記事

地方国立大学に想定される厳しいシナリオ(その3)

1/2

 「緊縮財政+重点化」の潮流の中で、国立大学に押し寄せた第一波(法人化)、第二波(運営費交付金の大幅な傾斜配分案)については、前回のブログで書きました。今日は第三波~四波の話ですね。

 第三波の候補としては、民主党政権下の事業仕分けもあるのですが、国立大学にとっては「10%マイナスシーリング+政策コンテスト」なのかな、と僕は感じています。第四波は第三波と関連しているのですが、今回の「大学改革実行プラン」ですね。

 講演では、第三波、第四波が押し寄せる前の状況についてもお話しました。

 つまり、法人化前夜に天野郁夫先生が予言したとおりに、大学間格差の拡大とマジョリティーの大学の活動性が低下したこと。ただし、天野先生は教育の空洞化を懸念されましたが、実際に起こったことは研究機能の低下や格差拡大でしたね。

 ブログの読者の皆さんには、今までに、何回も論文数のグラフをお示ししていますが、講演でもたくさんの論文分析のスライドをお見せしました。念のため、ブログの読者の皆さんにも、再々度、その一部を以下にお示ししておきますね。

 人口当たりの高注目度論文数の国際ランキングは21位に低迷していること。そして、日本の論文数は海外諸国が増加しているのに対して低迷し、特に、地方国立大学や公立大学の低迷が著しいこと、しかし、科学研究費あたりの論文数は地方大学の方が良く、つまり、日本はある意味では研究効率の良いセグメントの研究機能を低迷させたこと。

 

画像を見る

画像を見る画像を見る画像を見る

 画像を見る

 

 このような状況で第三波の2010年の「10%マイナスシーリング+政策コンテスト」が押し寄せることになりました。それまで、国立大学の運営費交付金は年約1%の削減ということだったのですが、それが、突然10%削減になるかもしれないということで、国立大学は騒然となったわけです。下図は、当時北海道の7大学で計算された削減の金額であり、あくまで単純計算での話でなのですが、3年間で道内国立大学5校分が消える規模であるというものです。

 画像を見る

 この時には、10%シーリングをかけるものの、要望枠を設けて政策コンテストという形でパブコメを募集し、それを参考にして何がしかの復活がありうるという新たな試みがなされました。

 もし要望枠で復活できないことになると、国立大学の存続や機能の維持に深刻な影響を与え、それが地域や国民に大きな影響を与えることになるので、各国立大学は、必死で市民にパブコメへの提出をお願いすることになりました。福井大学の福田学長が自ら福井駅の街頭に立って、市民にパブコメをお願いされたことは、語り草になっていますね。

 果たして、その結果は、次のスライドにお示しするように、文部科学省関係、特に高等教育関係の事業への提出意見が数多く集まりました。3の「小学校1・2年生における35人学級の実現」よりも、はるかに多くのパブコメが高等教育に集まったことは驚くべきことでした。だって、大学というのは、いろんな考えの人々から構成されており、組織化が非常に困難な組織ですからね。

画像を見る

 他省庁の事業への提出意見数に比較して、文科省関係事業への意見数がいかに圧倒的な数であったかということは、下のグラフからもわかりますね。文科省の職員は、あまりにも多いパブコメを整理するのに何日も徹夜をしたと聞いています。画像を見る

あわせて読みたい

「大学」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    給付金効果はあったが見えぬだけ

    自由人

  2. 2

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  3. 3

    ロンブー淳 TVに抱く気持ち悪さ

    文春オンライン

  4. 4

    日本における次世代の目玉産業は

    ヒロ

  5. 5

    岡村結婚の裏に涙のエレベーター

    文春オンライン

  6. 6

    大阪の幻想 維新が得する都構想

    猪野 亨

  7. 7

    NHKと国民の関係性は「強制」に

    PRESIDENT Online

  8. 8

    ネットゲームに求められる人間力

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

  9. 9

    すすきの感染 酒飲みにうんざり

    猪野 亨

  10. 10

    官僚へ負担どっち? 野党議員反論

    BLOGOS しらべる部

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。