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サステナビリティ関連単語のトレンドを分析してみた(2021)

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検索数でトレンドを確認する

当ブログや私のTwitterをフォローいただいている方はご存知かと思いますが、ずいぶん前からサステナビリティの主要キーワードの定点観測をしています。

ブログでは2020年2月に「CSR/ESG/SDGs/サステナビリティのトレンド具合を調べてみた」という記事にしました。また、東洋経済新報社の出版物への寄稿もしています。それらから1年以上たつので、また定点観測を記事にまとめます。

結論、日本人は「SDGs」大好きです。関心度は世界トップレベルでした。今回もSDGsを起点に色々な視点からまとめてみます。

サステナビリティトレンド・ワード

以下、Googleトレンドでの検索数についての5年分の結果です(2021/7/23)


日本の検索割合はSDGsが圧倒的です(黄色の線)。伸び率も件数も圧倒的です。ピークから落ちているとはいえ、それでも圧倒的なところが、圧倒的な由縁です。


SDGsが圧倒的すぎて他の単語の割合がわかりにくいので、一旦SDGsを省いたのがこちらです。ESGが2020年に入り一気に伸びているのがわかります


全世界でのトレンドを見てみると、SDGsが健闘しているように見えますが、データでは日本が引っ張っているだけで、他の国では全然トレンドになっていません。日本が世界で最もSDGsトレンドになっている国であり、次点のインドネシアの2倍以上の検索割合となっています。第3位の台湾はインドネシアの半分であり…となっています。あと、グラフにはありませんが、アジアではCSRがいまだによく検索されています。英語圏はSustainabilityが多いですね。さすが英語圏だから?でしょうか。


たとえばアメリカはこんな感じです。SDGsは…他の単語にくらべまったく検索されていません。51の州も確認しましたが、大きな差はないです。日本に住んでいる者としては、なかなか信じがたい状況です。


所感

この1年の「SDGs」の伸び率は非常に高いです。2019年〜2021年上半期の動きを見るに、確かに、日本国内ではSDGsは流行っているといってよいでしょう。しかし、それは単語の認知が広がっただけで、SDGs対応が世界トップクラスというわけではありません。実際に、CAMBRIDGE「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2021」のThe SDG Index ando Dashboardsによれば、日本は165カ国中18位です。イギリスやスイス、ポーランドなどと僅差ではあるが18位です。

あと、Googleトレンドだけではなく、雑誌や新聞のデータベースを見ても、特にSDGsは広がってきており、社会的認知もかなり高くなっていることがわかります。しかし、まだまだ日々の生活で使う単語ではありません。SDGsが「エコ」以上の認知を獲得することはないでしょうし、今後はどれだけ実践されていくかで、イメージが決まっていくでしょう。

どの国もESGは確実に検索が伸びています。これはESG投資の文脈の影響が大きいでしょうから、引き続き同様の傾向があるでしょう。

面白いのが、日本でもだいぶ下火になってきたCSRです。どの国も意外に検索数の割合が減らないんですよ。今回は詳しく調べましたが、スマートフォンゲーム「CSR Racing 2」の関連ワードがCSRとして換算されているようでして、この検索を除くと確実に半分以下になります。となると、CSRはすでにESGの半分程度の検索数になっているとも読めます。日本企業も、今後はCSRという表現を見直して、グローバルに統一(おそらくサステナビリティかESGに)したほうが、認知という意味ではよさそうです。

2020年の動向

昨年情報ですが、Googleトレンドだけではなく、新聞・雑誌での出現数をまとめた話を紹介します。「CSR企業白書2020:CSR/ESGトレンド30」(寄稿:安藤光展、東洋経済新報社、2020年)の元原稿を修正しての掲載です。

—–
日本では一般新聞でも見ない日はないというレベルで浸透してきているSDGs。しかし、現段階ではグローバルにみると“日本だけ”の現象のようだ。まず、日本でトレンドを知る方法の一つに、報道メディアがどれだけそのワードを使ったを調べておおまかな社会の流れを知ることものがある。ここでは調査ツールG-Searchを使って「タイトルに“SDGs”を含む」でデータ検索してみると、過去30年間は「6,294件」で、直近1年では「3,821件」だった。

SDGsというワードは2015年9月に登場したわけだが、2019年で過去4年間の半分以上の露出があり、2019年にはそれなりに流行ったと言えるだろう。2019年で一気にSDGsという概念が広がってきていて、2020年はまさにその変革の過程にいるというのがご理解いただけると思う。ちなみに「CSR」は、過去30年では「11,067件」で直近1年で「368件」だった。年間ではSDGsの1割にも満たない掲載数であり、新聞・雑誌からすればCSRなどはもう“死語”なわけだ。

では検索データの調査ツールGoogleトレンドでも、他の関連語と一緒に流行を確認してみよう。Googleトレンドでは「CSR、ESG、SDGs、サステナビリティ(sustainability)」を調べた。現在日本では、SDGsが圧倒的に検索されていた。「2020年1月19日〜25日」の割合でみると「CSR/ESG/SDGs/サステナビリティ:21/13/94/6」である。SDGsはCSRの約4.5倍の検索数だった。国内ではCSRがずっと検索数トップであったが、2018年9月でトップがSDGsと入れ替わって、そこからは差が開く一方だった。当面はこの傾向が続くと考えるのがいいだろう。

ではグローバルではどうだろうが。グローバル全体でみると、CSRとSustainabilityがほぼ同率でトップ。ESGとSDGsもほぼ同率でCSRの半分以下の検索数となっていた。検索動向は国ごとに差があるのだが、この比率が最も偏っていたのがアメリカである。アメリカはSustainabilityが圧倒的で2位はCSR、次にESG。SDGsは割合からするとゼロに近い数値に。

筆者の友人知人で海外のサステナビリティ動向に詳しい複数の専門家から、現状、世界では日本ほどSDGsは盛り上がっていないと聞いていたのでこれらの数字は体感に近いものだった。国内上場企業のサステナビリティ情報開示ではSDGsという単語を見ないことはまずないが、これを多言語に翻訳するときには、SDGsを前面に出すだけでは、意図した方向性で伝わらない可能性もあるの注意したい。

ちなみに東洋経済新報社の調査によれば、SDGsをCSR活動の参考にしている企業は、参考にしている51.4%、検討中17.7%、となっている。すでに半分以上の企業がSDGsを指標の一つとしており、2割近くの企業が対応検討をしているので、国内ではまだまだSDGsの話題が続いていくと言える。

調査ツール:G-Search「新聞雑誌記事横断検索(約150誌/過去30年)」、Google「Googleトレンド」
—–

まとめ

結論としては、順調にESGやSDGsという概念や興味が広がってきている、ということです。広がり方のペースはどこかで落ち着くとしても、少なくとも今後数年程度は伸びそうです。私が2000年代後半にCSRという概念に出会ってから、一向に社会的認知が広がらなかった状況からすれば、ファクトフルネスではないですが、世の中は、いくぶんかより良い方向に進んでいるように思います。

もちろん、これらはSDGsやESGという概念がなかったとしても、さまざまな方が社会として企業の中から改善するために日々努力されていたと思います。

本記事は定点観測でありオピニオンというわけではありませんが、今後も定期的に定点観測しながら、簡単ではありますが皆様にご報告できればと思います。

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