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「ウォン安が止まらない」ワクチン接種が遅れる韓国・文政権を襲う三重苦

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マレーシア、インドネシアよりも値下がりしている

7月に入りアジアの通貨市場が不安定に推移している。月初から13日までの主な通貨の対ドル為替レートの騰落率を見ると、韓国ウォンは1.7%程度下落した。デルタ株感染が深刻なマレーシア・リンギットやインドネシア・ルピアと比べウォンの下落幅は大きい。

ユ・ナムソク憲法裁判所長官、パク・ビョンソグ国会議長、キム・ミョンス搀高裁判所長官、キム・ブギョム首相の4機関の長と昼食会で話し合う韓国の文在寅大統領=2021年6搈30日、韓国・ソウルの大統領府青瓦台ユ・ナムソク憲法裁判所長官、パク・ビョンソグ国会議長、キム・ミョンス最高裁判所長官、キム・ブギョム首相の4機関の長と昼食会で話し合う韓国の文在寅大統領=2021年6月30日、韓国・ソウルの大統領府青瓦台 - 写真=EPA/時事通信フォト

ウォン安の背景には、韓国での新規感染者の増加の影響がある。それに加えて、足許の景気を支える韓国主要企業での経営者と労働組合の対立も海外投資家にとってウォン売り材料だろう。先行きを考えると、米国の物価上昇が韓国経済に与える影響も不安材料だ。

2020年後半以降、韓国経済は半導体や造船業などの業績改善に支えられて回復し、世界経済の中でも好調さを維持している。今すぐその状況が変化するとは考えられない。ただし、いずれ景気の回復ペースは鈍化するだろう。

そのタイミングで米国でのインフレ圧力が高まるなどして韓国の金利上昇が鮮明となれば、家計などの債務問題は深刻化するだろう。感染リスク、労使対立、債務問題などの不確定要素がある中、ウォンを売り韓国経済の先行きを慎重に見極めようとする投資家は増えつつある。

デルタ株の猛威が景気回復の足枷に

6月下旬以降、韓国ではデルタ株をはじめとする新型コロナウイルスへの感染が急増した。7月に入ると一日当たりの新規感染者数が1000人を超えた。韓国メディアの報道によると、今回の感染拡大ペースは当局の予想を上回っている。

英国などのワクチン接種と感染者の推移を確認すると、ワクチン接種者の増加によって、新規の感染が増えたとしても亡くなる人の数は抑えられている。しかし、わが国と同様に韓国ではワクチン接種が遅れている。

ワクチンの接種が遅れる中で感染者が増加すると、医療の逼迫(ひっぱく)を防ぐために人の外出を制限しなければならない。動線が絞られると、消費は減少し、景気の停滞懸念が高まる。それが7月に入ってからのウォン安の一因だ。

足許、韓国経済は半導体などの輸出に支えられて堅調に推移している。その一方で、感染者の増加によって、百貨店などを運営するロッテショッピングの株価は下落した。それは、感染の拡大が内需を落ち込ませるという主要投資家の不安を反映している。

韓国経済を不安定化させる“K字型”

韓国経済全体で考えた場合、半導体や造船など製造業の業況が勢い良く伸びる一方で、小売り、宿泊、飲食などサービス業をはじめとする非製造業には下押し圧力がかかるとの懸念が高まっている。経済のK字型展開が勢いづくと、基本的に経済の不安定感は高まる。

その状況下、主要投資家はリスクテイクに慎重になる。それに加えて、世界経済のデジタル化の加速などによってアフターコロナが実現した場合の経済の状況が、パンデミック発生前とかなり異なっている可能性もある。

このように、デルタ株の感染は韓国経済の先行きに関する不確定要素を増大させ、ウォン売り圧力を高めた。見方を変えれば、リスク回避のドル買いだ。感染が増え始めたタイミングで韓国総合株価指数(KOSPI)は最高値を更新し、利益確定のための韓国株売り・ウォン売りのオペレーションを行う海外投資家も増えた。

現代重工業のストライキが暗い影を落とす

それに加えて、財閥系の大手造船メーカーで経営者と労働組合の対立が先鋭化したこともウォン売りの一因となっただろう。7月6日、造船や海洋プラント大手の現代重工業で全面的なストライキが実施された。それは、2019年から2020年の賃金交渉が解決していないための対応だという。造船業は、韓国経済を支えるK字の上向きの線を構成する産業だ。それだけにウォン安への影響は慎重に考えるべきだ。

ストライキは労使双方にとって痛手だ。2019年に現代重工業は大宇造船海洋を買収すると発表し、現在は各国の独禁法当局の審査が行われている。買収の発表後、現代重工業は経営統合を念頭に構造改革を進めて事業運営の効率性向上に取り組んだ。その状況下、徐々に脱炭素を目指したLNG需要が高まり、同社はLNG運搬船の受注を獲得した。

造船所内のタンカー※写真はイメージです - 写真=iStock.com/OleksandrKalinichenko

さらにコロナ禍が発生したことによって、世界全体でコンテナ船の不足などに拍車がかかり、現代重工業は“造船特需”というべき事業環境を迎えている。現代重工業にとって、労働者と経営陣が協力してよりよい造船技術の発揮を目指すことが合理的だ。

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