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首相の所信表明、平和にボケていた

昨日二十八日の総理大臣所信表明演説に関し、マスコミそして政界の「解説者」の話は、おおかた報道された。
 しかし、日本国民の命に関することに関しては、報道されなかった。このことは、日本人自身が、日本と日本人を取り巻く「世界の現状」を何ら知ろうとしていないことを示している。
 日本と日本人は、今まさに「狙われている」ことを知らないのだ。

 この「世界の現状」を前提にして、総理大臣は、昨日の所信において、日本人を「狙う者」に対して有力な抑止力を加えることができたのに、その機会を逸した。
 彼自身が、戦後の惰性の中で演説したからだ。
 彼は、まだ気づいていないのか。
 テロは、他人事ではない。「テロとの世界戦争」が行われている現在、あらゆる機会を通じて日本人の命をテロから守る責務が総理大臣にあるということを。
 まことに残念だ。
 このままでは、テロリストの世界に、何のリスクを負うこともなく目的を達することができるテロの標的は日本人だという「教訓」を、定着させることになる。

 総理大臣は、昨日の所信表明において、アルジェリアにおけるな残忍なテロ組織の攻撃によって非業の死を遂げた十名の日本人を追悼し遺族と悲しみを共にする旨を申し述べただけだ。
 それを聞いていて、思わず、
「仇をとると言え」とヤジを飛ばしそうになった。
 
 安倍さんは、昨日の所信において、総理大臣として、世界のテロ組織に対して、例えば、
 「日本は必ず仇をとる」
 「日本人を襲撃すれば、必ず重大な報復を行う」
 「日本の武士道を見くびるな」
 と表明するべきであった。

 アメリカは、平成十三年(2001年)、ニューヨークの貿易センタービルをオサマ・ビン・ラディン率いるテロ組織によって破壊され三千余名の命を奪われた。
 しかし、苦節十年、居場所を隠して移動を続けるオサマ・ビン・ラディンを遂に探し出し、平成二十三年(2011年)、アフガニスタンでアメリカ海軍特殊部隊が彼を急襲し殺害した。
 この行為によってアメリカは、アメリカ人をテロの標的にすれば、そいつを必ず殺す、というサインを軍事行動でテロ組織に送った。
 そして、この行動によって、テロ組織は、アメリカを襲撃しにくくなり、アメリカ人の命はかなりのレベルで守られるようになった。

 では、アメリカは、以上の措置を断行するに、オサマ・ビン・ラディンを裁判にかけてしたのか。
 否である。
 アメリカは、テロを「刑事事件」として扱っていない。
 アメリカは、テロを「WAR」(戦争)と捉えている。従って、以上の措置が断行できたのだ。

 そこで、日本は、アルジェリアでのテロを今どう捉えているのか。
 日本は、「刑事事件」として扱っている。
 従って、殺人罪を適用し、日本に帰った犠牲者の御遺体を捜査機関が、「検死」また「司法解剖」したのだ。
 しかし、このテロの本質は、「WAR・戦争」だ。
 「OTHER THAN WAR」だ。
 ところが、日本は、「刑事事件」として扱っている。
 よって、敵(いや日本では被疑者)は、オサマ・ビン・ラディンのように逃げ隠れする必要もなく、日本に入国すれば命は保障されて「逮捕」されるが、隣の韓国まで観光旅行をすることができる。
 しかも、日本が韓国政府に、その「被疑者」を捕えて日本に引き渡してくれと要求しても、そいつが、あの行為は、「日帝の朝鮮支配糾弾のためにした」と韓国政府に言いさえすれば、「政治犯」とみなされて自由に悠々とテロ組織のアジトに戻っていくことになる。

 さて、先日、イスラエル政府関係者が、私の知人にこう言った。
「日本のゴラン高原からの撤退は、非常に恥ずかしい行為ですよ」
 その通り、我が国のゴラン高原からの撤退は、我が国を軽蔑の対象にして我が国の評価を地に落とし一週間後のアルジェリアの日本人の命を危機に曝したのだ。
 アルジェリアで石油プラントを襲った覆面旅団というテロ組織は、日本人を標的にしていたようだ。それ故、日本人の死者が一番多い。
 このことと、ゴラン高原からの部隊撤退を無関係と思ってはならない。

 つまり、ゴラン高原からの撤退は、動乱の中に生きる世界に、次のサインを送った。
 日本は危機に弱い。
 日本に強く出れば日本は退く。
 日本人には何をしても反撃はなく怖くない。
 日本は、絶好のテロ襲撃の目標だ。
 そして、覆面旅団が、このサインを受け取った。
 しかし、サインを受け取った組織は、何も中東のテロ組織に限らない。我が国の周辺、即ち、北からロシア、朝鮮そして中共が我が国のゴラン高原からの撤退を観て教訓を得ていたのだ。

 昨夜の総理の所信表明に関する「解説」は、
参議院選挙を念頭に置いてとか、自民・公明の連立に神経を使っていたとか、いろいろ言っていた。
 しかし、以上述べてきた肝心の総理の責務、即ち、自衛隊の最高指揮官として、世界で活動する日本国民の命をいかに守るか、という観点からの解説はなかった。

 遥か祖国を離れた熱砂のアフリカ北部で、企業戦士として職務を遂行し同時に日本のプレゼンスを高めていた十名の同胞(はらから)が、テロ組織によって虫けらのように残忍に殺されたのである。
 
 総理大臣は、アルジェリア軍とテロ組織の交戦中に、アルジェに電話して、人命最優先だけを強く訴えていたが、まさにその同胞の人命が残忍に奪われたのだ。
 怒れ、そして、仇をとる、つまりテロ組織は必ずその報いを受ける、と言ったらどうか。
 その怒りが、人命をテロから守ることにつながるからだ。
 しこうして、第二、第三のテロから国民の命を如何にして守るのか。
 所信において、なぜその決意を表明しなかったのか。
 総理そして安倍内閣さらに「解説者」、
 もういい加減に、平和ボケから覚めたらどうか。
 それとも、覚めないふりをしておれば、参議院選挙に自民公明で勝てると思っているのか。
 つまり、日本国民の命より、連立が大事なのか。

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