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  • Arisan
  • 2013年01月30日 08:17

大阪市による朝鮮学園提訴

以前からこういう動きがあると聞いてはいたが、橋下市政がとうとうこういう行動に出た。


大阪市が朝鮮学園を提訴 学校敷地の明け渡し求める

http://www.asahi.com/national/update/0129/OSK201301290079.html?tr=pc


(関連記事 なめ憲!憲法を守る意思表示の会)

http://nameken9.exblog.jp/17219472/



朝鮮学校は、どこでも同じだと思うが、この学校も財政は非常に厳しい。

校舎の改修もままならないし、日本の学校と比べると、設備も十分でないままである。運動場に芝を貼ったのも、保護者達の手弁当でどうにか行った作業だ。ここに限らず、全国の朝鮮学校は、概ね在日の人たち自身の、つつましい生活のなかからの出資と、献身的な努力によって成り立ってきたというのが実情なのだ。

もちろん、本国からの援助も継続的に行われてきただろうし、今は橋下その他の政治家・行政の手で打ち切られつつあるが、日本の自治体からの補助金(政府の無策を自治体が補う、補償的な意味のものである)もこれまではあったのだが、それらがあっても、苦しい財政状況を変える程のものではなく、保護者や先生たち自身の負担は、私たちの想像を越えるほど大きいのである。

植民地支配の時代から苦渋をなめ続け、今も再び荒れ狂っている差別・攻撃の波のなかで生きざるを得ない人たちの民族教育が、なぜこうした厳しい財政状況の下に置かれているのか。

この状況そのものが、この日本という国の、国家の言いなりにならない人たちに対する扱いの非人道性を、如実に示している。

この国は、国家が推し進めようとする道からはずれるような人間達を、平然と切り捨て、あまつさえそれに攻撃と侮蔑を加えて抹殺さえしようとするような政府に支配されているということが、今やこれまで以上に多くの人たちに明らかになりつつあるが、朝鮮学校の関係者を含め、在日朝鮮人の人たちは、その非道な実態を、はるか昔から切実に実感し、それと闘ってきたのである。


大阪市はこれまで、市の土地を無償で学校側に使用させてきたわけだが、これは特別な便宜を図ったというものではなく、日本という国によって教育の場を奪われ、苦境に置かれた人たちに、民族教育を保障する為になされるべき当然な措置だったのだ。

このような最低限の措置がなければ、この人たちの民族教育が行われえなかったことは、今の財政状況から見れば明らかであろう。


自治体の行政というものは、私たち市民から税を徴収し、そこで人々が人間的な生活を営めるようなサービスを行うことが本来の仕事だ。

日本ではずっと、在日朝鮮人たちは、彼らが「民族教育」ということにこだわるが故に、ということは、植民地主義の継続を目論む国家の論理に従属しようとしなかったが故に、差別的な扱いを受け、常に教育の場を奪われようとしてきたのである。

その人たちに、行政が民族教育のための土地を提供し、保障することさえしないのであれば、それはまったく国家が行っている抹殺行為に加担することになる。

大阪市のこれまでの方針は、そのぎりぎりの線を守り、私たちの隣人でもある在日の人たちに、彼ら(彼女ら)が彼ら自身として、権力によって否定されることなく生きていくことを、最低限保障する意味を持つものだったと言える。

それは、本来なら国や自治体がもっと本格的に(今までのような補助的な措置ではなく)行うべき事柄であり、私たち自身が政治家や行政をして行わせなくてはならない事だったのだ。


今回の大阪市による提訴は、その最低限の保障の姿勢さえ、正当化の厚顔な理屈をつけてかなぐり捨て、極右化する国家やマジョリティ社会と一体となって、在日の人たちが自分として生きる権利を剥奪し、そのための場を潰してしまおうとするものである。

はじめから、制度による排除と差別のために、日本の公立学校とは比べ物にならないような苦しい環境に置かれている上に、増して行く排外主義と弱者切捨ての荒波の中で、「無償化」からの排除や補助金の打ち切りという何重もの迫害を受け、さらに課されるのが、学校存続のためには買取(大変な高額だろう)か、もしくは月124万という到底払えないであろう「使用料」を払えという要求なのだ。

人権や公正(差別の撤廃)ということを金に換算し、人が自分として生きる自由や誇り、最終的には命さえも奪い去ってしまおうとする、醜悪な意志が、露骨な顔で現れている。

朝鮮学校の圧殺を許さないことは、私たちが人間として生きていく社会を守りぬくために、絶対に欠かせない要請であると思う。


「私たちは、この人たちと共に生きる」という叫びを、不当な権力と社会の趨勢に対して、いま上げなければならないのである。

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