まで低下し、米国人の消費に向ける弾薬はもはや十分とは言えません。米6月小売売上高が示すように現金給付の押し上げを受けて、主要品目は20年2月の水準を全て超えてしまっており、ペントアップ需要が一巡した感もあります。さらにデルタ株感染拡大は、グーグルなどが在宅勤務を延長したように、経済正常化でにぎわう米経済の冷や水となりかねず

7月からは追加経済対策で盛り込まれた児童税額控除の還付支払い(最大で子供1人当たり月300ドル)が開始し、消費を押し上げるか注目される半面、給付ほどの押し上げは望みづらい。J.P.モルガン・チェースのダニエル・シルバー米国担当エコノミストも「消費に弱い兆しがみられ、Q3の個人消費は当社見通しの前期比年率4.5%増の達成は難しい」とコメントしており、下半期の米景気回復ペースは当初予想より鈍化しそうな雲行きです。

(カバー写真:Elvert Barnes/Flickr)

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