記事
  • 女性自身
  • 2021年07月26日 08:32 (配信日時 07月25日 21:25)

阿部一二三&阿部詩、九州まで夜通し車で…兄妹金の陰に両親の壮絶献身

2020年12月末に「よりみち」を訪れた阿部兄妹。左から阿部一二三、森好理江さん、阿部詩(写真:森好理江さん提供)

男子66キロ級の阿部一二三(23)、女子52キロ級の阿部詩(21)は、夏季オリンピック史上初の「兄妹同日金メダル」の快挙を成し遂げた。阿部兄妹が育った神戸市兵庫区の和田岬地区は、工場や造船所が立ち並び、運河に囲まれた地域だ。ここで暮らす人々は、長年にわたって兄妹を見守り、応援してきた。

和田岬地区のお好み焼き店「よりみち」は、阿部兄妹が幼いころから親しんだ店のひとつ。地元で阿部兄妹を応援する「よりみち後援会」の事務局長で、この店の店主である森好理江さんは、「阿部さんの家は、おじいちゃんの代からよくウチのお好み焼きを食べに来ていましたよ」と話し、こう続ける。

「詩ちゃんは、地元で獲れる明石ダコが入ったお好み焼きや、山芋とろろ焼きをよく好んで食べます。『出来たてが美味しい』言うて、大きくなっても店に来てよく食べてくれます。

一二三君は、体重の増減が気になるのかあんまり食べません。いっしょに焼き肉屋さんにいっても、ウチの店と同じように食べないんです。むしろ、私らのほうが食べるくらいなんですよ。

兄妹は、幼いころは反対の性格でしたね。小学校の運動会での騎馬戦では、男の子たちは詩ちゃんにまったく敵わなかった。あの子は当時から負けん気が強くて有名やったんです。

対照的に、一二三君はおとなしい子でしたよ。詩ちゃんはよくお母さんの愛さんに、おやつを飼うためのお小遣いをよくねだっていたけど、一二三君は『ちょうだい』とは言わへんかったって。今は見るからに元気な感じの男の子やけど、少なくともちっちゃいころはおとなしい子でしたね」

阿部兄妹の快挙の陰には、ひとえに両親の物心両面の強い支えがあったという。

「毎日のように、柔道場に通う一二三くんや詩ちゃんを送り迎えに行って、試合があれば必ず両親が駆けつけていました。お父さんの浩二さんは消防署に勤めていて、お母さんの愛さんは喫茶店を営んでいました。

お父さんが仕事で行けへん日は、お母さんが『ごめんなさいね~、今から子どもを柔道の練習に連れて行かなあかんねん』と言って、店を夕方の4時ころに閉めることもありました。

遠方で試合があっても、一二三くんと詩ちゃんをワゴン車に乗せて、試合前日の夜から、お父さんとお母さんが交代で夜通し運転して連れて行ってました。九州や東京にも、ワゴン車で行くんです。子どもらは車で寝られるのですが、運転する両親は大変やったと思います。

一度両親に、『体しんどいやろ、新幹線で行ったらええのに』と言ったことがあるんです。すると、『一家の新幹線代を1年に何回もとなると、高くてとてもとても…』と。お父さんは公務員やし、愛さんの喫茶店もけっして大きい店ではありません。ごくごく普通の家庭ですから、遠征の費用をやりくりするのは、経済的にも大変だったはずです」(森さん)

森さんは、母の愛さんが兄妹に持たせていたというある料理が印象に残っているという。

「愛さんは、試合の時に2人に野菜たっぷりの“ラタトゥイユ”を持たせていました。栄養たっぷりやし、あの子らは減量なんかがあるから、試合前後に食べるのにはぴったりやったんでしょうね。2人とも大好物やったと聞いています。

一二三くんが試合の時に履く赤いパンツも、ラタトゥイユと同じ色。彼も赤い色を見ると、燃えてくるから赤を好んでいるんでしょうかね(笑)」

■初詣は必ず家族勢ぞろい!絵馬に書いた“金”の決意

家族の絆が強い力となって、今回の快挙に結びついた。森さんはこう強調する。

「家族の絆は、ほかの家よりも強いんです。いまも柔道の応援は家族そろって。柔道を辞めた一二三くんと詩ちゃんのお兄ちゃんもそろって応援に駆け付ける。そういえば、初詣も毎年家族全員そろって行くんですよ」(前出・森さん)

阿部一家が初詣に行く神社とは、阿部兄妹が生まれ育った実家からほど近い「三石神社」だ。同神社の小林義典禰宜はこう話す。

「神功皇后という日本の第14代天皇・仲哀天皇の皇后を祭っております。神功皇后は、遠征中に夫が崩御するも、彼女が代わって戦争を指揮して勝利したという伝説があり、“勝負事の神様”として古くから崇められています。

遠征先からの帰国途上、いまの和田岬に上陸して、三つの石で占いをしたというのが、当社の起源なんです。ですから、“勝ち運を運ぶ”“勝負ごとに強くなる”というご利益があるとされています。

詩ちゃんは、海外での試合にも当社の『勝御守』を肌身離さず持って行っていると聞きましたよ」

神社の境内には、今年の正月に2人が書いた絵馬が、いまも掲げられていた。

兄の一二三は、《最高に輝く。》
詩は、《東京五輪 優勝 自分に勝つ!》

自分自身に打ち勝った兄妹の首元には、金色の栄誉が、最高に輝いていた――。

あわせて読みたい

「東京オリンピック・パラリンピック」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    米タイム誌が評価した隈研吾氏の新国立競技場が「負の遺産」に

    渡邉裕二

    09月27日 09:00

  2. 2

    コロナがもたらした「甘えの構造」

    ヒロ

    09月26日 13:06

  3. 3

    新型iPhone13シリーズが発売 AppleがLightningにこだわる理由

    S-MAX

    09月26日 14:36

  4. 4

    不誠実な政治家は国民が生んだ?菅首相の弁論回避が合理的になった理由

    物江 潤

    09月27日 10:26

  5. 5

    共産主義・マルクス主義信奉を志位和夫委員長が改めて表明した心意気や良し。野党共闘はやはり「大異小同」だ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    09月26日 08:41

  6. 6

    生かしても地獄、潰しても地獄…中国・習近平が抱える「不動産問題」の深刻さ

    PRESIDENT Online

    09月26日 09:40

  7. 7

    感染者減少の理由が若者の深夜の繁華街の人流減少というのなら、その他の行動制限は外してください

    中村ゆきつぐ

    09月26日 08:14

  8. 8

    iPhone12 ProMaxからiPhone13 ProMaxに買い替えた結果

    永江一石

    09月27日 14:35

  9. 9

    「自粛を求め続ける政治家にこそ責任がある」"気の緩み"に怒る人たちに考えてほしいこと

    PRESIDENT Online

    09月26日 14:06

  10. 10

    次の総理・世論調査 「立憲支持者も河野1位」の驚愕

    田中龍作

    09月27日 14:50

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。